「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          公立中学校での有料塾

2008-01-09 06:58:27 | Weblog
公立中学校で進学塾の講師を呼んで有料特別授業をするという。この案をめぐって
東京都教育委員会と地元の杉並区教育委員会の意見が違い、実施が延びている。
是か非かー今の日本の教育の現況を物語っているような問題だ。

問題の学校は杉並区立和田中学校(生徒数379人)で、3年前初の民間人校長とし
注目された藤原和博氏の発案だ。中学2年生を対象に平日の夜や土曜日を利用し
て進学塾の講師に頼み授業して貰うというもの。都教委は”有料授業は義務教育
の機会均等に反する”として反対、地元の教委は学校側の案を支持している。

首都圏ではここ数年、公立中学校への進学離れが続き、4人か5人に一人は地元
の中学校へは行かず、官公立や私立の中高一貫校へ進学しているという。この春
学区内の中学へ進学する孫の小学校でも女子の半分は中高一貫校を受験する。
理由は”ゆとり教育”のツケで公立中学校の学力が低下し、思うような高校へ進学
できない父兄の不安かららしい。

和田中学校では、民間人校長が就任して以来、独特の教育で、いわゆる有名進学
高校への進学率が上昇しているようだ。多分、今回の”有料塾”案も考え出されたも
のだろう。僕はこの案を知ったとき、最初、本末転倒もよいところ、学校の先生は何
をしているのか、メンツも丸つぶれだと思った。

しかし、である。公立中学校の現実は、直接教育現場にいる藤原校長の心配する通
りのようである。小学校では塾通いさせなかった娘夫婦も、ついに”意を決し”暮の休
から塾通いに踏み切った。都教委は教育の現場を知らなすぎる。義務教育の機会均
等をうたいながら、一方では"格差”をあおっている。家の近くに都立の中高一貫校が
あるが、和田中学校とは違って地域配慮はせず、遠方からの”塾漬け”の子供達だけ
の学校と化している。和田中学の"有料塾”には必ずしも賛成ではないが、教育を起業
と考えるならば、当然の"自衛策”である。