Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

京都暮らし300. 続・日吉館の記憶

2010年05月04日 | Kyoto city
 京都暮らしのシリーズも300回になった。ブログ全体では、3年近く続けているので、どれぐらいの回数を重ねたことか。
 さて日吉館、大学時代に見事に罠にはまった出来事の翌年に学外授業で再度日吉館に泊まるハメになった。今度は日本美術史の先生もいる、という気楽さもあり、我々は多いにすき焼きを食べ且つ飲んだ。今度は気楽な学外演習だ。大体引率の先生からして、奈良博の元学芸員だったし、有り難いことに酒のみだ。芸術学を専攻する同級生のM君は、博物館の暗い廊下で鬱積したストレスを発散していたんだという、とんでもない自説を展開していた。
 夜私達は日吉館の宴会のお酒で大いに盛り上がり、そして夜もふけたのでお開き、と思いきや!。出たいつもマークされている酒豪のS君が暴れ回ってちん入しているではないか。それもお決まりの女子の部屋から、豚をひき殺すようなちんきな女子共の悲鳴が聞こえてくる。他の大学生達からは、筑波大学って恐ろしいところですねぇー、と言われ、私としてはワッハッハッの世界である。面倒見の良いM君が、酒豪をなだめようと、せわしなく動き回っている。酒豪をなだめたいのか、女子部屋に行きたいのか真意はわからんが。そんな珍奇な騒動をしているうちに私は、お酒に酔ったこともあり寝てしまった。まあ翌日は何事もなかったようにみんな、しらけきって奈良の寺社を徘徊していたが。
 M君には後日談があって、さらに翌年また学外演習で奈良にゆくはめに。まあ、引率の長谷川誠という日本美術史の先生から可愛がられていたし、なよりも若いくせに大人のお酒の相手ができるという先生にとっては重宝な人材だったのでまた日吉館に泊まり込んでいた。でっ、あるとき長谷川先生の酒飲もう!という執拗な誘いを断り、日吉館のすき焼きの夕飯時前にトンズラしたわけだ。でっ、どこに言ったかというと、なんとあのクラシックな老舗の奈良ホテルへ一人で出かけ、私から借り出したジャケットにネクタイを締め、ダイニングを食べに出かけたというではないか。まあ、一度は奈良ホテルで食べたかったというのが彼の最大の理由なのだ。そんな豪傑達の話を、いくつも生んでくれたのが、日吉館である。
 日吉館に泊まると、この歪んだ廊下のある少し傾いた建築の中で、一生忘れることのない可笑しくも笑えるも思い出をたくさんつくってくれた、大変素晴らしい旅館なのである。
 さて、女子部屋にちん入した酒豪のS君だが、その後名古屋で再会し、僕と10年間お酒を飲んでくれた。その後S君が50歳を過ぎてから、子供が出来ない体質だといっていた若く綺麗でスレンダーなフィリピーナを孕ませて一子を設け故郷の静岡県に帰ってしまった。その後S君がどうしているかを探るのは、これからの楽しみだろう。

奈良市,奈良県庁,2010年4月29日撮影.
Fuji FinepixS5pro,AFNikkor80-200mm/f2.8D
シャッター:1/250,絞りf16,ISO640,カラーモードF2
コメント
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