◎ノーベル殺人事件(2012年 スウェーデン 90分)
原題 Nobels testamente
米題 Nobel's Last Will
staff 原作/リサ・マークルンド『アニカ・ベングッソン』
監督/ピーター・フリント 製作/ジェニー・ジルベルトソン
脚本/パーニラ・オリルンド 撮影/エリック・クレス 音楽/アダム・ノルデン
cast マリン・クレピン レイフ・アンドレ エリック・ヨハンソン ペール・グラフマン
◎あってはならない犯罪
ていうか、よくまあ、ノーベル財団がこの映画の製作を許したもんだ。
日本だったら何に当たるのかわからないけど、
ともかく、はなから相手にされないか、話を聞いた後で拒否されるのがオチだろう。
それが、生理学・医学賞の選考委員会で不正があったかもしれないという、
なんとも厄介な事件をでっちあげる作品を作ることに、
まるで意義を唱えなかったっていうのは、
要するに、
欧米における映像文化の成熟度が日本よりも高いってことなのかもしれないね。
ノーベル生理学・医学賞の選考委員会は、
ストックホルムのカロリンスカ研究所に置かれてるんだけど、
もちろん、この研究所が事件の主要な舞台のひとつになるわけで、
映画の撮影時、委員会のひとたちはいったいどんな気分だったんだろう。
ぼくは気が小さいものだから、
こんな映画はとても作れないけど、この作品のスタッフはたいしたもんだ。
もしかしたら、選考委員会の人達もノーベル財団も、いたって開放的で、
「そりゃ、おもしろい。殺されるのは、わたし?」
とかって訊いてくれたかもしれないけど、どうだったんだろうね?
ノーベル賞を受賞すると、
ことに生物学や医学の分野では、巨額のお金が動くことが多々ある。
この事件の場合、ES細胞の研究開発に携わった学者が受賞し、
舞踏会の最中、かれと、踊っている相手の女性とが標的になり、
かれは太股を負傷しただけだったんだけど、女性は即死した。
この女性が選考委員会の委員長で、
もちろん、この事件の勃発あたりから、
標的は学者じゃなくて委員長だろな~とかいう想像はついてくる。
で、
委員会に圧力をかけた医薬品の企業あたりが黒幕なんじゃないかな~、
てな予測も立ってくるんだけど、
事件を目撃した新聞記者マリン・クレピンが実際に追われ始めるのは、
ずいぶん佳境が近づいてからで、
その前に息子が通っている保育園でいじめに遭い、怪我をするんだけど、
ぼくは、
マリン・クレピンの家のとなりに引っ越してきた隣人まで敵の暗殺一家なんか!?
だとしたら、こりゃ、相当にでかい組織ってことになるじゃん!
とかって、一瞬わくわくしたんだけど、あれれ、一般の母親の姿でしかなく、
この怪我がもとで夫婦に亀裂が走り、不倫の匂いが漂い始めて、
その相手になりそうな野郎が事件に大きく関与してるみたいで、
「え?もしかしたら、この一連の長い息子話はその巡り合わせのためなの?」
とかっておもった瞬間、ちょいと肩のちからが抜けた。
ま、そんなこともあったりして、
展開の緊迫度はかなり薄れてるし、
ぼくとしては、
暗殺者と新聞記者との対決、さらには黒幕への肉薄を期待してるわけで、
そういう面からいえば、うまく出来てはいるんだけど、
肩透かしを食らったかなって気分ではある。