散歩の途中、新幹線の高架橋の下に立ち、小刻みに整列した橋脚を見て、この連續が静岡を經て、名古屋を經て、京都を過ぎ、大阪に至ってゐるのだな、と當り前なことを考へる。

さう、すべては「千里の道も一歩から」。
なにもしなければ、なにもなくそこに居續けて、お終いではないか。
人災疫病禍の年までよく行ってゐた町で、便利に利用してゐたイトーヨーカ堂が閉店してゐるのを見て、ありゃ、と立ちすくむ。

先月中旬、四十年以上の歴史に幕をおろした云々。
この頃は全國のあちこちでイトーヨーカ堂の閉店が相次いでゐるが、こんな身近なところでも起きると、いきなり浮世の冷たい波を被らされたような、なんとも不快な氣分になる。
先日も、イトーヨーカ堂を米國の貧乏企業が安く買収しやうと企んで蹴られた報を聞き、バカにしたもんだ、と呆れたばかりだが、當り前だったものがそこから消えただけで、町の精氣も消える寂しさはどうだらう。
せめて食料品賣場だけは續けてほしかったと思ひつつ、この國のチカラは確實に落ち續けてゐることを知る。