◇定められし運命(Malgré-elles)
レーベンスボルン(生命の泉 )をあつかうのはかなり珍しく、これはこれなりに興味深い。
モロッコ人のマーシャ・メリルがアルザス人っていうのはちょっと無理があるような気がしないではないけど、まあ、ルイーズ・エレーロはまあなんとなくLebensbornに送られてアーリア人の子孫を産めって強要されそうな感じではあるかな。
それはともかく、ナチスを悪者にしてしまえば物語もなんなく進行していくんだけど、でもどうなんだろうね、アルザスっていうドイツとフランスの国境紛争の地だからこそ、フランスがこういう映画をつくり、ただ、ドイツにも配慮するために爆弾製造工場の責任者として召集されたっていう設定の独法学者を登場させて、その妹の修道院に避難させるっていう苦肉の策に出るしかなかってっていうのはよくわかる。
ただ、アーリア系の赤ん坊を産んじゃうルイーズ・エレーロがせっかく出産したのに自殺する理由がいまひとつ納得できないのと「黒い方は始末しろ」と命じられたのにマーシャ・メリルが掃除婦として雇われ続けるっていうのも、なんだか都合上のことにおもえて納得しづらいんだけど。
それと、ちょっと予算が少なすぎるんじゃないかな。あまりにも現場と構図がおんなじで、単調すぎるかなあ。けど、たとえ嬰児のおしゃぶりのためとはいえヒロインの乳房をもろだしにするんだから、劇場公開された映画なのかなあ。