ここのところ いろいろと大変で
調子も上がらないし メンタルも疲れているので
山口まで自転車を持って出かけた
勉強も兼ねて 自転車イベント「ながとブルーオーシャンライド」の
サポートライダーをさせてもらえるよう
実行委員長の白石真悟に頼んでおいたのだ
萩・石見(いわみ)空港に降り立ち
長門(ながと)のシンゴ家まではおよそ100km
海岸線を行こうか 津和野を通って農村を走ろうか
などと考えていたら
到着口の出迎えの人混みの中に 異物感のある人がいる
最初に見た時は「変わった出迎えもあるもんだ」と思い
そのまま荷物が出てくるのを待っていたが
ふと嫌な予感がして もう一度出迎えの人を見た
「民宿 白石」を見て 心に鳥肌が立った
まさかこれ 私のお迎えじゃないか…?
しかも ボードを持っているのは
ヨーロッパで走っている大町健斗だ
ここまで来て 私の脳は理解した
「のんびりサイクリングするチャンスはゼロだ」ということを(笑)
案の定 超特急が発車した
スタートから10分のパワーは
着き位置(ケントの後ろに着くこと)で299W(笑)
坂道だと風よけの効果が薄れるので 380Wに跳ね上がる
僕は今日 のんびりサイクリングで
心を癒やしに来たんじゃなかったっけ…
空港から20分ぐらい走って ようやく260W(体重の4.5倍)ぐらいに落ち着いた
途中でシンゴも合流
峠で私を千切って 2人で消えていった
僕はここに何しに来たんだっけ…
次の日
バキバキの筋肉痛で イベントに参加した
サポートスタッフのベストを受け取る
今まで全国のイベントを取材してきたが
自分の中で もう一度自転車イベントというものを考え直したかった
絶景の秋吉台と 透き通るような青い海を堪能できるコース
獲得標高は110kmで1500mなので けっこうキツい
参加枠は300人
地元のこだわりの名店が
エイドで絶品のコーヒーとケーキを振る舞ったり
市役所の職員が総出で フレンドリーに声をかけてくれたり
小規模なイベントならではのクオリティだった
このイベントは サポートライダーが超優秀で
多くがシマノ下関の社員たちだ
それぞれが素早い現場判断ができて
自転車の知識もかなりのレベル(そりゃそうだ)
初心者の私が 何かの役に立てる気がしない(笑)
ショックな出来事もあった
スタートして割とすぐのこと
道を間違えた参加者を追いかけて コース復帰を促したとき
そのおっちゃんに ものすごい勢いで嫌味を言われた
しかもその言い方は こちらを完全に「下」として扱う言い方だった
よくもまあ そんなに人を見下した言い方ができるもんだと
感心しながら聞いていた
もちろん私はひたすら謝り続けた
ルートを指示する看板が デカデカと立てられていて
あれは見落とす方が悪いとしか思えないから
「ちゃんと看板あるから しっかり見てくれ」と言いたかったが
大会に迷惑をかけるわけにいかないので とにかく謝った
「ホントすみません!担当に言っときますんで(誰が担当か知らないけど)」
「ああ、そうして」
「申し訳ないので、ルートまでご案内しますね」
「あたりまえだ」
おっちゃんの前を
ちょっとだけペースを早めに走っておいた
イベントの参加者は「お客さま」なのである
そして「お客さま」は「偉い」のである
しかし不思議でならない
なぜ「お客さま」は偉いのか?
エイド食を お客さまの邪魔にならないように
すみっこで立って食べた
もちろん素敵な参加者もたくさんいた
75歳のご老人
下り坂でパンクして落車し
擦過傷だらけになりながら パンク修理をしていた
ヘルメットは無傷だったが 軽く頭を打っているというので
念のため救護班を呼ぼうとしたら
「大丈夫! そんなもんいらん!」
とお叱りを受けた
「でもおとっつぁん、脳震盪って怖いもんで、
早めにお迎えが来ちゃうこともあるんですよ」
「バカいえ。わしゃ大丈夫じゃ」
そしてパンク修理を申し出たら
「申し訳ない。いやー恥ずかしい」
と顔を赤らめて 泣き笑いをされた
聞けば 今年ロードバイクを始めたばかりで
初めて100km以上走るらしい
すごい爺さまもいるもんだ
パンク修理を教えながら チューブを入れ替えていたら
「あんた優しいな。優秀な人じゃ。ありがとうな」
と喜んでくれた
「他のサポートの人は 私よりもっと優秀な人ばかりですよ」
と言うと
「わははは。そりゃ嘘じゃ。あんたみたいなのなかなかおらん」
と笑われた
スタッフとしてイベントを見て
いろいろと新鮮だった
ルートを案内し 食事を用意し
想像を超えてくるトラブルに対処し
「しもべ」の扱いで文句を言われ
日の出前から日没まで働いて
サポートライダーがもらっているのは ほんの交通費だけだ
おそらくどのロングライドイベントも
赤字ギリギリで 参加費に還元している
こんな大変なことをやっていられるのは
郷土愛しかないと思った
次は郷土愛の強いイベントに
取材に行きたいなあ
みなさんぜひおススメのイベントがあれば教えてください
ちなみにイベント開催の3か月前とかに教えてもらっても遅いです
来年度のイベントは 今のうちに教えてくださいね
で 次の日
帰りの飛行機は 朝10時55分発
朝4時に白石家を出て のんびり4時間で空港着と思っていたら
シンゴ&ケントから「一緒に行きましょう!」との申し出が…
朝5時 長門発
萩・石見空港行きの超特急に乗るハメに(笑)
ノンストップ…
脚スカスカなんだけど
置いていかれるわけにいかないので
必死に食らいついた
途中の鎖峠で ケントがタイムアタックをしていた
オフシーズンで調子は良くないし
イベントでサポート頑張りすぎて脚が攣ったと言っていたが
かっ飛んでいった
「林さん 気持ちですよ気持ち。自分はできると思うことも大事です」
息子のような年齢の子にも 対等に話をしてもらえるのが
自転車の良いところだ
空港まで98km 3時間ちょうどで到着
3日間でTSS600
完全に灰になった(笑)
そして 自転車バカは羽田に着くとお父さんの顔になり
花束を買って娘の発表会へ向かい
そのまま仕事現場へと消えていったのでした
ありがとうよ(笑)