女子フィギュア史上最もスキャンダラスな事件『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』予告編
2018/5/7
・元フィギュアスケート選手、トーニャ・ハーディングが自ら半生を振り返る話。
・ハーディングと言えば、ライバル選手のナンシーケリガン襲撃事件に関わったこと、演技中靴紐がほどけたと泣きながら審査員にアピールしている姿で知っていた。
・アメリカ人選手初のトリプルアクセルを成功させた選手だということは映画で知ったくらいなので、自分自身はフィギュアスケート自体には全然詳しくない。
・当時の襲撃事件のニュースは覚えているけど、そこまで関心もないので印象が薄かった。
・ただ、今考えると浅田真央がキムヨナに暴漢けしかけたみたいな話だから、そのクレイジーさも大騒ぎになるのもわかる(例えもそこまで最近じゃないけど)。
・そのハーディングと関係者へのインタビュー形式。
・ハーディングの言葉と再現映像の内容がズレていて、いわゆる「信用できない語り手」として演出されている。
・当時の登場人物たちが、映画館の観客に語りかけてくるのも、彼女たちの話が「あくまでも作り物であり、本人の言い分であって、真実はわからない」という体。
・加害者側の話を作るうえで的確だし、そのギャップをギャグやリズム感にも繋げている。巧み。
・ただ、悪のありようにも濃淡があるのは間違いなく、それぞれの立場で異なるタイプの悪が作品を彩っている。
・特に強烈なのがトーニャの母親。悪という点でほんとに裏切らない。
・当時の元夫もDV野郎だし、その友達は完全にサイコパスだし、ロクなのがいない。
・トーニャの「ナンシーは一回しか殴られていない(私は何度も殴られている)」という意味のセリフも凄い。
・共感はできても肯定はできないごく狭いスペースにしっかり落とし込んでいる。
・見世物扱いに憤っているところは、この映画の観客にまで噛み付いているようにも見える。
・映画なんだからそういう見せ方しなくてもいいじゃないと思っていたら、見世物にして何が悪いという映画側からの強烈なカウンターも入っている。
・エンドロールで当時の実際の映像が見られる。やっぱり本人の演技はすごいし、本作の再現度もすごいことがわかる。
・今はいい母親であろうとしているとのことだけど、それも本人の言葉なので実際のところはわからない。
(字幕:中沢志乃)