ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

ドラマの手法を使った新しい授業アイデア

2015-08-12 09:41:12 | ワークショップの報告
立命館大学での免許状更新講習。

参加された先生方に、ドラマの手法を取り入れた協同学習について、自分ならどうするかを書いていただきました。

いくつかのアイデアを紹介します。
・証券会社の社員と顧客になって、やりとりをする。(商業)
この分野、私の一番苦手とする分野で、あまりイメージが湧かないのですが、証券の仕組みをいくつかの資料を使って理解したうえで、やりとりをするようです。教師としては、学習者の理解度を測るためにも使えそうですね。

・ブレヒト作「ガリレオの生涯」の宗教裁判のシーンを教材として台本化する。(理科)
「なぜガリレオは裁判で負けたのか」「この裁判の意図は何か」「教師がこの活動を意図した理由」を考えさせる。そのために様々な資料をジグソー法で共有。
私たちの思考が時代や場所によって限定されていることを実感することや、自然科学を学ぶ意味も考えられる面白くかつ深い内容だと思いました。ぜひ実践していただきたいです。

・竹取物語。(国語)
まず絵本で「かぐや姫」を読む。かぐや姫が月へ帰っていく場面を演じる。
次に古典「竹取物語」を作品の背景もまじえながら読む。同じ場面を演じる。
絵本と古典について、その違いについて話し合う。
絵本は絵本のよさがあるでしょうが、古典のよさを発見するのではないでしょうか。

・白雪姫(道徳)
白雪姫が毒りんごを食べてしまうシーンを演じる。
なぜ知らない人から勧められたものを食べてしまったのかを話し合う。
どうしたら断れるか、ロールプレイで断るシーンを演じてみる。
白雪姫という物語を味わうためでなく、「うまい話に乗せられず、うまく断る」という安全教育のために白雪姫を用いるという発想が面白いと思いました。

貴重なアイデアを、ご本人に断りなくこういうところで紹介するのは、知的財産権からいうとどうなのでしょうか(詳細は省略しましたが)。
でも、こういった原石をご本人と私だけが所有しているのは、なんともったいないことです。ぜひ磨かれて世に出て欲しいものです。

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応用ドラマ教育論レポートから―最初はこの授業、嫌だった

2015-08-07 09:12:38 | 授業・教育

最初のポーズから少しずつ動いてみる

昨日の講習でエアコンが一定せず、熱せられたり冷やされたりしたせいか、夕べから腹痛、頭痛で絶不調。そんな中、レポート採点中。

今回の応用ドラマ教育論は以下の通り。
1回 ガイダンス、少し知り合う:「なんでもバスケット」「詩・ふきのとう」

2回 受け止めること:インプロ(即興)。「名前コール」「名前コール・ポーズ」「ナイフとフォーク」「好きな果物(クチパク)→好きな季節(ジェスチャー)→犬派猫派、今度生まれたら男か女か(フィーリング)」「教訓(一人一文をつなげて、最後に教訓をつくる)」

3回 ドラマスキル:「shagidi shagidi shapopo」「ワンタッチ・オブジェ(ペア、対称)」「私は木です」「昔話:浦島太郎」(ホットシーティング・静止画・ソートトラック)「創作:新説浦島太郎」

4回 学びの即興劇:「名前キャッチボール」、幸福について「石川さんの物語」

5回 ドラマ教育:「たけのこニョッキ」「A子さんの決断―仕事を辞めて夫についていくべきか」

6回 模擬裁判「裁判員制度を考える」

7回 レポートについて、「だるまさんがお茶飲んだ」、プレイバック・シアター:「カメラマン」

8回 人間彫刻(まっちゃん)

9回 フォーラムシアター(まっちゃん)

10回 学生の授業:歌「はしれメロス」ドラマ技法をつかって、歌の意味を考え、情感をもって歌う

11回 学生の授業:小学校英語の導入「happy jamjam」をダンスにする

12回 学生の授業:被害者の立場に立ってみよう「米軍基地はどのような被害をもたらすか」

13回 学生の授業:幸福とは何か「自分にとっての幸せ」

14回 学生の授業:社会「TPPについて考える」TPPについて、立場の異なる資料を用意し、それぞれの立場になってみることで考えた

15回 ふりかえり:ドラマ教育をCMにすると
もちろん、合間に講義もあります。

レポートのひとつの項目として、半年間の授業を振り返って何を学んだのかを書くことになっています。

今年は、「最初は嫌だった」と書いている人が何人もいました。
最初の授業で「ふきのとう」という詩を身体で表現してみるということをやってみました。
実は、あまり深く考えず、自分の興味関心からやってしまったのですが、最初の授業にこれはハードルが高すぎました。

2回目から授業に来なくなった人が、何人か出ました。1回目と2回目を逆にすべきでした。

しかし、それを乗り越えて継続すると、
「自分の中で何かが変わり、今まであまり意見を出さなかった自分が積極的に意見をいうようになったり、人見知りをしてグループの人とあまり関われなかった自分が冗談を交わしながらコミュニケーションをとったりするようになった。」

