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Kinema DENBEY since January 1. 2007

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シチズンフォー スノーデンの暴露

2017年08月16日 20時13分46秒 | 洋画2014年

 ◇シチズンフォー スノーデンの暴露(2014年 アメリカ、ドイツ 114分)

 原題 Citizenfour

 監督 ローラ・ポイトラス

 出演 エドワード・スノーデン

 

 ◇2013年6月3日月曜

 香港のホテルでスノーデンがグレン・グリーンウォルドの取材を受けた一部始終なんだけど、ぼくはほんとに感覚が鈍いのか、このインタビューの包含している凄さについてあまり実感がなかった。現実味がなかったといった方がいいのかもしれないんだけど、でももしかしたらぼくみたいな日本人は少なくないのかもしれない。ただ、グリーンウォルドがイギリスのガーディアン紙にスクープを載せたのは事実だし、その後のスノーデンについてはあきらかにアメリカは戦慄したし、この文章を書いている今も尚、ロシアに身を寄せたままになってるし、さらにいうとこの世紀の告発については現在進行中だ。なのに、なんだか現実味に乏しいと感じてしまうことこそ、IT社会の恐ろしさなんだろね。

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あの頃ペニー・レインと

2017年08月15日 00時36分57秒 | 洋画2000年

 ◇あの頃ペニー・レインと(2000年 アメリカ 122分)

 原題 Almost Famous

 監督・脚本 キャメロン・クロウ

 出演 パトリック・フュジット、ケイト・ハドソン、ビリー・クラダップ

 

 ◇I Am A Golden God!

 どうやらキャメロン・クロウの自伝的な物語らしいけど、ペニー自体はそれほど本人に絡んでるわけではなく、自分はロックバンドのツアー取材してその思い出ぶかい顛末を描いているにすぎないのかなと。まあローリングストーン誌のトップに掲載されるかどうかというのはたいしたものだけどさ。

 ちなみに、おれは輝ける神だ!ていう叫びの元は、レッド・ツェッペリンのロバート・プラントがロスアンゼルスのハイアット・ホテルで叫んだのをキャメロン・クロウが聴いたものらしい。

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U.N.エージェント

2017年08月14日 14時06分04秒 | 洋画2008年

 ◇U.N.エージェント(2008年 フランス、ポーランド、イタリア 96分)

 原題 Résolution 819

 監督 ジャコモ・バティアート

 出演 ブノワ・マジメル、イポリット・ジラルド、カロリーナ・グルシュカ、クリストフ・オーデン

 ◇1995年7月、スレブレニツァの虐殺

 1995年夏のボスニアヘルツェゴビナにおける8,373人を超える犠牲を出したスレプレニツァの虐殺と殺されたボシュニャク人の死体遺棄を暴こうとする警官の3年におよぶ捜査と旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷なんだけど、テレビ映画だからか、いまひとつ迫力と盛り上がりに欠ける。ヒロイン年法医人類学者が地雷を踏んだのをサスペンスにするくらいなら他に方法がありそうな気もするけど捜査官との仲を親密にする展開からすればありかなとも。

 それにしてもブノワ・マジメル、煙草、喫いすぎだろ。

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スローターハウス5

2017年08月13日 13時21分32秒 | 洋画1971~1980年

 △スローターハウス5(1972年 アメリカ 104分)

 原題 Slaughterhouse-Five

 監督 ジョージ・ロイ・ヒル

 出演 ヴァレリー・ペリン、ロバーツ・ブロッサム

 

 △1945年2月13~15日、ドレスデン空襲

 時間を超越してしまう能力を身につけてしまっている主人公ととある女優がつがいとなって宇宙人に拉致されてゆく必要性をまるで感じないし、もっと目まぐるしい場面と時間の展開があるのかとおもえば、ほとんどそんなことはなくドレスデン空襲に終始してた。こんなことなら空襲に巻き込まれた米兵捕虜の回想というだけで充分ではないのか。あ、ところで、ゴルトベルク変奏曲はとっても合ってたね。

 ちなみに、この捕虜というのが原作者のカート・ヴォネガットで、かれはこのドレスデンでの体験をもとにしてこの小説を書いたそうなんだけど、ぼくは原作を読んでないからその面白さはわからない。ただ、この作品、カンヌ国際映画祭で審査員賞をとってる。う~む。

