◎ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年 日本 95分)
英題 Gamera:Guardian of the Universe
staff 監督/金子修介 脚本/伊藤和典 特技監督/樋口真嗣 撮影/戸澤潤一 照明/吉角荘介 美術/及川一 怪獣造型/原口智生 衣装デザイン/馬場紀子、長田好宣 音楽/大谷幸 主題歌/爆風スランプ『神話』作詞:サンプラザ中野 作曲:ファンキー末吉、斉藤かんじ、井上鑑 編曲:井上鑑、爆風スランプ
cast 伊原剛志 中山忍 藤谷文子 螢雪次朗 本郷功次郎 小野寺昭 本田博太郎 長谷川初範 久保明 松尾貴史 袴田吉彦 渡辺裕之 渡辺哲 風吹ジュン 夏木ゆたか 石井トミコ 大島蓉子 真山勇一 木村優子 大神いずみ 古賀之士 永井美奈子 若林健治
◎特撮とボク、その62
実に、おもしろい。怪獣映画の中では五指に入るんじゃないかって、ぼくは信じてる。
いまさら物語をつづったところでどうなるものでもないから書かないけど、脚本の見事さに加えて、編集が小気味いいんだよね。予算の足りなさを編集が補ってる感じがひしひしとする。余計だなと感じたのは主題歌で、関係した人達には申し訳ないけど、ぼくは常に邦画の主題歌や挿入歌については見え見えのタイアップに嫌気がさしてるものだから、特別な場合を除いてすべて余計な物として排除したいっておもってるんだよね。
この平成シリーズでいちばんの注目はやっぱりなんといっても螢雪次朗で、ぼくとしては本郷功次郎の出演が嬉しくてたまらないけど、螢雪次朗の師匠の螢雪太朗が『ガメラ対ギャオス』ですっ飛ばされてるのをおもうと、ほんと、このキャスティングは嬉しい。
当時、ゴジラの復活が最初の一作を除いてあらかた期待外れに終わり、その絶望感に反してこの作品の圧倒的なおもしろさは意外をとおりこして驚きだった。金子修介はアニメや漫画の実写化においては世間の認めるところだし、ぼくも好きな監督のひとりではあるんだけど、この作品に関してはおもいきり拍手したいくらいだった。
藤谷文子の素人くさい演技がちょっぴり辛いところでもあるんだけど、それはまあ仕方のないこととおもうしかない。とはいえ、さすが血はあらそえないっていうのか、存在感はあるんだよね。だから、この後もシリーズの狂言回し的な役割を演じていったのはよくわかる。
物語についてよかったことは、ガメラの設定をまったくやり直したことで、ギャオスが孵化しなければガメラは蘇生しなかったというアトランティス文明の滅亡と希望のからくりは実に興奮もので、こののち、ゴジラでも似たような超古代史を組み込んできたのは失敗だったんじゃないかとおもうものの、こちらはいうことなしだ。もちろん、原口智生の造形もいい。子供じみたガメラやギャオスを脱却して、破壊的な印象が濃い。これがいいんだ。
音楽もまたいい。大谷幸の主題曲はようやくにしてガメラのテーマが世に出たって感じがして、歓迎することこの上ない。昭和ガメラはもうギャオス以降はきわめて残念で、そのあたりは昭和ゴジラの後半期とほとんど同じで、特撮映画とともに育ってきたぼくにとってはとっても悲しい展開だったんだけど、そういう無念さを吹き飛ばすようなちから強さのある音楽なんじゃないかしら。
ということで、ひさしぶりに観ても、やっぱりよかったわ。