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『ぼくは…』の解説

2023-08-12 14:44:01 | 出久根達郎さん


『ぼくもいくさに征くのだけれど』ですけど、わたしの知った人が多く関わっておられて驚きました。
そして極めつけは、解説を書いておられる出久根達郎さん。
本書を読み終って最後に出久根さんの解説を読ませていただきました。
なんでも読んでおられますねえ。
6ページにわたっての丁寧な解説です。
わたしが印象的だったところをかいつまんで記します。

《竹内浩三が、「骨のうたう」で脚光を浴びたことも、私は不幸な出発だったと思う。「戦死やあわれ/兵隊の死ぬるや あわれ」で、反戦詩の代表作とレッテルを貼られた。竹内は反戦詩人とみなされ、そのように読まれた。間違っているわけではなく、悪いのではないけれど、読者を狭めた、という気がしないでもない。竹内浩三が「青春の詩人」と見られたなら、もう少し若い人たちに受け入れられたのではないか。》

《何よりこの全集(㊟2001年に発行された『竹内浩三全作品集 日本が見えない』)がすばらしいのは、2001年夏に発見された詩「日本が見えない」と、「よく生きてきたと思う」の二篇が読めることである。 稲泉連さんは、この全集で竹内浩三を知ったのである。そして、「日本が見えない」に感動した。その時、稲泉さんは23歳になろうとしていた。竹内が戦死した年である。(略)稲泉さんが竹内に興味を抱いたきっかけが、「日本が見えない」と知って、これぞ正統の竹内浩三入門と、ひそかに快哉を叫んだ。私の考える、「青春の詩人」への正しい入り方なのである。》

《竹内浩三の作品を、色眼鏡で読んでほしくない。色眼鏡は竹内の世界を狭めてしまう。何の先入観もなしに、ある一篇を読んでみる。自分の心に訴えるものがあったなら、もう一つ読んでみる。次第に竹内浩三という男に興味が湧いてくるはずだ。竹内が生きた時代を知りたくなる。その関係書を調べてみる。いつのまにか、戦争というものを勉強し、その実態に戦慄している。 稲泉さんが、そういう読み方をしたわけだ。いってみれば、竹内浩三という詩人の、正しい読み方を本書で伝授してくれたのである。戦争を知らない世代が、どのような形で戦争を知るのか、本書はその良き見本でもある。》

このあと、感動的な話があって解説は終わっている。
さすがに出久根さんだ。

『触媒のうた』出久根達郎さん絶賛の本。
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