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フラッシュダンス

2017年08月12日 01時49分35秒 | 洋画1981~1990年

 ◇フラッシュダンス(1983年 アメリカ 95分)

 原題 Flashdance

 監督 エイドリアン・ライン

 出演 ジェニファー・ビールス、マイケル・ヌーリー

 

 ◇ピッツバーグの夢物語

 懐かしい。絵はやっぱりかっこよく撮られてるんだけど、やっぱりスタンドインはわかっちゃうんだね。ジェニファー・ビールスはほんとあの時代の、つまり、80年代前半の女の子なんだな~。

 あ、今おもったんだけど、製鉄所の溶接工たちの真ん前で喧嘩して仲直りしたときに、まわりの連中がはやし立てて拍手が起こるっていういかにもあざとい演出、あれってこの作品からなのかしら?ありがちなんだけど、あまりにもあざとくて誰もしてこなかったんじゃないかっていうくらいなんともおとぎ話的な演出だったんだけど、この時代からこういう少女趣味が流行り出したんだよね。

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映画けいおん!

2017年08月11日 01時44分14秒 | 邦画2011年

 △映画けいおん!(2011年 日本 110分)

 監督 山田尚子

 

 △計画!の後日談

 桜が丘女子高等学校軽音部を卒業する唯、律、澪、紬が在校生の梓に贈り物をするっていうだけの話にロンドンの卒業旅行が絡められてにわかに話が大きくなってるんだけど、その分学園内の軽音部の風味が薄れてしまってないかな。

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コラテラル

2017年08月10日 22時47分08秒 | 洋画2004年

 ◇コラテラル(2004年 アメリカ 120分)

 原題 Collateral

 監督 マイケル・マン

 出演 トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ハビエル・バルデム、ジェイソン・ステイサム

 

 ◇タクシーの運転手と検事の出会いの話

 トム・クルーズの完全悪役というのも珍しいけど『ヒッチハイク』みたいなもので、いつなんどき自分の車に殺人鬼が乗り込んでくるのかわからないといったアメリカ人の恐怖がこういう物語を生み出すんだろうね。タクシーの運転手であればその不安はなおさらだ。最初に乗ってきた女検事ジェイダ・ピンケット=スミスに興味を持ち、殺人鬼トム・クルーズにも付き合いを勧められたりする関係ないような設定がやがて暗殺者のターゲットだとわかってくる過程で、自明なことながらそうこなくちゃねとおもわせるのは定番ながらいい感じではあった。

 いずれにしても男と女の出会いはどこでどんな具合に発展するのか予測が立たないし、暗殺者が仲人になって出会うってこともあるじゃんねっていう映画だった。まあ、一夜の物語を徹底して追いかけるってのがいちばん映画的なんだろな。

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誘拐報道

2017年08月09日 00時58分13秒 | 邦画1981~1990年

 ◇誘拐報道(1982年 日本 134分)

 監督 伊藤俊也

 出演 萩原健一、小柳ルミ子、中尾彬、池波志乃、

    丹波哲郎、藤谷美和子、伊東四朗、秋吉久美子、

    高橋かおり、平幹二郎、菅原文太、三波伸介、

    松尾嘉代、高沢順子、大和田伸也、小倉一郎

 

 ◇揉み手で踏ん反り返る天尾完次

 原作権の交渉の際、プロデューサーの天尾完次はそのようであったと読売新聞に寸評されている。

 まったく、言い得て妙だ。

 それにしても、ショーケンは凄いというか鬼気迫るな。中尾彬のこすっからくて品のかけらもない小悪党ぶりも堂に入ってるし、池波志乃のどうしようもない淫乱ぶりもこれまたまいっちゃうくらい凄い。いや、小柳ルミ子や秋吉久美子も岡本富士太とか役者さんは誰もみんないい演技なんだけど、やっぱ犯人に同情的になってしまう脚本に流されてしまうな。こういうあたり、さすがに松田寛夫は上手だね。

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ぼくのバラ色の人生

2017年08月08日 22時41分44秒 | 洋画1997年

 ◇ぼくのバラ色の人生(1997年 フランス、ベルギー、イギリス 88分)

