◇宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年 日本 128分)
staff 原作/吉川英治『宮本武蔵』
監督/内田吐夢 脚色/内田吐夢 鈴木尚之
企画/辻野公博 小川貴也 翁長孝雄
撮影/吉田貞次 美術/鈴木孝俊 進行主任/神先頌尚
助監督/鎌田房夫 篠塚正秀 野波静雄 菅孝之 音楽/小杉太一郎
cast 中村錦之助 入江若葉 高倉健 平幹二朗 木村功 丘さとみ 千田是也
◇5部作中、最高の殺陣
一乗寺下り松の決闘は、凄い。
大学の頃、何度、観直したことだろう。
内田吐夢の迫力ってのはこういうものなのかって唸ったもんだ。
水田のぬかるみに足を取られちゃうから畳を敷いたって話は、
いつ教えてもらったのか憶えてないんだけど、
へ~映画ってのはそうやって撮るんだね~って感心したことはよく憶えてる。
ちなみに、
この第4部でいちばん大きな変更は、助監督だ。
それまでの3作品のチーフ助監督は山下耕作だった。
でも、山下耕作は1961年の段階で『若殿千両肌』で処女作を撮ってるし、
なんといってもこの年『関の弥太っぺ』を撮らなくちゃいけなかった。
いつまでも助監督で置いとくわけにはいかないよね。
進行主任は植木良作や片岡照七などから次々に変わったけど、
この一連の面々を見てると、
なんだか『宮本武蔵』の5部作は、若手の修業の場みたいにおもえてくる。
ただ、
どうしても錦之助の武蔵映画っていう印象で観始めちゃうもんだから、
佐々木小次郎の場面になるとテンションが下がる。
健さんの小次郎に違和感があるからじゃなくて、映画の緊張感が違うんだよね。
中村錦之助の芝居は、凄まじい緊張感があって、これは他の追随を許さない。
それはもしかしたらスタッフにも伝わっていたんじゃないかっておもうくらいで、
現場に緊張感の漲っている場面は、それが画面にも出てくるんじゃないかしら?
そんな気にさせる第4部だったわ。