☆近松物語(1954年 日本 102分)
監督 溝口健二
出演 長谷川一夫、香川京子、南田洋子、新藤英太郎、小沢栄太郎
☆最初で最後の長谷川一夫
近松門左衛門の人形浄瑠璃『大経師昔暦』通称「おさん茂兵衛」を下敷きに川口松太郎が書き上げた戯曲『おさん茂兵衛』を映画化したものなんだけど、まじ凄い。
長谷川一夫も一世一代の名演だとおもうわ。
いや~不貞の片鱗もなかったものが疑われ追われていくにつれて恋が芽生えてやがて死んでも離れないというほどに抜き差しならないものになっていく過程をこれほどねちっこく芸術的に撮られる監督ってほかにいるのかしら?
ただまあ、なんていうか、不倫を疑われるよりも先に人妻でありながら夫ではない男を頼ってしまった時点で、自分では気がつかないものながら、もう心の中にはその男に対する情欲が湧いているわけで、男も男でこれも知らず知らずの内に主人の女房とはいいながら身を挺して尽くそうとしゃしゃりでた時点で早くも恋慕たっぷりになってるわけで、これはいつの時代も変わらないね。