 原題 Ma vie en rose

 監督 アラン・ベルリネール

 出演 ミシェール・ラロック、ジャン=フィリップ・エコフェ

 

 ◇MtFトランスジェンダーについて

 わかってるようでわかってないというのが、ぼくのほんとうのところなんだろう。

 MtFトランスジェンダーの子とその家族の葛藤と脱皮について真正面から見つめるのはなかなかむつかしいのかもしれないし、邦画では滅多に見られない。そういうところ、やっぱり日本の映画界はまだまだ遅れを取ってるのかもしれないね。

 それはさておき、ここに出てくる主人公のように、小さいときに自分は男に生まれてはいるけどほんとは女の子でいつか女になる日が来るかもしれないと純真におもうことはなかったけれど、なんとなく女性の肌着や衣服を着てみたいとおもったことはあるな。たまたまそれがどきどきしながらも単なる興味で、結局、そういう癖にはならなかっただけのことで、誰もが異性へ憧れる前夜にちょっとした興味を持つことはあるんじゃないかな。

 この子の家族はおとなの目線でものを考えるから自分の子供ながらも恥と捉え、世間の目を逃れるように引っ越してしまうけれども、引っ越した先でかれらは同じような子供をまのあたりにし、かつまわりの大人たちの理解のもとですくすく育っているのを見たとき、ほんとうに恥じ入るわけだけれども、さて、現実社会はどうなんだろうね。

 

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浮草

2017年08月07日 17時45分38秒 | 邦画1951~1960年

 ☆浮草(1959年 日本 119分)

 監督 小津安二郎

 原作 ジェームス槇(小津安二郎)

 出演 中村鴈治郎、京マチ子、杉村春子、若尾文子

 

 ☆杉村春子「あゝそう」でNG70回

 とにかく気合いの入った映画だった。

 小津安二郎の中では初めてづくしなんじゃないかってくらいに珍しいものがいっぱい出てきた。愛人、雨、夜汽車、操車場、旅芸人、そりゃもう枚挙にいとまがないくらいだけど、特に凄いのが雨だ。黒澤映画みたいな豪雨で、その雨を隔てて愛人と大喧嘩する。その「どあほ」「くそったれ」「死にさらせ」みたいな口汚さも小津とはおもえない凄さだ。いやもう、びっくらこいた。前半がなんとなく退屈だったものだから、当時の伊勢の風物をなんとなく眺めながら、ぼくのふるさととよく似た景色だな~くらいにおもってあくびをしてたんだけど、後半、すごいから。

 けど、どうやら、原案があるみたいで、それも小津とはおもえないハリウッド映画で、ジョージ・フィッツモーリスの『煩悩』だそうで、それを昭和9年に『浮草物語』として映画化して、それをみずから原作を作ってリメイクしたのがこの作品なんだとかで、これもまた「へ~」て感じだ。

 ともかく、なんていうか、時代を感じさせるね。旅芸人の悲哀もさることながら、鴈治郎が実の子の川口浩に出生を秘密にしてたのは「の子として世間に出したくない」という劣等感から来てるっていうのがまさにそうで、なるほど、時世時節は変わってゆくね。けど、凄味はこの時代の方が明らかにあるな。

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新少林寺 SHAOLIN

2017年08月06日 20時59分53秒 | 洋画2011年

 ◇新少林寺 SHAOLIN(2011年 香港、中国 131分)

 原題 新少林寺 SHAOLIN

 監督 ベニー・チャン

 出演 アンディ・ラウ、ジャッキー・チェン、ファン・ビンビン、ユエ・ハイ

 

 ◇河南省鄭州市登封

 映画ではちょっと年代が早まってるんだけど、実際には1928年、嵩山少林寺は大火に見舞われた。

 中国大陸に割拠していた軍閥の争いによるもので、それに巻き込まれた少林寺は主要な建物はおろか銅板経典、石碑、木版、儀仗などなど、もうとにかく大変な被害をこうむった。その歴史的な悲劇がこの作品のモチーフになってるんじゃないかっておもうんだけど、これまでに何度も少林寺は映画化されてきたのにその事実については映像化されてこなかったんだね。

 なんでなんだろう?ってちょっとふしぎな気がしたわ。

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哭声 コクソン

2017年08月05日 20時03分56秒 | 洋画2016年

 ◎哭声 コクソン(2016年 韓国 156分)

