「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      バングラデシュのサイクロン被害は人災?

2007-11-20 05:07:12 | Weblog
またバングラデシュでサイクロン(熱帯低気圧)の被害である。犠牲者は最終的
には1万人を越えるという現地からの報道もある。バングラデシュでは1970年に
30万人、91年には13万人ものサイクロンの犠牲者を出している。21世紀になって
からも02年、04年、05年とほとんど毎年のように被害が出ている。かってバング
ラデシュはインドの詩人、タゴールによって「黄金のベンガル」と讃えられ、ムガー
ル帝国時代は肥沃なインドの大穀倉地帯であった。

いまバングラデシュは世界の最貧国(LDC)の一つである。日本の国土の40%の
地に1億5000万の住民がひしめきあっている。国民所得は日本の20分の1,一日
2ドル以下である。稠密な人口を養うため、豊かな森林は耕地になり、海岸のマン
グローブは伐採されエビ養殖池に変わった。この自然破壊がサイクロンの被害を
大きくしている、と専門家は指摘している。

テレビを見ていると、住民がヘリコプターから投下される食糧や水を求めて群がる
姿は痛ましい。欧米諸国はいち早く緊急援助を申し出ているが、わが国は被害調
査のため日赤の担当者を現地に派遣したにすぎない。いつもの事ながら、後日援
助をするのだから、早く申し出たほうが相手国に与える心象もよいし、効果的だと
思うのだが下手である。

わが国は英国についでバングラデシュに対する二番目の援助国である。詳しい事
は知らないが、この慢性的ともいえるサイクロン対策にも貢献しているのだろうか。
1億を越える人口に対してサイクロン緊急避難用のシェルターが3千たらずという。
シェルターも必要だろうが、抜本策は自然破壊を防止するための施策と住民の意識
改革である。