
当地から車で1時間ほどのオホーツク海に面する網走市は、高倉健主演の映画「網走番外地」で全国に名前が知れ渡った。番外地とは刑務所が所在する地区で、住居表示では無番地になっている。明治の脱獄王西川寅吉や、昭和の脱獄王白鳥由栄が収監されたこともあり、凶悪犯が多いというイメージから、映画の舞台になったのだろう。冬は流氷砕氷船「おーろら」が人気の観光地でもある。
その網走のステージにアート・ペッパーが立ったのは26年前、81年の11月22日だった。オホーツク海から冷たい風が吹く寒い日だったが、会場はエアコンが必要なほどの熱気に包まれている。僅か数メートル前の舞台にペッパーが現れ、繰り返し聴いたレコードと同じ音を出しているのだ。興奮せずにはいられない。一音残らず聴き逃すまいと身を乗り出すが、美しいフレーズは心地よく身体を通り抜ける。一回性のライブとはそんなもので、内容が素晴らしいほど、そして憧れのプレイヤーなら尚更のこと、大きなオーラの中では記憶すら失ってしまうのだろう。
今年、その日のライブが完全な形で陽の目をみた。レコードによる追体験は記憶を蘇らせ、冷静に鑑賞できるものだ。モード奏法を取り入れた「ランドスケープ」で幕を開け、お得意の「ベサメ・ムーチョ」に続く。そしてペッパーの波乱の人生そのものを語りかける「ストレイト・ライフ」、初リーダー作「サーフ・ライド」に収録されているお馴染みのメロディだ。かつての荒波に一気に乗るサーフボードのようなスピードはないが、美しいことこの上ない。質の高いライブを自身の歓声や拍手と共に何度でも味わえるアルバムに感慨一入である。
浮き沈みを知らないジャズメンはいないが、麻薬による収監、ブランク、ペッパーの辿った人生の山坂はたとえようがない。ジャケットの背景は阿寒国立公園に聳え立つ休火山の雄阿寒岳である。休火山は休止期間にエネルギーを蓄えるという。麻薬患者治療センター「シナノン」での療養後の精力的な活動は瞠目するものがある。ペッパーもまた活動休止中にエネルギーを蓄えたのだろう。
その網走のステージにアート・ペッパーが立ったのは26年前、81年の11月22日だった。オホーツク海から冷たい風が吹く寒い日だったが、会場はエアコンが必要なほどの熱気に包まれている。僅か数メートル前の舞台にペッパーが現れ、繰り返し聴いたレコードと同じ音を出しているのだ。興奮せずにはいられない。一音残らず聴き逃すまいと身を乗り出すが、美しいフレーズは心地よく身体を通り抜ける。一回性のライブとはそんなもので、内容が素晴らしいほど、そして憧れのプレイヤーなら尚更のこと、大きなオーラの中では記憶すら失ってしまうのだろう。
今年、その日のライブが完全な形で陽の目をみた。レコードによる追体験は記憶を蘇らせ、冷静に鑑賞できるものだ。モード奏法を取り入れた「ランドスケープ」で幕を開け、お得意の「ベサメ・ムーチョ」に続く。そしてペッパーの波乱の人生そのものを語りかける「ストレイト・ライフ」、初リーダー作「サーフ・ライド」に収録されているお馴染みのメロディだ。かつての荒波に一気に乗るサーフボードのようなスピードはないが、美しいことこの上ない。質の高いライブを自身の歓声や拍手と共に何度でも味わえるアルバムに感慨一入である。
浮き沈みを知らないジャズメンはいないが、麻薬による収監、ブランク、ペッパーの辿った人生の山坂はたとえようがない。ジャケットの背景は阿寒国立公園に聳え立つ休火山の雄阿寒岳である。休火山は休止期間にエネルギーを蓄えるという。麻薬患者治療センター「シナノン」での療養後の精力的な活動は瞠目するものがある。ペッパーもまた活動休止中にエネルギーを蓄えたのだろう。
久しぶりにビッグネイムが登場しました。アート・ペッパーはサイド作品を含めますと120枚以上あります。時代によってスタイルが異なりますので、好みが分かれることでしょう。喧々諤々、何が出てくるか楽しみです。お気に入りのアルバムをお寄せください。
管理人 Art Pepper Best 3
Surf Ride (Savoy)
Meets The Rhythm Section (Contemporary)
Live At the Village Vanguard (Contemporary)
ペッパーのライブを聴かれた方も思い出をお寄せください。
今週もたくさんのコメントお待ちしております。
>一回性のライブとはそんなもので、内容が素晴らしいほど、そして憧れのプレイヤーなら尚更のこと、大きなオーラの中では記憶すら失ってしまうのだろう~
う~ん・・・そういう感じ、判ります。dukeさんも仰るように、感動している時ほどそうかもしれませんね。僕もそんなことがいくつかありました(特に若い頃に聴いたいくつかのコンサートでは~ダラー・ブランドとか)
でも・・・たとえ「細部」はブッ飛んでも・・・そのアーティストの「イメージ」だけは、鮮明に心に残ってしまうのです。それがその人にとっては純粋にその「アーティスト」なんですよね。
ああ・・・好きなレコードについては・・・また後日(笑)
私の場合、どうにも憧れのジャズメンの前では高揚してしまい、何が何だったのか覚えていないですね。まぁ女性の場合も同じですが・・・(笑)
おっしゃるようにイメージだけは鮮明に残っているものでして、ペッパーは翳りのある美しい人という印象でした。若い頃聴いたビル・エヴァンスは、ピアノに深く顔を埋めるという写真そのままの姿は忘れもしません。逆に細部を覚えてるのはエロール・ガーナーです。前半ピアノの弦が切れたり、電話帳を敷いてピアノに向かう姿は全体のイメージよりも鮮烈に残っております。
自分が行ったライブが、あとでアルバムで聴けるなんて最高ですね。
私は、経験ないので、一度でいいから経験してみたいです。
今回のペッパーは、1、2は直ぐに決まりました。
またdukeさんと同じで、赤い糸であります(笑)。
1.Surf Ride
2.Meets The Rhythm Section
3.Show Time
Surf Rideは、初リーダー作とは思えない快演だと思います。Meets The Rhythm Sectionは、歌心ある演奏がいいですね。3は、「+ELEVEN」と迷いましたが、こちらに軍配が上がりました。
↓
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(1)「Meets the Rhythm Section」
その昔、門前の小僧だった小生に、師匠O君が教えてくれた1枚。
評論家の中には、このアルバムについてシニカルな見方をする人も
いらっしゃるようですが、やはり僕にとっては外せない1枚。
(2)「The Trip」
復帰後のペッパーから1枚選ぶとすれば、これでしょうか?
