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水曜日のエミリア

2014年11月08日 01時55分08秒 | 洋画2009年

 ◇水曜日のエミリア(2009年 アメリカ 102分)

 原題 Love and Other Impossible Pursuits

 staff 原作/アイアレット・ウォルドマン『The Other Woman』 監督・脚本/ドン・ルース 製作総指揮/ナタリー・ポートマン、アビー・ウルフ=ワイス、レナ・ロンソン、カシアン・エルウェス 撮影/スティーヴ・イェドリン 音楽/ジョン・スウィハート

 cast ナタリー・ポートマン スコット・コーエン ローレン・アンブローズ リサ・クドロー

 

 ◇僕はイサベルの生まれ変わりにいつか会うよ

 簡単にいってしまえば、不倫相手と結婚したとき、その連れ子といかにして仲良くなってゆくか、という話だ。

 でも、そんな他愛ない話に過ぎないんだけど、ナタリー・ポートマンの実生活とどこかダブって見えかねないところがあるものだから、ちょっとばかり別な意味でのデバガメ心もよぎったりする。でもまあ、そんなことはどうでもよく、世の中、これだけ離婚だ不倫だ浮気だ再婚だとかって話が蔓延してくると、従来の価値観ではどうにもならなくなってるっていう感じは受けないこともない。そうしたところ、この作品の目の付け所は決して悪くはない。まあそれに、学歴コンプレックスのあるぼくは、ハーヴァード大学とイェール大学に現役合格し、ヘブライ大学院において中東問題の研究まで修めたっていうナタリー・ポートマンが「作りたい」とおもったものにまちがいはないんじゃないかっておもったりするものだから、始末が悪い。

 ま、設定としてはそれなりにおもしろい。

 ナタリー・ポートマン演じる主人公は、不倫相手と結婚して妊娠するものの、イザベルと名づけた娘をたった生後3日で失った。しかもその死については乳児突然死症候群によるものではなく、もしかしたら自分が圧死させてしまったかもしれないという、ちょっぴり複雑なものだ。だから、彼女の痛手は大きく、きわめて苦しい自己嫌悪にも苛まれている。けれど、略奪愛による結婚だからどうしても夫の連れ子には引け目があり、好い母親でいなければならないっていうストレスも相当にあったりする。で、その連れ子を自宅へ連れ帰る日が水曜日なもんだから、邦題がそうなってるってわけだ。

 それに、連れ子が、その母すなわち夫の元妻に対して、あれこれとなく耳打ちするのだろう。それによって、小姑ならぬ元妻が、めんどくさい夫や家庭の扱い方についてあれこれと口を挟んでくる。だから、なかなか、突然自分の家族になってしまった息子の面倒を見ようにもおもうがままにふるまえない。ほんとに、この連れ子は困ったもので、きわめて邪魔くさい。

「このままじゃあ、自分の望んでたような人生は送れないのではないか」

 という焦りが彼女に浮かんでくるのはごく当たり前な話だ。ところが、人間ていうのは慣れることができる動物なんだよね。自分の置かれている境遇にいつのまにか慣れちゃう。対人関係もそうで、そこには相互理解っていう人間にだけが備えている理性的な感情がある。

「僕はイサベルの生まれ変わりにいつか会うよ」

 と、連れ子がいうのは、つまり、ナタリー・ポートマンを母親として認め、兄弟姉妹ができることを期待しているという心情のあらわれだろう。ハリウッドは家族の再生をよく主題にするけど、この作品は家族の再編が主題なのかもしれないね。

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