「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            高齢者社会の悲劇

2007-11-12 05:33:46 | Weblog
兵庫県尼崎市で起きた夫が妻を殺した事件は、日本の高齢者社会を象徴する事件
である。末期ガンの85歳の夫が、80歳の認知症の妻を手芸用のヒモで絞殺したとい
うのである。自分の死んだあと、看病する者もなく妻が残されるのは不憫だという理
由から手芸用のヒモで絞殺したものだという。なんとも痛ましい。80歳を越える夫婦
の年齢からみて、あの戦中戦後の苦しかった時代を生きてきた世代である。恐らく妻
が認知症になる前は手芸を楽しみながら、共に余生を楽しんでいた幸せな夫婦だっ
たに違いない。

埼玉県では先日、同じ大腸ガンの74歳の母親を屋外に放置していた47歳の息子が
「保護責任者遺棄致死」罪容疑で警察に捕まった。同世代の僕ら夫婦にとってはショ
ックである。厚労省の調査によると、昨年から実施された65歳以上の高齢者に対す
る「虐待法」に違反したケースが全国の市町村から1万件以上も報告があるという。
このうち一番多いのが被害者が母親、加害者が息子という事犯である。

厚労省の平成18年「日本人の簡易生命表」(平均寿命)によると、日本人の平均
寿命は女性が85・81歳、男性が79・00歳で、女性は連続22年世界一、男性はアイ
スランドについで世界第二である。僕の年齢だとあと10年、老妻になるとあと15年
も余命がある。本当に嬉しいことではあるが、一方では将来への不安もある。いつ
尼崎のような事態になるとも限らない。自身の健康により留意して平穏な一生を
送りたいものだ。