▽ザ・プラマー 恐怖の訪問者(1979年 オーストラリア 76分)
原題 The Plumber
staff 監督・脚本/ピーター・ウィアー
撮影/デヴィッド・サンダーソン 編集/ジェラルド・ターニー=スミス
音楽/ジェリー・トランド ロリー・オドノヒュー 製作/マット・キャロル
cast ジュディ・モリス アイヴァー・カンツ ロバート・コールビー アンリ・ゼプス
▽不条理すぎる配管工
年賦を見てみると、
この作品はピーター・ウィアーが35歳のときのテレビ映画らしい。
よくもまあこれだけ起伏のない物語をテレビ放映したな~、
っていう驚きもさることながら、もっと驚くのは、
ピーター・ウィアーにとってこの作品は4本目の監督作品で、
なおかつ、
『ピクニックatハンギング・ロック』を撮った4年後に製作していることだ。
これは、
ほんとに同じ人間が撮ったんだろうかっていうほどの衝撃だわ。
いやまじで。
ピーター・ウィアーは寡作な人で、70年代から90年代の前半までは、
ほぼ2年に1本の割合で映画を撮ってきたけど、
その後は5年に1本しか撮らなくなっている。
だから、1本1本にかなりちからが入っていて、たしかに凄い。
ところが、なんでなんだかよくわかんないんだけど、この作品がぽつんとある。
なんで、この、
いきなりマンションにやってきた配管工に、
浴室を占拠されるってだけの作品が撮られたのか、
ほんとによくわかんない。
これは、もはや、想像力の勝負だろう。
たしかに配管工はちょっと不気味で分裂症ぎみで、腹立たしい男なんだが、
配管工の存在に形而上学的な意味をもたせるのか、
あるいはホラーとかSFとかいった要素を加味させるのか、
それともテレビ局とピーター・ウィアーとの確執を想像するのか、
さらには、ピーター・ウィアーという名前がおんなじ監督がいたのか、
ともかくも、
鑑賞者としてのぼくたちが自分なりの判断と想像で、
この得体の知れない話で語られていないものを考えるよりほかに、
いっさい、手はない。
けど、なんにも浮かんでこない。
ぼくは、どうすればいいのだろう。