昭和を代表するテレビ番組「シャボン玉ホリデー」だったか、ザ・ピーナッツとクレージーキャッツの特番だったか、40年も前のことだから定かではないが、ザ・ピーナッツがエラ・フィッツジェラルドの十八番をメドレーで歌った。合わせ鏡のような芸術ともいえる振り付けと双子姉妹ならではのハーモニーは、持ち歌でなくても何度も歌ったレパートリーのように完璧に歌い、美しさも変わらない。ハウ・ハイ・ザ・ムーン、マック・ザ・ナイフ、そして・・・
トロンボーンのソロでイッツ・オール・ライト・ウィズ・ミーにつなぐ。今月11日亡くなられた谷啓さんだ。映画、釣りバカ日誌シリーズで飄々とした役を演じておられたが、トロンボーン奏者として原信夫さんにスカウトされ、シャープス&フラッツに参加したほどの腕前で、スイングジャーナル誌の人気投票でも上位にランキングされている。多彩なギャグで一世を風靡したクレージーキャッツ結成時からのひとりで、他のメンバーはみなミュージシャン志望だったようだが、谷啓さんだけはコメディアンを目指していたという。志を強く持った目標は才能を開花させるというが、トロンボーン奏者としてその道を歩んでいたなら、その分野でも秀でていたに違いない。
コール・ポーターの快適なナンバー、イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミーの名演数あれど、止めを刺すのはザ・カーティス・フラー・ジャズテットだ。一見してわかるサボイ・レーベルのジャケット・デザイン、一聴でわかるゴルソン・ハーモニー、そしてブリリアントなモーガン、弾けるケリー、太いラインのチェンバース、鼓舞するパーシップ、どれをとってもハードバップの誇り高い薫りがする。スタンダード曲は基本的に演奏する楽器を選ばないし、作者も指定がない限り、特定の楽器を想定して書くわけでもないが、この曲だけは管楽器がよく似合う。勿論、ピアノ・トリオでもスリリングな演奏が残されているものの、急速調のメロディは管の輝きを持って真価を発揮する。
谷啓さんがイッツ・オール・ライト・ウィズ・ミーを吹いたのは、この曲が管楽器、それもトロンボーンが一番映えることを知っていたのだろう。自伝「七人のネコとトロンボーン」で、「自然にひと呼吸遅れていただけで味が出てしまった」と回想している。今ごろシャボン玉の彼方でひと呼吸付いているだろうか。磨きぬかれたトロンボーンを手にしているだろうか。そして「ガチョーン」のポーズを取っているだろうか。享年78歳。合掌。
トロンボーンのソロでイッツ・オール・ライト・ウィズ・ミーにつなぐ。今月11日亡くなられた谷啓さんだ。映画、釣りバカ日誌シリーズで飄々とした役を演じておられたが、トロンボーン奏者として原信夫さんにスカウトされ、シャープス&フラッツに参加したほどの腕前で、スイングジャーナル誌の人気投票でも上位にランキングされている。多彩なギャグで一世を風靡したクレージーキャッツ結成時からのひとりで、他のメンバーはみなミュージシャン志望だったようだが、谷啓さんだけはコメディアンを目指していたという。志を強く持った目標は才能を開花させるというが、トロンボーン奏者としてその道を歩んでいたなら、その分野でも秀でていたに違いない。
コール・ポーターの快適なナンバー、イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミーの名演数あれど、止めを刺すのはザ・カーティス・フラー・ジャズテットだ。一見してわかるサボイ・レーベルのジャケット・デザイン、一聴でわかるゴルソン・ハーモニー、そしてブリリアントなモーガン、弾けるケリー、太いラインのチェンバース、鼓舞するパーシップ、どれをとってもハードバップの誇り高い薫りがする。スタンダード曲は基本的に演奏する楽器を選ばないし、作者も指定がない限り、特定の楽器を想定して書くわけでもないが、この曲だけは管楽器がよく似合う。勿論、ピアノ・トリオでもスリリングな演奏が残されているものの、急速調のメロディは管の輝きを持って真価を発揮する。
谷啓さんがイッツ・オール・ライト・ウィズ・ミーを吹いたのは、この曲が管楽器、それもトロンボーンが一番映えることを知っていたのだろう。自伝「七人のネコとトロンボーン」で、「自然にひと呼吸遅れていただけで味が出てしまった」と回想している。今ごろシャボン玉の彼方でひと呼吸付いているだろうか。磨きぬかれたトロンボーンを手にしているだろうか。そして「ガチョーン」のポーズを取っているだろうか。享年78歳。合掌。
1953年のミュージカル「カン・カン」の中で歌われた「イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー」は、ノリの良いメロディで多くのプレイヤーがレパートリーにしております。今週は管楽器でお好みをお寄せください。ヴォーカルとピアノは機を改めて話題にします。
管理人 It's All Right With Me Horn Best 3
The Curtis Fuller Jazztet with Benny Golson (Savoy)
Sonny Rollins / Worktime (Prestige)
Kai Winding & J.J. Johnson / K + J.J. (Bethlehem)
ベスト・カバー Marty Paich / The Broadway Bit (WB)
メンズ・オンリーです。(笑)
多くの名演がありますので何が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
来ましたね、It's All Right With Me。
大好きな曲です。
これほどに管が似合う曲も、他に類を見ないですよね。
ピアノのヴァージョンは、ほんとうに少ない。
ガーナーとガーランドぐらいしか、思いつきません。
この2人のように、コードワークとリズムの変化に
よほど自信のある人でないと、ピアノで盛り上げるのは
ちょっときついと思われます。
さて、ベスト3ですが、
1)「The Curtis Fuller Jazztet」
やはり、一番はこれ。
なんたって、テーマのブラスによるアンサンブルの
決まってること!!これに尽きます。
ケリーのピアノも切れがいいし、パーシップの
短いドラムによるイントロも、かっこいい。
フラー&ゴルソンでは他に、同じSavpyの
Meet Jazztet がありますが、やはりこちらに軍配でしょう。
2)「Introducing Johnny Griffin」
テナーのワンホーンものでは、ロリンズ、ズート、
そしてジョニー・グリフィンを持っていたので、
聴き比べましたが、ズート命の私ですけど、
ことお題の曲については、グリフィンを推します。
このドライブ感、堪らんです!
