◇宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年 日本 106分)
英題 Miyamoto Musashi Part2-Duel without End
staff 原作/吉川英治『宮本武蔵』
監督/内田吐夢 脚色/内田吐夢 鈴木尚之
企画/辻野公博 小川貴也 翁長孝雄
撮影/坪井誠 美術/鈴木孝俊 進行主任/神先頌尚
助監督/山下耕作 鳥居元宏 加藤彰 音楽/小杉太一郎
cast 中村錦之助 入江若葉 木村功 三國連太郎 木暮実千代 丘さとみ 月形龍之介
◇新人プロデューサー翁長孝雄
この大作『宮本武蔵』の5部作は、
じっくりと見れば、第2部から第5部までが一連の作品になっていることに気づく。
第1部はもしも当たらなかった場合も考慮に入れられたのか、
以降の4部に対しての伏線らしいものは観られない。
つまり、第1部は武蔵の青年時代の独立した話になっていて、
第2部から第5部までが、修行時代の半生を描いたものになってる。
そのためか、まず、音楽の担当が代替わりしている。
代替わりというのは、伊福部昭から小杉太一郎になっていることだ。
小杉太一郎は俳優にして映画監督の小杉勇の息子で、
伊福部昭の門下生でもあった。
長丁場の大作を門下生に譲ったという感じなんだろうけど、
もうひとり、京都太秦の新人プロデューサーが誕生している。
後に東映大泉撮影所の所長になった翁長孝雄だ。
公開時でいえば、
マキノ雅弘の『次郎長と小天狗 殴り込み甲州路』の方が3か月早いんだけど、
この『般若坂の決斗』はシリーズ物になってるわけだから、
企画立案から製作に入るまでの期間を考えれば、こちらが先ということになるだろう。
1962年、翁長さんがいくつだったのかわからないけど、
大学を出たばかりの初々しくもちょっぴり気障なプロデューサーだったんだろう。
映画のいちばんいい時代、太秦もさぞかし活気に満ちてたんだろな~。
そんなことを、ふとおもった。