「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

    グッドウィル(GW)処分と生活者主役の政治

2008-01-19 07:07:36 | Weblog
日雇い派遣大手のグッドウィル(GW)が労働派遣法に違反したとして事業停止命
令を受け、昨日からその処分が始まった。この処分で34,000人の日雇労働者が
職を失ってしまう。折りも折り、福田康夫首相は国会の施政演説で生活者主役の
社会へのスタートの年だとして、常設の担当大臣を設ける旨明らかにした。

労働行政については素人だが、昔は政治家も役人ももっと暖かだった。これが19
85年、労働派遣法ができ、90年に職業安定所が「ハローワーク」と呼ばれるように
なった頃から、わが国の労働現場はおかしくなってきた。派遣法が出来た当初は
専門の高い技術職に限られていたが、規制緩和の名のもとに年間3,00万人が派
遣で働き、市場規模は5兆円だという。

1947年職業安定法が出来た当時の日本は、復員軍人や外地からの引揚者で国
中が失業者であふれていた。49年政府は「緊急失業対策法」を設け職安を通じて
失業者に焼跡整理の日雇いの仕事を提供した。一日の賃金が240円と低かったの
で「ニコヨン」と蔑視されたが、この制度で救われた人は沢山いた。

僕の記憶の中には当時職安前に朝早く集まった人たちを直接職安職員が整理し、
時にはたき火で暖をとっていた光景がある。「労働派遣法」に違反して港湾荷役な
どの危険な仕事を斡旋していたGWが悪いのだが、これを長年にわたって黙認し、
さらには、処分したあと”相談”だけでお茶をにごしている労厚省の役人にはあまり
暖かさを感じない。政治家は生活者が主役と言っているが、なにか空々しい。