エルヴィン・ジョーンズ(ds)との共演は貴重ですね。
(3)「Art Pepper + 11」
TAKASHIさんと一致(笑)。実は割合最近になってゲットして、
あまりの良さに驚倒し、今まで買わなかった自分の不明を恥じた
ものです。。。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回は、まったく同じですね。
ジャケでは「Playboys」「Surf Ride」がワンツーですね。
ペッパーの話題になると、いつも50年代と
70年代以降の復帰後と、どちらを好むかという
議論になるように思いますが、私は
50年代の若々しい情熱の迸り出るペッパーも、
復帰後の酸いも甘いも噛み分けたペッパーの心の叫びも、
どちらも好きです。
「The Trip」での、ウッディ・ショウ作曲の
Sweet Love of Mine という曲、大好きです。
今週は、麻薬と酒の王様、アート・ペッパーですか。(笑)
随分前に自伝を読みましたが、波乱万丈の人生を送った人ですね。
お気に入りは
「ゴーイン’ホーム」
ドボルザークの家路を演奏するペッパー・・何を想い、何処に帰ろうとしているのか・・と考えてしまいます。
「ミーツ・ザ・リズムセクション」
マイルスのザ・リズムセクションとの他流試合ですね。ペッパーを最初に聴いたアルバムで今でも好きです。
「モダン・アート」
ダイアンのジレンマでのベン・タッカーとのデュオが素晴らしい。
アート・ペッパーならば沢山のコメントが来そうですね。
目指せ、コメント100!!!!!!
先ほどN響アワーでネヴィル・マリナーのブラームスのさわりを聴き、最後に87歳になるマリナーの言葉に『音楽家は普通の人生は送れない』と断言しているのを聞き、おそらくはペッペーもそうだったんだろうなと想像をたくましくしております。
で、ペッパーのアルバムを探したのですが、どこに潜りこんだか見つからんのですよ。週末までには見つけ出しても一度聴き直してコメントしますから。
自分が聴いたライブがアルバムになるというのは、その場に確かに居たという現実感を伴い感慨深いものがあります。エヴァンス、板橋文夫に続き3枚目になります。
ワン、ツーが同じなのは嬉しいですね。この2枚はペッパーの魅力を十二分に伝えてくれるものです。決してジャズアルバム史上、重要ではありませんが、深く心に残る名盤だと思います。
Show Time は選曲のよさもあり良いアルバムですね。All the Things You Are 赤い糸を歌った曲です。(笑)
70年代以降のペッパーを否定される方もおられるようですが、生で聴いて私は評価が変ったほうです。レコードで聴くモードは、あ~あ、ペッパーもこんなになっちゃって、でしたが、その評価が分かれるモードも無理がなく自然体でスムーズでした。おっしゃるように酸いも甘いも噛み分けたストレイト・ライフです。
+ 11 は迷った1枚です。Groovin' High が素晴らしい。パーカー以上のスリルがあります。
「The Trip」がベスト2ですか。シワが人生を語っているジャケで味わい深いですね。裏ジャケにエルヴィンとのツーショットがありますが、日本も日本人のワイフも良いよ、とペッパーに言っているのでしょうか。(笑)このアルバムを真っ先に挙げられるのは、あの方でしょうね。Summer Knows 好きですよ。
私も自伝「ストレイト・ライフ」を読みましたよ。壮絶な人生ですが、自分に正直なのでしょうね。ローリー夫人の存在が大きいようですが、夫人に隠れて酒を飲んでいたようです。知っていて敢えて責めない奥様は理想ですね。(笑)
「ゴーイン’ホーム」がトップですか。このアルバムは「しみじみ」という感じで好きなアルバムです。ケントン時代からの家路が去来しているのでしょうね。
「モダン・アート」、かつて幻だったイントロ盤ですね。国内再発されたときに真っ先に買いましたよ。いまだにオリジナルは群を抜いて高い1枚です。翳のあるジャケ、内容、申し分ないアルバムです。