矢来能楽堂にて、金春流の「富士太鼓」を観る。
雅楽の演奏家である夫を殺された、妻と娘の悲劇。
殺された夫は、太鼓(楽太鼓)の役者だった。
先に決まっていた太鼓の役者を蹴落として、自分がその役に就いたために、妬まれて命を落としたこの男に、わたしは同情できない。
そんな夫の身の危険を夢枕に予感した妻が、一人娘と共に、夫へ逢いに訪ねて行く-
女の身ではるばる旅をするなど一般的ではなかった . . . 本文を読む
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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