中国の必要性も、マスコミがいうほどではないと。やっぱり、日本のことが書いてある経済本はよいなあ。この『アメリカ、中国、そして日本経済はこうなる』(日下 公人・三橋 貴明 WAC)を読むと、新聞やTVの政治・経済記事を鵜呑みにできないどころか、TPPや「第3の開国」(@菅直人)の狙いがアメリカや中国への思惑に応えているように思えてならない。日下はここで紹介したより、ずっと辛辣です。
また、「底上げ中国経済」の経済データのでたらめさだけでなく、実は日本の統計でも信用はできないなど、米中を批判的に検証する眼を日本にも当然向けている。「日本経済一人勝ち」「日本はいまだ世界一の金持ち」という日本自慢に陥っていない二人のバランス感覚。しかし、国債の担保は、「将来の徴税権」なのかあ。するとやっぱり、結局とどのつまりは、国民の借金ではないかしら? とあまりわかってないのですが、わかった気にさせるのがこの手の本の役割。ぜひ、ご一読を。933円です(私は100円で買ったけど)。
三橋 鳩山さんの「東アジア共同体」とは、何をモデルにしているかがわからないんです。EUのような共同体をつくろうとするのであれば、中国は共産党独裁ですから、現時点では、それは成り立たないんですよね。
そして中国は人口が約十三億人いて、精神的には反日です。日本はもう先進国でかつ民主主義です。それが→緒になったとしたら絶対に独裁国のほうが有利です。そういう意味では、政治的な統合などあり得ないでしょう。
経済ということでは、日本の輸出はそもそもGDP比の十五%しかない。中国への輸出となれば、そのうちのまた五分の一ということになる。
たしかに自動車などは売れると言っても、たとえば自動車を一千万台輸出したといっても、自動車が日本の輸出に占める割合はといえば、五%以下です。
日本の輸出の七〇%は資本財と原材料で、そもそも耐久消費財は全輸出の十~十五%程度しかない。その企業にとっては中国市場が大事でしょうが、日本経済全体にとってどうなのかというのが問題なのです。しかし、そういう議論はまったくない。
(敬称略)