Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

フィールドワーク684. 祇園祭・鉾立

2022年08月15日 | field work

 

 パンデミックで2年間中止されていた祇園祭が今年は開催された。長刀鉾の鉾立の様子を見に出かけた。といって順次この祭を映像にする気分はない。コロナ感染者が増えだしたから、警戒感の方が強い。まあできるところまで・・・。

 長刀鉾の軸組を見ていると釘は使わないとする触れ込みがある。だが釘を日本建築で使うのは、安普請建築ぐらいだ。本来日本建築で釘を使う場面は少ない。釘は荷重を伝える事ができないからだ。そんな間違った触れ込みが出るのも、建築=釘という間違った先入観を持った一般大衆の発想だろう。

 基本的には、ほぞ組で木材同士を結合する。それは現代の日本建築でも変わらない。山鉾は、ほぞで組んで縄で締め上げる。現代ならボルトと金属プレートで固定する。構造的には一緒だ。

 構造部材の接合には、剛接合とピン接合がある。前者はRCのように堅固に組み合わせた部分を固めて動かないようにする。それに対して後者は固定しつつ外力に応じて構造物が柔らかくしなりながら逃がす工夫になる。だからギシギシと音を立てながら外力を逃がしつつ、山鉾は進むことになる。

 この縄の絞め方は昔からの伝統に従って締め上げているので技術を受け継いだ職人しかできないのだろう。それができなくなればボルトとプレートで組み上げるだけの話であり、構造的には変わらない。どうせ裳階でこの部分は隠れる。

 ちゃんと筋交いをしっかりいれてあるところは、構造的な利に適っている。これに演奏者が乗る舞台と屋根がつき、31mまで届かんとする長刀がのる。バランス的には縦に長く、安定性を欠く。そこで1つ1トンはある車輪を4つつければ、足下で4トンの支える力がはたらく。従って上に乗るのは4トン以下ならば、まあまあ安定するのだろう。構造的には、不安定構造物だから、昔はひっくり返ったという話も聞く。

 さてその1トンはある車輪をどうやって取り付けたかに興味をもつ。つまりこの軸組構造を持ち上げないと車輪はつかない。その場面を撮りたかったが、街は暑いのでパスした。多分今はクレーンでつると思うな。

 それと一番荷重が集中するのが車軸だが、この車軸が軸組に縄だけで取り付けられているようだ。構造的な受け部材も無く、しかも動かすから回転する。どうやってるのだろう。この画像だけじゃ解らない。あるいは軸組は回転しないで車輪だけが回転するのか?・・・。

 この話の意味がわからなかった、あなたは箸にも棒にもひつかからない文科系だと思っていただきたい。

 

祇園祭・鉾立

SONYα6600、E18-135mm/F3.5-5.6

コメント
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