◇ジャズ大名
ま、これはどうしたところで大映の作品よね。この1986年当時、映画界はまだまだどん底にあって、まあちょっとだけ上向いたとはいえ、なにを作っていいのやら、混迷の極みみたいなところがあった。ことにこの作品の実際の制作にあたってた大映映像はフジテレビの3時間ドラマ『不帰水道』のあと『未完の大局』から『敦煌』と続いて、必死になってるあたりだった。でまあ、岡本喜八はどういうわけか大映とつかずはなれずで『ダイナマイトどんどん』以来の大映作品になった。
加藤雄大さんとは連続した仕事だったみたいで、まあ、大映側の考えてることはわからないでもなくて、日本やらアメリカやら外交交渉をしている連中なんかすっとばして庶民の交流は音楽さえあれば始まるんだっていう、なんともひらきなおった作品だったんだけど、でもなあ、役者たちがちからをいれすぎで、喜八さんもやりたいことはわかるんだけどもうすこしわざとらしさをおさえられなかったんだろうかっていう気がするかなあ。
やりたいことはとてもよくわかるんだけど、1986年の制作でしょ?20年遅かったんじゃないかなあ。せめて1970年代に撮ってれば面白かったかもしれないね。そしたらキャストも全員ちがってただろうし、ま、仕方ないか。
ただ、タモリがセッションの部分でちょっとだけ出てたんだね、へ~。