小樽で快適な時間が訪れる夏である。まだ暑くもなく湿度の低い空気がすごしやすい時間にしてくれる。
すごしやすいからというわけではないが、札幌のベーヤンとオーセントホテルのラウンジで小さな宴をしている。フィリピンだけで著名な日本人建築家榊原さんと一緒に。
・・・
ベーヤンは、最近女あさりがなく、相変わらず和恵さんと一緒だ。
ベーヤン「長続きする理由!?、それはあいつが処女だったんだよ。俺が最初の男さ!!」
「じゃあそれまでは処女はいなかったわけだ」
ベーヤン「おれさあ、女運が悪いんだよ。処女なんて高校生の時の初恋の女だけだったもん。それが俺を捨てて他の男になびくというとんでもない結末になったわけ」
「それで・・・」
ベーヤン「それ以後に抱いた女で処女は一人もいなかったもん。だって上さんだって処女ですといってたのに最初から悶えていたもんね。だって処女だったら最新は、痛いだけで、なんでこんな事をするの!、そんな気分だよね。それから次第に快感を覚えてゆくプロセスがある。だから最初から悶えるなんてありえないよ」
「それで最初から仮面夫婦だったってわけだ」
ベーヤン「もろ仮面だよ。家庭も恋愛もすべて仮面。子供達がそれを見抜いていたね。でっ、俺はふーーん人生ってこんなもんか、だよ。未経験=0、経験済み=1と捉えれば、みんな1だったもん」
「工学系のベーヤンらしい捉え方ね」
榊原「それは悲しいですね。フィリピンはカソリックの国だから、恋をしたらみんな処女で結婚するですよ。そして神と契約する。たから生涯一人の男にしか関心を持たない。つまりみんな0で始まる。だから男に興味を持ったら即結婚という構造。日本みたいに高校生で筆下ろしして1にして・・、なんと聞くとフィリピーナ達は唖然としちゃいますよ」
「だって日本は農本主義だもん。子供を産み育てて労働力にして生産性向上。だから誰の子でもいいからさっさと育てて働かせようという根性。そう考えれば0という概念、貞操概念とか結婚概念とか家族概念なんて最初からなかった。結婚式は大正時代に東京大神宮が始めた儀式だから後付けですよ」
ベーヤン「その曖昧さが、僕の人生観と一致しなかった。僕は0に期待していたんだけどね」
「最初の0が成就してれば、ベーヤンも歩く下半身なんていわれなくてすんだわけね」
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小樽も初夏だ。
山の後ろが夕焼け空になっている。