「ドラマ教育は自分にとってとても新鮮でした。自分はどちらかというとシャイでなかなか他の人のように積極性がなかったのですが、自分的に楽しかったです。」

など、自分のコミュニケーションのとり方に気づいたり、変われたりできたようです。

「この授業では、様々な他者になる機会が数多くあった。このような経験をすることで『他者の立場に立って物事を考える』という人間にとって大変重要な要素が形成されるのではないか。」

「グループ活動や発表を見る中で、自然と笑いや『おお!』といった感嘆が出てきた。(略)失敗やうまくできないことがあっても、お互いががんばって表現していることが印象的でした。自分らしくいられる居心地の良いクラスでした。」

「いじめ問題の土壌となるような排除の論理が蔓延している学校という部分社会に対して、演劇という包摂の論理を持ち込む。すると自分とは違う他者への受容と共感が生まれている。(略)最初は気恥ずかしそうにしていたのに、参加する誰もが生き生きと自分自身の感情を自由に表現するようになることに驚いた。」

「ふうみん(私のことです)は、自分の意見をよく主張するが、学生の意見を否定しない。自分の意見を否定されないことが分かってると発言しやすくなる。よく笑って雰囲気をよくしている(あれが工夫なのか素なのか、はっきりとわからないが)」

自分の意見をよく主張すると思われていたのか…。自分では、言いたいことも言えていない感じですが…。でも、「否定しない」というふうには思ってくれている。

よく笑うのは、この授業が好きだから。環境教育論では(問題が笑える状態でないだけに)あまり笑っていない気がしますが、授業をもっと楽しむ必要があるのかもと思いました。
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免許状更新講習―共同学習とドラマの手法

2015-08-06 22:05:22 | ワークショップの報告
今日は立命館大学での免許状更新講習。

ここ数年は、免許状更新講習で「ハックルベリー・フィンの冒険」を取り上げています。
年々、進化するのを感じます。

学生と授業で実施したとき(2015.5.31参照)は15名でしたが、今日は23名。
少し多いですが、もともとは30名の予定でしたから、贅沢は言えません。

いつもと違ったのは、
①名前を呼び合うアクティビティをしませんでした。
「せっかく名札をつくったのに」と手伝ってくれた学生の声。自分で名前を名乗るだけでなく、名前を呼ばれたかったとのこと。そうなんだ。名前コールぐらいはしたほうが良かったかもしません。

②「心の声」のウォームアップを短時間にしました。前回学生との授業では、3人ずつぐらいのグループをつくって、例を見せて、状況と配役を考えてもらって、グループ毎に演じてもらっていましたが、今回はジグソー活動のグループ(5人)で、「お母さんが『ご飯できましたよ』という時の家族」と限定しました。すごく時間短縮になりました。ジグソーのグループでやったのも、次とのつながりから、良かったと思いました。

③ハックの台本を上演したのちのワークシートへの記入を省略しました。書くより、話し合う時間を優先しました。

こういった時間短縮のおかげで、あとの話し合いに時間をかけることができました。
実施するたびに、何かが洗練されていく感じ。それでも若干最後は走り気味。
参加者も異なるので、このワークショップは何度繰り返しても飽きることがありません。

一緒にプログラムを開発した吉田真理子先生に、本当に感謝です。

そして、今日、本当に贅沢だったのは、きゅーぴーこと藤原由香里先生(『ドラマと学びの場』共著者)がゲストで来てくださったこと。がねてぃこと上林梓先生(『実践ドラマ教育』共著者)が なんと! 受講生だったこと。
めちゃくちゃ、助けられました。

1日ではもったいない。2日間の講座にしたら。3日でも良いのでは。という受講生の声はとても励まされます。
本当に、そんなワークショップが開ける日が来れば嬉しいです。

受講生の皆さん、ありがとうございました。
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ほめられたら、嬉しい―日本理科教育学会での報告

2015-08-02 21:16:40 | 研究会報告
8月1・2日は、日本理科教育学会が京都教育大学で開かれました。
すごい人、分厚いプログラム、39℃の猛暑。

1日は、小学校、幼稚園の先生が、21世紀型探求・発見学習のタイトルで発表された分科会の座長でした。同じ理科とは言え、分野違いでずいぶん緊張しました。
けれど、懇親会で熱心な先生方と話せたのは、座長をさせていただいたおかげです。

かっこよく見せようと、がんばってハイヒールを履いて行ったので、疲れました。

今日は自分の発表。フラットシューズで。
物理の分科会で、小学校3年生の電気の分野を免許状更新講習でジグソー法にドラマの手法を加えて実践したことを報告。
分科会参加者は50人ほど。

「磁石で理科」(ダンスを用いたワークショップ型授業のモデル「ダンスで、理科を学ぼう」の実践について NPO法人子どもとアーティストの出会い)の報告集をもっていきましたが、12部しか捌けませんでした。小学校の先生が少なかったからでしょうか。私の報告に興味を持ってもらえなかったのでしょうか。

それでも、発表が終わってから何人か名刺を持って話しに来てくださいました。
一人の方は「プレゼンが上手ですね」と言ってくださって…。
そんなこと言われたの初めて。

嬉しい。
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