そういや、これもpはケリー。
この人の音楽性に合った曲なんでしょうね。
3)「The Trombones Inc.」(Lonehill Jazz)
我が好みのロソリーノの他、エディー・バート、メルバ・リストン、ベニー・グリーン、ジミー・クリーブランド、
ベニー・パウエル、そしてブルックマイヤーと
なんとボントロ名手7人を擁したビッグバンドによるヴァージョン。
さて、私ごとですが平成16年1月に開催した
25-25プレゼンツ・ライブ、
「赤松敏弘meets 2trombones」でも、この曲はやってます。
メンバーは、赤松敏弘vib、中路英明tb、堂本雅樹btb、
金澤英明b、小山太郎ds。
素晴らしい演奏でした!
音源撮ってれば、ベスト3に入れたんですが・・・。
お気に入りは、
THE CURTIS FULLER JAZZTETTE WITH BENNY GOLSON
WORKTIME(ROLLINS)
大好きな2枚!dukeさん、挙げてくれて有難うございます!
BLUE&SENTIMENTAL(IKE QUEBEC)
過小評価されているケベックだが、実力は本物!
ケベックがテーマを吹き、アドリブに突入する。ご機嫌だ!
グラント・グリーンも好演だ!
③ Warne Marsh Quartet (mode-1957)
ウォーン・マーシュのテナーの熱狂的なファンなので先ずこれを・・。レッド・ミッチェルのベースがボスボスと凄いことになっており小気味よいスタン・リービィのドラムと織りなす急速調のリズムに乗って、マーシュはいつものようにクネクネと気持ちよくメロディを崩してゆきます、天才肌・・。
② Zoot Sims / Live in Denmark (1978)
最近、自分の中で再評価著しいのがズート・シムズ、“It's All Right~”のせっつくような曲調がスイング命のズートのスタイルにピッタリ!まるで彼のために書かれたような曲ではないか!と思わせるほど嵌っていて心地よいのなんの、ケニー・ドリュー・トリオの快調ぶりも際立ちます。
① Ike Quebec / Blue and Sentimental (BLUENOTE-1961)
私の中で文句なしに一番なのがコレ、も~最高だす!ポール・クイニシェットばりの人間味溢れるテナーの音色が心になすりつけられるように沁みてきて深いんですよねぇ・・、こうした味わいは若手には出せない。グラント・グリーンを初めリズム陣も最高でブルーノート万歳!です。
なんだかテナーのワン・ホーンばかりですし、ベスト1はCDでしか聴けない代物?ですのでこれでよいのかわかりませんが、duke先生、採点お願いします・・^^;
って、いま投稿しようとしたら、アイク・ケベックを挙げられている方がいる~、ちょっと安心しますた^^
あ、ウォーン・マーシュ4、僕も持ってました。
悪くないですね。
ロニー・ボールp、チェンバースb、フィリーds の
リズム・セクションも魅力的。
それから、「The Trombones Inc.」のお題の曲での
クレジットに誤りがありましたので、訂正。
Lonehill Jazz のCDのライナーによると、
Rosolino, Bernhart, Bob Fitzpatrick, Joe Howard,
Lewis Mcgreeny,Dave Well(以上tb)、Brookmeyer(v-tb)、
John Kitzmiller(tu), Marty Paich(p), Red Mitchell(b),
Mel Lewis(ds)・・・ということです。
アレンジは、ペイチ。
ピアノ、管、ビッグバンド、それぞれ似合う曲というのはあるものです。不思議とゴルソンの書いたアフターダークやクリフォードも管で映える曲ですが、管ではやはりこの曲が一番ですね。
トップは決まりでしょう。何とも冴えないジャケですが、中身は凄い。イントロといい、テンポといい、アンサンブルといい、各人のソロといい、これ以上はない名演です。
そしてアップテンポのグリフィンがきましたか。ロリンズと比べると荒削りですが、なかなかのものです。グリフィンはけっこうアップテンポが好きなようでして、グッド・ベイトもアップでバリバリ吹いてました。
The Trombones Inc. がありましたか。今回、再聴しませんでしたが、分厚い音を思い出します。メンバーの紹介もありがとうございます。アレンジはペイチでしたか。ペイチもこの曲が好きなのでしょう。
