迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

かがりびにはえてちりゆくなつのむし。

2014-09-14 23:09:33 | 浮世見聞記
国立能楽堂で、金春流の「枕慈童」を観る。

菊の葉に垂れた露を飲んだ少年が、そのままの姿で七百年も生き続けている、というお話し。

不老長寿は人間サマ永遠の願望でござる。

もっとも、見た目はシワクチャでも心は少年少女の日のまま、というご老体は事実、おわします。

すなわち、

「その年齢(とし)までナニ学んで生きてきたんだろ、このヒト……」

という種族ですな。




夜は国立能楽堂からほど近い渋谷区千駄ヶ谷の鳩森八幡神社で、神前奉納の薪能を観る。



奉納されたのは「経政」。

タイトルロールのシテは、謡いの声質からして役の年齢に近い“少年”がつとめたようだ。

そうなると不思議なもので、シテのかけた公達の風貌をうつした面が、常にはない妖しさを放ちはじめる。


微かにひらいた唇が、深紅の色をたたえていたのは、篝火の映ったものばかりでは、あるまい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« もろこしぶねよいずくに。 | トップ | あわれはるかぜになげくうぐ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。