☆フル・モンティ(1997年 イギリス 91分)
原題 The Full Monty
監督 ピーター・カッタネオ
☆シェフィールドのストリップ
90年代のある時期、イギリス映画はなんだかすごくおもしろくなった気がする。小粒なんだけど気の利いた作品が矢継ぎ早に封切られてたような。この作品もそのときに初めて観たんだけど、いや~おもしろかった。ロバート・カーライルを知ったのもこのときで、うだつのあがらない父親像にはぴったりの役者におもえた。それだけ演技が嵌まってたんだろね。
イギリスの場合、炭鉱町の不況はよく映画になる。まあそれは日本でも同じなんだけど、古くは『幸せの黄色いハンカチ』がそうだったし、近頃では『信さん 炭鉱町のセレナーデ』もそうだ。やっぱり人間が町ぐるみで苦境に立たされてしまうっていうのはもの悲しい物語性を帯びてくるんだろうけど、それを撥ね返してしまうのがイギリスで、たとえば『ブラス!』なんかもそうだ。この作品ももちろんそうした系列で、不況によって沈滞していく町の人々がいて、せめて心だけでも蘇生させて未来への活力を得たいっていうその一瞬を描くのは、いや、ほんとにイギリスは上手だ。