25-25プレゼンツ・ライブは錚々たるメンバーですね。来年プレゼンツの折は是非ご案内ください。
この曲を演奏したのは、当然 25-25 さんのリクエストですね。(笑)
今月に入って、ガーシュインを選んでおりましたので、続くと予想されていたのではありませんか。当初、その予定でしたが、ネタ切れのためポーター路線に変更しました。(笑)
ワンツーは同じでしたか。この曲を最初に聴いたのはロリンズでした。ロリンズ節炸裂で今でも愛聴盤です。
そしてアイク・ケベックがきましたか。過小評価、特に日本での評価はソウルジャズによるものでしょう。どうにも体質的に受け入れられない泥臭さによるものですが、ブルージーな演奏は魅力がありますね。
ウォーン・マーシュの熱狂的なファンでしたか。マーシュは私も一時期かなり聴きました。よくコニッツと比較されますが、マーシュはマッシュポテトのような滑らかさがあります。おっしゃるクネクネとメロディを崩してゆくのはその滑らかさにあるのでしょう。
ズート・シムズもいいですね。シムズはミディアムテンポで抜群のスウィングをみせます。このドライブ感はズート聴いていたい心地よさがあります。
そして、トップにケベック、人間味溢れるテナーの音色とは言い得て妙ですね。先の KAMI さんのコメントにもありましたが、過小評価の代表です。これがブルーノートでなければ名前すら忘れ去られる存在です。アイツがケベックだ、と再評価されるべきでしょう。
名前が挙がったポール・クイニシェットも妙に惹きつける音色とフレージングですが、ケベックとは違うバイス・プレスの味わいがあります。
一見、乱闘もじさないコメント欄はジャズ道場の趣きですが、1枚のアルバムから受ける印象は千差万別です。また、今では20万種あるともいわれるアルバムですので、聴いているのは極僅かにしか過ぎません。私も含めてコメントをお寄せいただく皆さんも、東京めたぼさん同様、ジャズが三度の飯より好きなだけですので採点はどなたもできません。
さて、体験入学はいかがでしたでしょう。月謝不要、罵詈雑言、場外乱闘有りですので、いつでもお気軽にコメントをお寄せください。
ジャズは心で聴くものだと思っています。それが惨めな自分を救ってくれたジャズに対するせめてものリスペクトなのです。
>ジャズが三度の飯より好きなだけですので採点はどなたもできません。~いつでもお気軽にコメントをお寄せください。
そうでうすね、昨日ジャズを聴き始めた方でも臆せずどんどん書き込まれたらよいのですよね、それで老若男女とわず感性の輪が広がることがdukeさまの願いなのでしょうから・・。またコメントさせていただきます^^
it's all right with me~この曲はほとんどのものが急速調で演奏されてるようですね。
フラーはこの曲が得意のようで、savoyのジャズテットではない方:Argoでも演ってます。こちらも・・・速い!そしてその速さに流されることなく、素晴らしいフレーズのアドリブを聴かせてくれます。こちらはテナー(ゴルソン)やトランペット(ファーマー)のソロは入らず、フラーの独壇場でかえってすっきりした良さもあり、ピアノのマッコイも切れのあるコンピング(和音の伴奏)を入れてます。
このフラーのトロンボーンはホントに凄い!
てなわけで以下~
1.Meet The Jazztet(Argo)/Meet The Jazztet(B面1曲目)
2.Marty Paich/Broadway Bit(warner) A面1曲目(僕のはCDですが最初のトラックのはずです)dukeさん仰るよにジャケットも良いですがもちろん中身も最高です。ビッグバンド編成ですが曲によってソロ奏者を絞っているのでダレない。このall right with meでのソロはヴィブラフォン(V.Feldman)、トロンボーン、テナー、そしてベース(S.Lafaro)に短いソロ。ラファロのベースがグウ~ン、グウ~ンと唸りを上げて4ビートを巻き込んでます。これも凄い。
3.Sonny Criss/Plays Cole Porter(Imperial)手持ちは、日本キング盤です(笑)このall right with me~ちょっと面白い。ラリー・バンカーの叩く主メロディの後ろでソニークリスがオブリガート風に(メロディの合間に合いの手を入れる)独特のカン高いアルトの音色で唄いまくります(2~3曲、続けて聴くと・・・ちょっと胃もたれしますが:笑)
でもこのアルバム~ピアノがソニー・クラークなんです!でその短いソロがやっぱりいい!