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三橋は、ゼロ年代の若者の雇用と所得確保に赤字国債を活用すべきと執拗に食い下がるが、日下はそれは若者の甘えと一笑に付す。
三橋 日下先生、いまひとつよくわからないのですが、結局赤字国債は発行してはいけないということなんですか?
日下 法律にはそう書いてある。
三橋 もう法律の話ではなく、経済的に、われわれの福祉の話としてはどうか、ということです。
日下 その「われわれ」って何ですか? それを働く人、貯蓄で暮らす人などに分けて考えなければいけません。
三橋 それによって、若者の所得が上がり、購買力が上がるというような前提があったとき、そのための赤字国債を発行するのもダメなんですか。というのは、いまの若者たちはデフレで所得は上がりません。失業は増えています。それでさらに財政赤字を絞って、そういう人を増やしますよと言われても、それは反対しますよ。
日下 三橋さんが若者代表としてそういうふうにおっしゃるのを聞けば、昔からの経済学にはそれに対する答えもあります。それはマーケット原理主義の答えになるのですが、まず若者がそんなに国家に頼るのが間違いで、そんなふうに国家に頼っていたら、自分で自分の首を絞めることになる。いまにお役所に何もかも命令されて、ぐうの音も出ない惨めな地位に落ちます。その歴史的経験なら私はたくさん知っています。
三橋 そういうことが根幹にあるのはわかります。しかし、現実に所得が増えないデフレ社会の中で、若者に向かって「それはおまえたちのせいだ」と言われても困るわけです。
日下 その通りです。で、第二の答えは、「困る」と考えるのが贅沢。
三橋 そうかもしれないですが、解決策はあるわけじゃないですか。
日下 ない、ない。
三橋 ありますよ。いまの日本の場合は過剰貯蓄というのが問題で、運用先がないと言っているのですから。
日下 その通りで、それが正解への道です。「運用先がない」ということから考えればいい。運用先づくりの第一歩は、開業や市場参入に対する規制の嬢和または撤廃です。それから所得税の廃止もあります。若者は勤勉になるでしょう。企業は一人ででも資本金一円ででもつくれます。
三橋 たしかに、そういう考え方はありますね。ただし、現実問題としては、たとえばいま企業という存在が大きいわけです。その企業自体が若者に対してチャンスを与えないとか、所得をだんだん減らすとか、失業者を増やすことをやっている。まず、そちらを建て直したほうが早いと思うんです。
日下 そういうことを言う若者は意気地なしですね。昔から何千年もの間、そんなことを言っで生きてきた人はいない。そういう人間は乞食になって死んだ。
三橋 団塊の世代などは、まさに「社会が悪い」と言ってきた意気地なしじゃないですか。でも、乞食になって死んだわけではない。
日下 そう、あれは極めて幸せなときに大量発生したバイキン。(笑)
三橋 いや、わかるんですよ。だから「おまえたちが頑張れ」というのはわかるのですが、まず環境を整えなければ、デフレの時代には、やはりビジネスだけでは回りませんよ。「起業しろ」というのは簡単ですが、じやあ、需要はどこにあるんですか。どんどん物価が下がってくるところで絶対に需要は生まれませんよ。
日下 そういうこと言っているのは、既得権益の中で育ったお坊ちゃん。(笑)
三橋 そりやそうかも、それは認めますけど。
(敬称略)
三橋は、ゼロ年代の若者の雇用と所得確保に赤字国債を活用すべきと執拗に食い下がるが、日下はそれは若者の甘えと一笑に付す。
三橋 日下先生、いまひとつよくわからないのですが、結局赤字国債は発行してはいけないということなんですか?
日下 法律にはそう書いてある。
三橋 もう法律の話ではなく、経済的に、われわれの福祉の話としてはどうか、ということです。
日下 その「われわれ」って何ですか? それを働く人、貯蓄で暮らす人などに分けて考えなければいけません。
三橋 それによって、若者の所得が上がり、購買力が上がるというような前提があったとき、そのための赤字国債を発行するのもダメなんですか。というのは、いまの若者たちはデフレで所得は上がりません。失業は増えています。それでさらに財政赤字を絞って、そういう人を増やしますよと言われても、それは反対しますよ。
日下 三橋さんが若者代表としてそういうふうにおっしゃるのを聞けば、昔からの経済学にはそれに対する答えもあります。それはマーケット原理主義の答えになるのですが、まず若者がそんなに国家に頼るのが間違いで、そんなふうに国家に頼っていたら、自分で自分の首を絞めることになる。いまにお役所に何もかも命令されて、ぐうの音も出ない惨めな地位に落ちます。その歴史的経験なら私はたくさん知っています。
三橋 そういうことが根幹にあるのはわかります。しかし、現実に所得が増えないデフレ社会の中で、若者に向かって「それはおまえたちのせいだ」と言われても困るわけです。
日下 その通りです。で、第二の答えは、「困る」と考えるのが贅沢。
三橋 そうかもしれないですが、解決策はあるわけじゃないですか。
日下 ない、ない。
三橋 ありますよ。いまの日本の場合は過剰貯蓄というのが問題で、運用先がないと言っているのですから。
日下 その通りで、それが正解への道です。「運用先がない」ということから考えればいい。運用先づくりの第一歩は、開業や市場参入に対する規制の嬢和または撤廃です。それから所得税の廃止もあります。若者は勤勉になるでしょう。企業は一人ででも資本金一円ででもつくれます。
三橋 たしかに、そういう考え方はありますね。ただし、現実問題としては、たとえばいま企業という存在が大きいわけです。その企業自体が若者に対してチャンスを与えないとか、所得をだんだん減らすとか、失業者を増やすことをやっている。まず、そちらを建て直したほうが早いと思うんです。
日下 そういうことを言う若者は意気地なしですね。昔から何千年もの間、そんなことを言っで生きてきた人はいない。そういう人間は乞食になって死んだ。
三橋 団塊の世代などは、まさに「社会が悪い」と言ってきた意気地なしじゃないですか。でも、乞食になって死んだわけではない。
日下 そう、あれは極めて幸せなときに大量発生したバイキン。(笑)
三橋 いや、わかるんですよ。だから「おまえたちが頑張れ」というのはわかるのですが、まず環境を整えなければ、デフレの時代には、やはりビジネスだけでは回りませんよ。「起業しろ」というのは簡単ですが、じやあ、需要はどこにあるんですか。どんどん物価が下がってくるところで絶対に需要は生まれませんよ。
日下 そういうこと言っているのは、既得権益の中で育ったお坊ちゃん。(笑)
三橋 そりやそうかも、それは認めますけど。
(敬称略)