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ガメラ2 レギオン襲来

2014年11月27日 12時52分45秒 | 邦画1991~2000年

 ◎ガメラ2 レギオン襲来(1996年 日本 99分)

 英題 Gamera 2 : Attack of the Legion

 staff 監督/金子修介 脚本/伊藤和典 撮影/戸澤潤一 美術/及川一 レギオン・デザイン/前田真宏、樋口真嗣 音楽/大谷幸 主題歌/ウルフルズ『そら』作詞・作曲:トータス松本、編曲:太田要

 cast 水野美紀 永島敏行 石橋保 吹越満 藤谷文子 螢雪次朗 川津祐介 鈴井貴之 大泉洋 田口トモロヲ 養老孟司 長谷川初範 ラサール石井 ベンガル 角替和枝 沖田浩之 小林昭二 渡辺裕之 辻萬長 大河内浩 前田亜季 関谷亜矢子 薮本雅子 福留功男 小松みゆき 徳間康快

 

 ◎特撮とボク、その63

 平成ガメラは怪獣映画の傑作シリーズだとおもうんだけど、この作品はその中でも白眉だ。

 レギオン(マザー、ソルジャー、プラント)の宇宙怪獣としての納得のゆく設定といい、自衛隊の戦いぶりといい、水野美紀をとりまく男ふたりと両親との微妙なバランスといい、ガメラとそれを信じる人々との連携といい、なにより、進化したガメラの飛行と戦いぶりが実に巧みに散りばめられている。

 たしかに、地球の超古代文明をひきずった第1作と第3作の間にあって、ひとつとびぬけた設定と展開ではあるんだけれど、その分、単体としても楽しめる。邦画の場合、第2作目はたいがい前作よりも見劣りしたりするものなんだけど、この作品はそうじゃない。進化してる。それが凄い。

 おそらく、邦画の怪獣映画の中で、この作品ほど自衛隊がかっこいい作品はなく、人間と怪獣が共同戦線を張るというのはこういうことだと突きつけられているようで、そのあたりの清々しさがなんともいえない。そう、この作品において人間たちはちゃんと生きてる。石橋保が激烈な戦闘中に聖書をおもいだしてレギオンと名づけるのはちょっとありえないだろっていう突っ込みもあるけど、自衛隊というか軍人のある意味においてのかっこよさはしっかりと描かれている。

 いやまじな話、伊藤和典の脚本はこの作品では神がかってんじゃないかっていう感まである。戦争で東京を焦土にされた小林昭二の諦観ともつかない「今度こそ守ろうや」という台詞を筆頭に、随所に見られる自衛官たちのそれぞれの立場による言葉の数々は、逃げたって誰も文句はいいやせんというリアリズムに裏打ちされているようで、見ていておもわず唇をひきむすんでしまうほどだ。戦車の移動する際のリアリズムもそうで、昭和ガメラの常連大村崑の琺瑯看板での特別出演もあるが、ともかく、終始自衛隊はかっこいい。

 もちろん、自衛官だけでなく民間人の台詞もまたいい。子供たちのガメラへのおもいのつよさもぐっとくるけど、なんといっても水野美紀だ。軍人の妻となってもいいような「ご武運を」を台詞だけでなく、子供ような「ガメラの敵にはなりたくないよね」という締めくくりにいたるまで、終始、決まってる。

 ただ、水野美紀はなんでそんなに寒い中をいつもミニスカートでパンプスなんだっていう疑問もある。これはもしかしたら、生来のニンフで、ミニのまま吹越満がPCをいじってる机に腰かけたかとおもえば、台の上にいる彼女に対して永島敏行が手をさしかけるを無視してすたっと下りてしまったりと、常に男どもを惑わす妖しい魅力が無意識の内に備わっているんじゃないか。男ふたりが実家の薬局店を訪ねてきたときも「パワーバランス」といってミニスカートの奥を見せるような見せないような仕草でベッドに座る図など、どことなくあどけなさの残った顔を持ちながら、酒を隠し持っていたりするアンバランスさはまちがいなく男を虜にしてしまう凄さを秘めてるんだと見ながらおもってしまったのは、もちろん、ぼくだけじゃないはずだ。

 すごいぞ、水野美紀。

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