「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      孫の初バイト 中ぐらいなるおらが春

2008-01-04 07:20:26 | Weblog
      ”めででたさも 中ぐらいなる おらが春”(白井一之)
      ”初春や冥土の旅の一里塚 楽しくもあり楽しくもなし”
老人の僕にとっては、まさにこの心境だ。三が日、僕はこれといってすること
もなく、ほどほどに酒を飲み、ほどほどにテレビを見てすごした。そんな中での
唯一の話題は、高校1年の孫(男)がスーパーの催事場で初めてアルバイトを
して他人さまからおカネを頂いたことだ。

アルバイトという言葉はドイツ語の"arbeit"(労働)からきている。敗戦直後まだ
旧制高校があった頃、学生が学費稼ぎに仕事をすることを気取って”アルバイト”
と呼んだ。僕も昭和23年夏休みに当時多摩川べりにあった水泳プールで初めて゛
アルバイトをした。大学の予科1年(現在の高校3年)の時で更衣所でお客の脱い
だ衣類を預かる仕事であった。当時はロッカーなどなかった頃だ。

学生時代は家庭教師から始まっていろんなアルバイトをした。トラックの荷台に
乗って荷物の揚げ降ろしをする”上乗り”。鉄道線路でケーブルを引っ張る線路
工夫の手伝い。理科系の大学生に”化けて”旋盤工の真似事などなど。でも焼
跡時代には、なかなかアルバイトはなく、地方から来ている学生の中には自分
の血を売って生活していた。

今の学生たちの中には、学費稼ぎにアルバイトをしている者はあまりいない。わ
が家の孫もそうである。孫の初バイトを一番喜んだのは娘夫妻である。そっと隠
れるようにして孫の仕事場を覗いてきたようだ。中くらいなる庶民の春である。