東京都港區の物流博物館で、企画展「鉄道古写真展─鈴木直利氏コレクションから─」を觀る。
元國鐵職員の鈴木直利氏が昭和五十三年に信越本線の碓氷峠旧線を歩いたことがきっかけで渉猟し集めた鐵道資料のうち、明治の鐵道黎明期を記録したかなり珍しい古冩真の數々を、疑似旅行の氣分で巡る。
(※案内チラシより、明治二十三年頃の品川驛、現在の品川驛はこれより北方の高輪にあり)
明治ニッポンが西洋文明の到来によってみるみる近代化し、德川治世の旧時代を過去へと引き離していく邁進ぶりが、鐵をふんだんに用ゐた當時最先端の技術を通して、象徴的に紹介されてゐる。
(※案内チラシより、明治十七年頃の新橋驛と、現在は埋め立てられて昭和通りの汐留川)
しかしその最先端だった光景は、現在では殆どが失はれて、もう見ることができない。
(※案内チラシより、明治後期頃に撮影された多摩川─六郷川─に架かる東海道本線の二代目六郷川橋梁)
(※述者撮影の同地點現景)
いまと云ふ歴史を記録し、それを殘し守り續けてこそ、未来(あした)の道も拓けることを、私はこの疑似旅行のお土産として、心に冩して帰る。