迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

暖笑彈冷。

2025-02-02 19:47:00 | 浮世見聞記
昨年から復活させた二月恒例のお樂しみ、橫濱市保土ヶ谷區の岩間市民プラザで、活辯士坂本頼光さんの無聲映画上映會「サイレントシネマ&活弁ワールド」の第十五回目に出かける。



昨年に第一部を上映した大河内傳次郎主演「水戸黄門」三部作の第二部(昭和十年/1935年)“密書の巻”は、柳澤吉保の陰謀が記された副題のそれを追ひかけて舞臺を江戸を移し、大河内傳次郎が水戸黄門よりも二役で扮する山浪人に持ち前の磊落ぶりが發揮されてむしろこちらが本役、

(※案内チラシより)

そんな大河内傳次郎往年の臺詞回しを、坂本頼光さんが見事な話藝で再現してさらに一篇を盛り上げる。

中盤には喜劇役者として名を馳せた高勢實乗が御老公一行が江戸へ下る途中に泊った宿屋の亭主役で出演しており、日頃の剣術好きが助さん格さんにコテンパンに叩きのめされる件りで、他の人ではちょっと真似できない軽妙な道化ぶりを見せて一場をしっかり自分のものにしてゐる。


ハロルド・ロイド主演の「ロイドの巨人征服」(1923/大正十二年)は、ロイド扮する重病人と思ひ込んだ富豪青年が、靜養のため渡航した南米の小島で遭遇した惡人たちとのあの手この手の對決を軽快に描いた喜劇、


(※同)

看護師のヒロイン、實際に2m以上の身長があったと云ふ朴訥な大男、冷たい眼光が印象的な惡の親玉など、個性的な登場人物たちに坂本頼光さんがそれぞれおかしみをふんだんに盛り込んで、客席をこれでもかと沸かせる。

もともと上手な活辯士だが、今回はとりわけ話術に磨きがかかってゐるやうに感じた。


今日は東京圏でも降雪が予想されるほど、氷のやうに冷たい空氣の一日。

しかし大いに笑って體も暖まり、この心地よさを忘れずにまた来年も来るゾ、と、ひとり笑みする。







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