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静かなる叫び

2022年12月12日 20時29分49秒 | 洋画2009年

 ◇静かなる叫び(Polytechnique)

 

 わからないことがいくつかあって、まずはなんで白黒にしたんだろうってことだ。ドゥニ・ビルヌーブは、好きな監督なんだけど、ときどき、こういうことがある。批評家受けは好さそうなんだけど、ぼくにはよくわからない。どうせだったら血だけ色をつけてほしかった気もするけどね。

 1989年12月6日、カナダのケベック州モントリオールにあるモントリオール理工科大学。ここで銃の乱射事件があったことは実は知らなかった。なんとなくカナダは遠い。カリーヌ・ヴァナッスの演じる女子学生は、女であることを自覚しててちゃんとすね毛のお手入れもしてるけど、でも機械工学の勉強にも余念がなく、勉強よりも煩悩の方が多そうな男子学生には講義のノートを貸してやったりする。けど、出産のために辞められちゃ困るんだよな~っていう男尊女卑ってほどでもないけどきわめて男女間の差別には無意識な悪意をもった就職相談の担当野郎への反論は我慢しなくちゃいけないっていう立場にある。こういう彼女らがいるところへ「ぼくはフェミニストを憎んでるんだよ!」てな犯人が突撃してくるんだけど、この事件のトラウマに苛まれるのはわずかな尺で、あらかたは事件を追ってる。

 ただ「ぼくの人生を破滅させたフェミニストをあの世へおくる」ってな手紙を遺したりして、そんな決意をさせるフェミニストってなんか意味あるのか?なにか別な人間の種類を象徴させてるのか?ておもうくらい、理解しがたい感情が継続してる。で、ずうっと蜂の羽音のような音の震えが続いてる。

 まあこのあたりはわかるんだけど、はっきりいってグランドホテル形式の出だしは退屈だ。なんか変なの。なんでこいつ銃をぶっぱなしてるだけでもっと確実に狙わないんだろ。たまたま弾があたった女子学生がいるってだけで、狂気ばしった目つきのわりにはなんにもしてない。そんなふうに受け取れる画面展開だった。

 なんだが、血走ってるわりには緩慢な犯行で、気持ちはあっても行動が上ずってる観がありありだ。だから、肩を撃ち抜かれた子がいれば、即死の子もいたり、学館のロビーに来たんならここでつぎつぎに撃たないのはなんで?てな疑問も浮かんじゃうのかもしれないし、あまりにも行動がとろい男を追いかける必要性も感じない。

 まあ、そんなふうに中途半端な印象を受けたんだけど、たぶん、ぼくの見方は浅いんだろうな。

 
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