
ワクチン接種の話しが、だんだんと形を成してきた。
これまで毎秋に手猿樂を舞はせて貰ってゐた地元の公會堂も、今春には改装成ることもあり、そろそろ活動再開の心づもりをせなアカンな、と明るい氣持ちになる一方、早期の接種は人体實験のやうで、まだ様子見が必要とも思ふ。
なにより氣になるのが、強度の低温で病院まで輸送する必要があるこのワクチンを、一般の運送會社や、バイク便での輸送も検討してゐる、と云ふこと。
さすがにそれは危険すぎるだらう。
特にバイク便の場合は常温輸送となるため、製薬會社も「推奨できない」と苦り顔とか。
當り前だ。
この調子では、そのうちにお得意の「人手不足」云々を言ひ訳に、例の惡名高き自転車便にまで投げ出しさうだ。

いまの浮世の様子では、本當にやりかねない。
……手猿樂の面と装束は、まだ手入れだけに留めておひたはうが賢明のやうだ。