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いちばん楽しみなロケは何か?
と聞かれれば、
迷いなく答えるのがこれ。
「猪野学氏とのコントロケ」
年に一回ぐらいやらせてもらっている、
「ゆけ! 平チャリダー」とか、
「わらじの神様との遭遇」ロケとか、
ああいう「ドラマ」というか「コント」のロケですね。
基本的には、私が台本を書いて、
それを覚えてもらうのですが、
まずこれがすごい。
台本が上がるのって、なぜか当日の朝とかになっちゃうのですが、
移動中のロケバスの中で見ただけなのに、
現場ではセリフが完璧に頭に入っている(!)。
俳優としては当たり前なのかと思いきや、
意外とセリフを覚えない俳優さんは少なくないようです。
この時点で、我々はスペシャルな感動をもらえます。
さて、現場に到着すると、まずリハーサルで一回
セリフと動きを確認します。
ここでさらなる(というか一番の)楽しみがあります。
それは、アドリブ合戦。
たとえば、わらじの神様とのシーンでは、
現場では私が神様の声を担当して撮影します。
(私の声を消して、あとで竹谷さんの声を入れます)
私がセリフ担当になると、ぜったい悪い癖が発動して
台本と全然違うセリフを言ったりするんですね。
なぜなら、イノッチはアドリブさせると超絶に面白いから。
たとえば、台本に書いてあるシーンは、
「わらじ様の前に坂バカが体育座りをして
神様に対して馴れ馴れしく話をする。
神様が不愉快だと怒り、坂バカは謝る」
という流れなのに、
こんな会話を発生させてみる。
私「おい坂バカ。さっきからずいぶん馴れ馴れしいじゃないか」
猪「いやあ、なんか親近感わいちゃって」
私「不愉快だ」
猪「いや、あの、すいません! でもわらじ様…」
私「私は神様だぞ」
猪「ははー。すいません!」
私「プランク見せてくれたら許してやろう」
猪「プランクって、あの体幹鍛える……って、ここでですか?
ここ、砂利ですよ?」(注:プランクはひじで体重を支えるトレーニング)
私「ひじの下に手袋しいていいからさ」
猪「仕方ないなあ…」
(ブツブツ言いながらプランクをはじめる)
私「あのさ、体幹ってどこだっけ? 言葉じゃ分かりにくいから、手で場所を教えてくれないかな」
猪「片手でプランクって辛いんですけど…だからここですよ、体幹」
私「ごめん、見てなかった」
猪「ちょ、だから! ここですよここ!」
そこへちょうど観光客がいらしたので、
「どうぞ遠慮なく」とカメラ前を通っていただいた。
プランクするイノッチを怪訝そうにチラ見してた。
こういうシーンは、だいたい私が
笑いをこらえきれなくなって終わる。
でも、実はただ遊んでるだけじゃなくて、
「坂バカがここでプランクしてたら面白いなあ」
と思いついたので、プランクを持ち出してみたわけです。
その結果は、番組をごらんになった方はお分かりになる…かな?
どんなにセリフを変えても、イノッチは切り返してくるから安心。
ああ、次はいつ、あの楽しいロケができるかなあ…☆