コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

彼のオートバイ

2013-07-29 00:38:00 | ノンジャンル
友人オニールが原宿でイベントに参加しているという案内をもらい、日曜日は原宿へ。隅田川花火大会のような混雑が、原宿駅から表参道ヒルズまで続く午後2時。腹が減ったが、入れるような店はまったくない。表参道から交番横の道を50mほど入ったところにようやくみつけた会場では、海外バイクツーリングのベテランたちが写真やビデオ、愛用のバイクなどを展示していた。友人オニールが数年前、シルクロードからイスタンブールまで走るバイクツアーに参加した話は聴いていたが、昨年もマダガスカルを単独で走ったらしい。こちらは源流水を汲みに秩父まで行くのですら疲れるというのに。元気いっぱいというタイプとは正反対だったはずだが、人はわからないものだ。展示そのものは、ほかのぜんぶを見て回っても15分もかからず、友人オニールは不在で戻って来ず、さっさと会場を出る。表通りはあいかわらずの混雑だろうから、裏通りを選びながら原宿駅に向かうことにする。しかし、この町は整然としているのは表通りだけ、一歩裏手に入れば袋小路が少なくない。行きつ戻りつさせられた。かなりのテナントビルに空きがあり、マンションやアパートも空室募集しているのに気がつく。昔の原宿青山なら、とても考えられないことだ。ボロアパートの一室さえ、カメラマンのオフィスやデザインスタジオになっていたものだ。東京もまた、縮小均衡に向かっていることをあらためて感じた。池袋の立ち食いで天玉そばを食い、セブンイレブンのアイスコーヒーを飲み、タカセでドーナッツを、ドンクでフランスパンを買って帰る。

彼のオートバイ、彼女の島


私が知るオートバイ映画といえば、片岡義男原作大林宣彦監督1986年公開のこの佳品。オートバイ命の「彼」はなんとあの竹内力、彼の愛車KAWASAKI W650 W3RSのタンデムシートに座る「彼女」が、原田知世の姉原田貴和子。やがて彼女は彼を凌ぐライダーになります。竹内力は優しく、原田貴和子は美しく、KAWASAKIは頼もしく、主題歌がまた艶めいて。原田貴和子が歌っています。映画プロデューサー角川春樹全盛期の作品だけに、そうそうたるスタッフを集めて、燦めく青春映画になっています。オートバイ通からどう評価されているかわかりませんが、KAWASAKI W650 W3RSがクレジットタイトルに載ってもおかしくないほど、主演に近い共演であることは間違いありません。

(敬称略)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする