みなさんは「ブルベ」をご存知だろうか
ブルベとは フランス語で「Brevet」=「認定」という意味で
長距離を走った認定システムがそのまま競技名となったらしい
このブルベという競技は
200km 300km 400km 600km 1000km
という距離を 制限時間内での走破を目標としている
長距離にまったく自信のない自分は 縁のない世界だと思っていたが
出てみることにした
出るのはもちろん200kmクラス
制限時間は13時間30分
決められたルートをトレースして
途中のチェックポイントで通過証明をもらわねばならず
ちょっと道を間違えたら 私の脚ではゴールできない
金曜日 仕事を終えて 車で静岡入り
スタートが6時なのに 到着したのは午前2時(笑)
バイクは いずれ600kmの超ロングへ参加することを見込んで
柔らかいフレームのCERVELO ASPELO
そう ローラー用バイクに甘んじていたアスペロくんに
ついに活躍の時がやってきたのだ
アスペロくんは 本当はグラベルバイクだ
ある程度のオフロード撮影にも使えるようにと
フロントフォークはトラベル40mmのサスペンションに変えてある
これが舗装路のロングライドで どう出るか?
今回は 実験のための参加と言って良い
どんな装備が どう役に立ち
どう邪魔になるのか?
ホイールはZIPP353に変更
これもどう出るか楽しみだ
フレームバッグも ありったけ付けてみた
役に立つのか?
邪魔になるのか?
前後にドロヨケ
フロントはシングルで行ってみよう
ギヤは前38 後10−33
途中 ちょいちょい激坂があるらしいが
大丈夫かしら
コースはこちら
静岡市をスタートし 富士山を1周する
距離201km
獲得標高3450m
…獲得3450m!?
山だらけじゃん
しかも
雨かよ…
これ以上ないほど過酷な条件だが
いろんなものをテストするにはもってこいだと
気持ちを奮い立たせる
心が折れては 何もできない
4時起床
緊張して目が覚めてしまった
睡眠1時間で雨のブルベに行くのか…と
ちょっとブルー(笑)
上下ゴアテックスを着て
靴にはヴェロトーゼの中にビニールを履かせた
キャップもゴアテックス
グローブはRaphaのネオプレングローブ
インナーは着替え用に予備1着
朝食はアンパンとプリンを1000kcalほど
5時50分にスタート地点についたら
参加者はすでに出発していた(笑)
5時半からブリーフィングがあったらしい…
遅れてすみません と謝ったら
優しい主催者の方が 私が初めてだと知っていて
いろいろ説明してくれた
・途中誰の助けも無し 全て自力でやるのがブルベである
・富士山の中腹では気温0度の長〜いダウンヒルがあるので覚悟すべし
・エントリー者数十人のうち ほとんどが棄権し
今日の参加者は私を入れて6人だけ
生きて帰れるのか?(笑)
雨の中 駿府城をスタートした
ペースはひたすら180〜190Wで行く
これなら最後まで脚はなくならないはずだ
前に出発した参加者は全く見えてこない
こんな日に参加しているのは
向こうみずなアホか 長距離の猛者のどちらかだ
これだけ走って見えてこないという事は きっと私より速いに違いない
コースのナビは ブルベやってる人のブログに載ってた
OsmAnd Mapsというアプリを試してみたが
たった2時間でバッテリーが20%以下になってしまい
慌ててガーミンのナビに切り替える
(念のため地図をガーミンに入れといて良かった)
44km地点
最初のチェックポイントのコンビニで
肉まんとアンパンを補給し
ポカリをボトルに補充
そのレシートが 通過の証となるので
防水ケースにしっかり保管
なかなか優れたシステムであるが
変なものを買うとバレてしまうのが難点である
ここで参加者の1人と出くわした
見たところ50代後半の がっしり体型のおっちゃん
なんと上半身はビニールカッパで 下半身はただのレーパンにレッグウォーマーだ
私「それで大丈夫なんすか?」
おっちゃん「これしかなかったんです」
聞けば 何度も600km完走経験アリだという
そこまでの猛者ともなると 気温10度以下の雨でも
ただのカッパで済ましてしまうものなのか…
コンビニ出てすぐの激坂で
おっちゃんを追い抜き 5位に浮上
「頑張りましょう」と声をかけたが
帰ってきた声は 消えそうなほど元気がなかった
ちなみにおっちゃんは
その後すぐにリタイヤしたらしい
600km走破の猛者でも
こういうことが起こりうるのだ
その後も雨はひどくなるばかり
晴れていれば さぞかし絶景なのだろう
富士山の中腹まで40km続く上り坂で
2人の参加者を追い抜き
3位に浮上
標高1400m地点で雨はみぞれに変わった
露出している顔が痛すぎる
ふと 前に自転車を押して歩く人がいる
2位の参加者かと思ったら
どう見てもブルベ参加者ではなかった
男性 30歳ぐらい
普通のママチャリと
グレーの薄手のパーカー
部屋着のようなズボン
雨でずぶ濡れだ
キョロキョロと左右の樹林を 探るように見ながら歩いている
ここは標高1400m
麓の最後のコンビニから30km
こんなところで いったい何をしているのか?
