◎チリ33人 希望の軌跡(2015年 アメリカ、チリ 127分)
原題 THE33
監督 パトリシア・リゲン
◎2010年8月、チリ・サンホセ鉱山
この事件はよく憶えてる。
坑道の崩落事故が起こって地下700メートルに生き埋めにされ、69日後に全員無事に救出されたとき、早くもハリウッドで映画化されるって話が聞こえてきた。ま、そうだろうな~とおもってたら、ほんとにできた。こういう実話物が俎板に挙げられると、当時ではまず最初に囁かれたのがハリソン・フォードで、いつだったかポトマック運河に航空機が不時着したときもそうだった。あちらは映画にならなかったけど、こちらはなった。なるよね、感動的だもん。
ていうより、予想よりも出来栄えがよかった。アントニオ・バンデラスがなんとも上手で、味のある役者になったな~っておもったのと、まさかのジュリエット・ビノシュがひとりだけ浮いちゃいそうだったとはいえやっぱり上手だったね。
それにしても、ニュースを見ていたときはよくわからなかったんだけど、想像していたよりも坑道が広く、そして迷路のように長く、凄まじく深かった。なるほど、生き埋めっていうからもうすこし狭苦しいような地下世界を想像してたんだけど、これは認識不足だった。というより、ぼくが好い加減な想像を働かせていたんだろね。
なににせよ、脚本が上手く書かれていて、例の世界中で有名になってしまった愛人のいる炭鉱夫の話もおもいだせたし、いかにも南米の陽気な逞しさが随処に見られるのもこの物語の味なんだろう。民俗的な音楽もまた味わい深いものがあったしね。