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『風がページをめくる』

2015-08-30 17:38:16 | 出久根達郎さん
過日頂戴した杉山平一先生の蔵書だった本『風がページをめくる』(出久根達郎・リブリオ出版)を読んだ。
これもこの前の『書棚の隅っこ』と同じ、出久根さんの読書エッセイ集なのだが、やはり面白い。
そして予想通りこの本にも杉山先生の本のことが出ていて、『映画芸術への招待』のことを称賛しておられる。曰く「本書は、映画とは何か、映画の見方、楽しみ方、映画の技法、意味、すべてを、実にわかりやすく説いた名著である。」以下、べた褒めの記述が続く。
『映画芸術への招待』はわたしも所持しているのでもう一度読み直してみようかと思ってしまう。
さて、この『風が…』だが、最後の方に永井荷風の「断腸亭日乗」についての記述がある。その終わりの方、昭和19年の大みそかの荷風の日記を紹介して出久根さんはこう書く。

 ≪「かくの如くにして昭和19年は盡きて、落莫たる新年は来らむとするなり。我邦開闢以来曽て無きことなるべし。是皆軍人輩のなすところ、其罪永く記憶せざるべからず。」
 記憶せよ、と言っている。荷風はもっとも軍人を憎んだ。軍閥政治を嫌悪した。(略)荷風の「暗き日のくり言」と題する詩の一節。「生きてかひなき世と知りながら/なにとて我は死なで在りや/この世には美とよぶもののあればなり」
 美と反対の側にあるのが、戦争である。≫


因みにこの出久根さんの本は平成12年刊である。
今日、国会周辺で大きな集会があるという。
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