「大丈夫ですか?」
と声をかけたら ビクッとこちらを見て
「あ 大丈夫です」
とニンマリ笑った
いろいろ話しかけたが「大丈夫です ありがとうございます」の一点張り
あまりに心配なので 持っていた補給食のジェルを渡した
気温0度のダウンヒルは 地獄だった
あまりに寒くて 止まろうかと迷ったが
止まったらさらに体温が下がって 動きが取れなくなる気がしたので
気合いで一気に下った
その下りで 2位の参加者を追い抜いた
これで前にいるのはあと1人だ
下りながら さっきのパーカーの兄ちゃんのことを思い出していた
渡すなら金のほうが良かったのではないか?
それにしても 何のためにあんな場所に?
ハッとした
自殺志願かもしれない
だとしたら もう少し話を聞いてみるんだった
だが本音を言うと 私は自殺志願者に対して
何も考えずに「死ぬな」と言うのは 無責任な気がしてしまう
自分もそうだから分かるのだが
生きている方が 死ぬよりも辛い人だっているのだ
いや ただのアホな冒険野郎かもしれない
私は彼のことを考えることをやめた
走ること11時間37分
ついにゴールのコンビニに到着した
ゴアテックスを着ても どこからともなく沁みてくる水で
体はびしょびしょだった
防水に関しては もう少し研究の余地があるようだ
ひたすら「早く終わってくれ」と思うほどキツかったが
コースの景色が素晴らしくて ずっと感嘆しながら走っていた
207km(道に迷った)
TSS 433(回復に4日必要)
結局 前にいる1人は
1度も姿を見なかった
ゴールのコンビニ近くに住む主催者が
自宅を解放してゴールの受付をしていた
到着したら そこにいた数人のスタッフさんらが
「わーおめでとう!」「よくこの天候で!」
と祝福して 暖かいお茶を出してくれた
そしてこう言った
「1番時計ですよ!」
なんと 前には誰もいなかった
そりゃあ追いつかないわけだ(笑)
色々なデータが取れて かなり有意義なブルベだった
このブルベ用バイクも もう少し改良の余地があることが分かった
一番邪魔だったのは トップチューブバッグ
ダンシングすると内腿に擦れてとても邪魔だった
サドルも 超軽量でパッドがほとんどないモデルだと
低いパワーで漕ぐとお尻が痛くなる
このサドルでは600kmは無理だな…
何はともあれ 初ブルベは興奮の楽しさだった
一人相撲的な楽しさではあるが…
次は……晴れた日のデータを取りたい(笑)
ブルベとは フランス語で「Brevet」=「認定」という意味で
長距離を走った認定システムがそのまま競技名となったらしい
このブルベという競技は
200km 300km 400km 600km 1000km
という距離を 制限時間内での走破を目標としている
長距離にまったく自信のない自分は 縁のない世界だと思っていたが
出てみることにした
出るのはもちろん200kmクラス
制限時間は13時間30分
決められたルートをトレースして
途中のチェックポイントで通過証明をもらわねばならず
ちょっと道を間違えたら 私の脚ではゴールできない
金曜日 仕事を終えて 車で静岡入り
スタートが6時なのに 到着したのは午前2時(笑)
バイクは いずれ600kmの超ロングへ参加することを見込んで
柔らかいフレームのCERVELO ASPELO
そう ローラー用バイクに甘んじていたアスペロくんに
ついに活躍の時がやってきたのだ
アスペロくんは 本当はグラベルバイクだ
ある程度のオフロード撮影にも使えるようにと
フロントフォークはトラベル40mmのサスペンションに変えてある
これが舗装路のロングライドで どう出るか?
今回は 実験のための参加と言って良い
どんな装備が どう役に立ち
どう邪魔になるのか?
ホイールはZIPP353に変更
これもどう出るか楽しみだ
フレームバッグも ありったけ付けてみた
役に立つのか?
邪魔になるのか?
前後にドロヨケ
フロントはシングルで行ってみよう
ギヤは前38 後10−33
途中 ちょいちょい激坂があるらしいが
大丈夫かしら
コースはこちら
静岡市をスタートし 富士山を1周する
距離201km
獲得標高3450m
…獲得3450m!?
山だらけじゃん
しかも
雨かよ…
これ以上ないほど過酷な条件だが
いろんなものをテストするにはもってこいだと
気持ちを奮い立たせる
心が折れては 何もできない
4時起床
緊張して目が覚めてしまった
睡眠1時間で雨のブルベに行くのか…と
ちょっとブルー(笑)
上下ゴアテックスを着て
靴にはヴェロトーゼの中にビニールを履かせた
キャップもゴアテックス
グローブはRaphaのネオプレングローブ
インナーは着替え用に予備1着
朝食はアンパンとプリンを1000kcalほど
5時50分にスタート地点についたら
参加者はすでに出発していた(笑)
5時半からブリーフィングがあったらしい…
遅れてすみません と謝ったら
優しい主催者の方が 私が初めてだと知っていて
いろいろ説明してくれた
・途中誰の助けも無し 全て自力でやるのがブルベである
・富士山の中腹では気温0度の長〜いダウンヒルがあるので覚悟すべし
・エントリー者数十人のうち ほとんどが棄権し
今日の参加者は私を入れて6人だけ
生きて帰れるのか?(笑)
雨の中 駿府城をスタートした
ペースはひたすら180〜190Wで行く
これなら最後まで脚はなくならないはずだ
前に出発した参加者は全く見えてこない
こんな日に参加しているのは
向こうみずなアホか 長距離の猛者のどちらかだ
これだけ走って見えてこないという事は きっと私より速いに違いない
コースのナビは ブルベやってる人のブログに載ってた
OsmAnd Mapsというアプリを試してみたが
たった2時間でバッテリーが20%以下になってしまい
慌ててガーミンのナビに切り替える
(念のため地図をガーミンに入れといて良かった)
44km地点
最初のチェックポイントのコンビニで
肉まんとアンパンを補給し
ポカリをボトルに補充
そのレシートが 通過の証となるので
防水ケースにしっかり保管
なかなか優れたシステムであるが
変なものを買うとバレてしまうのが難点である
ここで参加者の1人と出くわした
見たところ50代後半の がっしり体型のおっちゃん
なんと上半身はビニールカッパで 下半身はただのレーパンにレッグウォーマーだ
私「それで大丈夫なんすか?」
おっちゃん「これしかなかったんです」
聞けば 何度も600km完走経験アリだという
そこまでの猛者ともなると 気温10度以下の雨でも
ただのカッパで済ましてしまうものなのか…
コンビニ出てすぐの激坂で
おっちゃんを追い抜き 5位に浮上
「頑張りましょう」と声をかけたが
帰ってきた声は 消えそうなほど元気がなかった
ちなみにおっちゃんは
その後すぐにリタイヤしたらしい
600km走破の猛者でも
こういうことが起こりうるのだ
その後も雨はひどくなるばかり
晴れていれば さぞかし絶景なのだろう
富士山の中腹まで40km続く上り坂で
2人の参加者を追い抜き
3位に浮上
標高1400m地点で雨はみぞれに変わった
露出している顔が痛すぎる
ふと 前に自転車を押して歩く人がいる
2位の参加者かと思ったら
どう見てもブルベ参加者ではなかった
男性 30歳ぐらい
普通のママチャリと
グレーの薄手のパーカー
部屋着のようなズボン
雨でずぶ濡れだ
キョロキョロと左右の樹林を 探るように見ながら歩いている
ここは標高1400m
麓の最後のコンビニから30km
こんなところで いったい何をしているのか?
「大丈夫ですか?」
と声をかけたら ビクッとこちらを見て
「あ 大丈夫です」
とニンマリ笑った
いろいろ話しかけたが「大丈夫です ありがとうございます」の一点張り
あまりに心配なので 持っていた補給食のジェルを渡した
気温0度のダウンヒルは 地獄だった
あまりに寒くて 止まろうかと迷ったが
止まったらさらに体温が下がって 動きが取れなくなる気がしたので
気合いで一気に下った
その下りで 2位の参加者を追い抜いた
これで前にいるのはあと1人だ
下りながら さっきのパーカーの兄ちゃんのことを思い出していた
渡すなら金のほうが良かったのではないか?
それにしても 何のためにあんな場所に?
ハッとした
自殺志願かもしれない
だとしたら もう少し話を聞いてみるんだった
だが本音を言うと 私は自殺志願者に対して
何も考えずに「死ぬな」と言うのは 無責任な気がしてしまう
自分もそうだから分かるのだが
生きている方が 死ぬよりも辛い人だっているのだ
いや ただのアホな冒険野郎かもしれない
私は彼のことを考えることをやめた
走ること11時間37分
ついにゴールのコンビニに到着した
ゴアテックスを着ても どこからともなく沁みてくる水で
体はびしょびしょだった
防水に関しては もう少し研究の余地があるようだ
ひたすら「早く終わってくれ」と思うほどキツかったが
コースの景色が素晴らしくて ずっと感嘆しながら走っていた
207km(道に迷った)
TSS 433(回復に4日必要)
結局 前にいる1人は
1度も姿を見なかった
ゴールのコンビニ近くに住む主催者が
自宅を解放してゴールの受付をしていた
到着したら そこにいた数人のスタッフさんらが
「わーおめでとう!」「よくこの天候で!」
と祝福して 暖かいお茶を出してくれた
そしてこう言った
「1番時計ですよ!」
なんと 前には誰もいなかった
そりゃあ追いつかないわけだ(笑)
色々なデータが取れて かなり有意義なブルベだった
このブルベ用バイクも もう少し改良の余地があることが分かった
一番邪魔だったのは トップチューブバッグ
ダンシングすると内腿に擦れてとても邪魔だった
サドルも 超軽量でパッドがほとんどないモデルだと
低いパワーで漕ぐとお尻が痛くなる
このサドルでは600kmは無理だな…
何はともあれ 初ブルベは興奮の楽しさだった
一人相撲的な楽しさではあるが…
次は……晴れた日のデータを取りたい(笑)