◇閉ざされた森(2003年 アメリカ 98分)
原題 Basic
監督 ジョン・マクティアナン
◇熱帯雨林の密林
それがパナマとくれば、もう、麻薬しかない。
案の定、ジョン・トラボルタは麻薬取締局捜査官として登場する。しかも、元レンジャー隊員であり、かつ、今は麻薬密売の容疑までかけられているという設定で、しかも尋問の達人てな扱いだから、まあこの妙に完璧ながらも黒白判然としない人間が登場すれば、このまま捜査を続けて大団円まで持ち込むかあるいはどんでん返しで真犯人の黒幕になるかのどちらかしかない。
で、もうひとりの主役であるサミュエル・L・ジャクソンがやけに最初から悪役で、くわえて豪雨と人間の心によって閉ざされたパナマの密林で、レンジャー小隊を全滅させてしまいさらには自分もまた何者かに殺されちゃってるとかってことになれば、これはもう途中から重要な回想場面に登場してきて事件の鍵を握っているかあるいは黒白どちらかの人間として生きているってことになるんだけど、後者の場合はたいがい好いもんってことに相場が決まってる。
さらにいうと、ジョン・トラボルタの相手役になるコニー・ニールセンなんだけど、彼女の場合、ただ単にトラボルタの助手的なあつかいで狂言回しをするだけなのかといえば、それはちょっともったいないし、そういう立場でもない。となると、これはもうトラボルタの捜査に感心する一方でトラボルタを徹底的に疑い、やがてこいつがダイイングメッセージにもあった「8」なる組織の黒幕にちがいないとおもいこんだ後、なんとまあ鮮やかにも正義の味方になっちゃうか、あるいはトラボルタに不快感をおぼえながらも惹かれていっちゃって、やがておもいもよらないことからトラボルタの真実つまり真犯人であることを知って対決するか、そのどちらかしかない。
こうして見てくると、この作品もまたトラボルタにはありがちな2時間ドラマの大掛かり篇ってことになっちゃうんだよね。ほんとにね、トラボルタはたぶん好いやつなんだろうけど、作品に恵まれてるかといえばちょっとね。ニコラス・ケイジみたいになんでもかんでも出ちゃうっていう、ほんとはそうじゃないんだろうけど、そういう姿勢が必要かもしれないね。