 原題 곡성(哭聲)、The Wailing

 監督・脚本 ナ・ホンジン

 出演 國村隼、クァク・ドウォン、チョン・ウヒ、ファン・ジョンミン

 

 ◎異常なシャーマニズム

 それにしても國村隼、よく演ったなあ。

 で、冒頭に語られる『新約聖書、ルカによる福音書第24章第39節』の「わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ」ということから察するに、國村隼はイエス・キリストみたいなものだということになる。

 いったいなにをしに朝鮮半島の山奥にひとり住んでいるのかわからないんだけれども、迷信深い山里の面々からすれば気持ち悪いことこの上ないわけで、そこへもって異常な殺人事件が起きれば因習に包まれたこの郷で疑われるのは國村隼のほかにいるはずもなく、さらにシャーマンが呼ばれ、異様な呪術が始まればもう精神は爆裂寸前まで高まっていくわけで、こういう心の暴走を「混沌、混乱、疑惑」という主題のままに映像化したら、こんなものすごい血と肉と叫びの世界になってしまったということなわけね?

 いや、ほんと、異常な精神の昂揚に堪え切れず血圧が急激に高まったわ。

 

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マリリン 7日間の恋

2017年08月04日 23時43分44秒 | 洋画2011年

 ◎マリリン 7日間の恋(2011年 イギリス、アメリカ 99分)

 原題 My Week with Marilyn

 監督 サイモン・カーティス

 出演 ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、ジュディ・デンチ、エマ・ワトソン

 

 ◎ミシェル・ウィリアムズのための映画

 としかいえないようなひとり舞台だったとおもうのは僕だけなんだろうか?

 いやたしかにマリリン・モンローに似ている女優は彼女のほかにもあまたいるだろうけれど、気持ちまでモンローになってるんじゃないかっておもえるくらい凄かった。

 それだけじゃなくて、ほかの役者たちも粒ぞろいだし、なんといってもベン・スミサードのカメラが好い。地味ながらきっちりとして1957年当時の美しさが際立って撮られてる。さらによかったのが挿入曲の『枯れ葉』だ。効果的に使われてて、いや、ひさしぶりに聴いたな~。

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グラディエーター

2017年08月03日 23時21分19秒 | 洋画2000年

 ◇グラディエーター(2000年 アメリカ 155分/172分)

 原題 Gladiator

 監督 リドリー・スコット

 出演 ラッセル・クロウ、リチャード・ハリス、ホアキン・フェニックス

 

 ◇『スパルタカス』みたいだ

 どうも古代ローマ物というのは、欧米人とくらべてなじみが薄いせいか、いまひとつ入り込みにくい。

 ただ、どうしたところで大作になるのは必然のことで、圧倒的な物量と画面によって各賞を総なめしてしまう印象がある。内容は実をいえば想像を超えるものはほとんどなくて、たいがい定番どおりに進んでゆくものだ。まあ、この作品についても例外じゃなくて、そういう意味でいえば堂々たる王道の超大作といえばいいんだろうね。

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偉大なる、しゅららぼん

2017年08月02日 23時06分30秒 | 邦画2013年

 ◇偉大なる、しゅららぼん(2013年 日本 114分)

 監督 水落豊

 出演 濱田岳、岡田将生、深田恭子、貫地谷しほり、津川雅彦、村上弘明、佐野史郎、笹野高史

 

 ◇屁かよ

 湖の民というのは、なかなか好きな設定だ。海の民、山の民、里の民などと、上古から連綿と続いてくる民の伝承を主題のひとつにするというのは、これといって新しさはないものの、こういう世界観を好きな者にとってはわくわくする作法だとおもうんだよね。

 あとは、その物語がドラマチックに運ぶかコメディタッチで描かれるかによるんだろうけど、これは原作者の万城目学の持ってる味がこういう物柔らかな雰囲気になってるとおもえばいいんだろうね。あ、読んだことないんで、実はよくわからないんだけど。まったく不勉強だな、ぼくは。

 いちばん記憶に残るのは八郎潟の民の末裔である源爺で、この笹野高史がええね。ところどころに張られた伏線も悪くないし、物語に締まりがあるのはこの源爺のおかげのような気がするんだ。

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