夕方ジムに出かける途中で、長刀鉾の鉾立の構造を再度みていた。朝よりは足下に主軸が入り小屋が持ち上げられ、舞台も屋根もかかり長刀がつけられている。
2本の主軸が入り骨組みが持ち上げられている、しかし貫柱と私が呼ぶものは、まだ地面に接している。これでは車輪は入らない。多分少しずつもちあげて車輪をつけるのだろう。
この車輪が着く前の状態で長刀をさしたのだ。てっぺん迄は30mの高さがある。縦に長く足下は未完成。従って手順が違うようにも思うが、これが伝統なのでしょう。だからこの状態が一番不安定。もちろん倒れることもある。
さて、その車輪はどうつけるか。ようやく車軸の両端に鉄製の軸受けが登場した。だが受けはマルではない。どうすんだ。
もう一つ面白い事を発見した。
舞台床下には前後左右のブレ止めとしてX字状の水平筋交いが入っている。幾何学的には筋交いの中心で交差する。そうすると、長刀を乗せている大黒柱はどうするんだ。大黒柱は舞台や屋根を貫き天高く長刀をシンボライズしている。
よくみると大黒柱の位置は筋交いの交点ではないことがわかる。つまり少し後ろへずらして大黒柱を建てている。そうなると構造的な意味合いは希薄だ。つまり私が大黒柱と見立てたのは間違っていて、それは天高くそびえる棹だったのだ。それは洗濯の棹と一緒だ。長刀棹だ。それよりは太く丈夫につくられている。
こんな話がつまらないと思ったらあなたは立派な文科系である。
小さい頃動く自動車の模型をつくった経験があれば容易に解ることである。四角いボディにどうしたら動く車輪がつくかで悩んだことを。だってそこに全荷重がかかるから、きちんと構造化されないと、走り出した途端に車軸毎車輪がはずれたりする。私の友人はセメダインで車軸受けを固定したが、すぐに外れた。もちろん彼は文科系に進学した。
私は、建築の道に進んだが、大きな空間を把握するのは今でも建築模型しかない。建築を学ぶ学生達は、必ずといってよいほど模型をつくり空間を確認したり想像したりする。それは平面でしか確認できない3DCGではアカンのである。だから私の教え子達は、卒業制作になるとすべて膨大な手間をかけて建築模型を制作する。
そんなわけで、私も模型が大好きだ。このブログのフォロワー達の中にも模型の達人達がいる。
工学系の物事は、能書きを延べる前に、そして理屈を述べる前に、あんた自分でやってみなさい、つくってみないさい、がセオリーだ。
だから能書きや理屈だけの文科系の人間が、私は嫌いなのです。言葉なんて嘘八百、なんでも語れますから・・・。
祇園祭・鉾立2
SONYα6000、ZEISS Vario-TessarE16-70mm/F4ZA 0SS