バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

怒鳴バ… 怒鳴るお婆さん、静かなお婆さん

2014年09月08日 22時26分23秒 | バス運転士
先週末の朝… A駅を出て約40分でA駅へ戻ってくるという路線を3回続けて走ったのだが、その運転カードにはびっしりと“注意事項”が書いてあり… そのほとんどは「時間がない」「遅れる」という意味であった。ところが、たまたまなのか何なのか… 私のバスはそれほど遅れず… ほぼ定時で走っていた。

そして、あるバス停に到着したところ… 先頭で待っていたお婆さんが、なぜか怖い顔をして立っていて… 私が前扉を開ける時には、大きく息を吸い込んで“絶対に何か言う!”雰囲気がありありで… 案の定、バスに乗り込んで私をチラ見した後、車内のデジタル時計を見上げながら何か言い掛けたのだが…

時計が“ちょうど発車時刻”を表示していたので、お婆さんは「お…」と言っただけで何事もなかったかのように車内通路を後方へ歩いて行った。なるほどぉ… やはりメモの通り、遅れることが多い路線なのだろう。だから、お婆さんはいつものように「遅いなぁ~!」と怒鳴るつもりだったに違いない。残念…

その日の夕方… 営業所前ターミナルからB駅へ行って、僅か3分の折り返し時間の後、営業所前ターミナルへ戻ってくる路線を走ったのだが… そこにも「遅れる」「間に合わない」という意味の注意事項が書いてあった。乗客は少なかったのだが交通量が多く、私はB駅への到着が5分くらい遅れてしまい、B駅を約3分遅れで発車した。

営業所前ターミナルへ戻ってくる時は、交通量はそれほどでもなかったけれど、乗客がそれなりに多くて… バス停を発車、「ピィー!」と降車ブザー、「次とまります」と私、次のバス停で止まる… バス停発車、「ピィー!」、「次とまります」、バス停停車… その繰り返し、通過するバス停がない運行となったため、気が付けば7~8分遅れになっていた。

そして、あるバス停へ「ご乗車ありがとう~」と言いながら接近… 2人のお婆さんが待っていたので、私は「お待たせして、すいません」と言いながら前扉&中扉を開けた。すると、先に乗ってきた“元気そうなお婆さん”が「これは49分のバス!?」と怒鳴った後に「何分遅れて…」とブツブツ言いながら席に着いた。もう1人の“足が悪そうなお婆さん”は「お願いします」と言いながら乗り、買い物カートを支えにゆっくりと通路を歩いて行って席に着いた。

私は扉を閉めて発車、「ピィー!」と降車ブザー、「次とまります」と私、次のバス停へ… そこには誰もいなかったので、私は中扉だけを開けたのだが… なんと! 真っ先に降りて行ったのは“ついさっき怒鳴りながら乗った元気そうなお婆さん”だったのだ。時間にして30~40秒、距離にして約200mの一区間… なるほど、だから怒っていたのか… 「バスが時間通りに来ると思って待っていたら何分も遅れて来て… 歩いた方が早かったじゃないの!」って…

そんなことを考えていたら、“ついさっき乗った足が悪そうなお婆さん”も、そこで降りたのである。しかし、そのお婆さんは小さな声で「ありがとね」と言ってから中扉から手を離し、歩いて行ったのだった… まったく同じ一区間乗車の2人… ところが、まったく正反対の2人… 果たして、皆さんはどんなお年寄りになりたいですか? 私は“200mくらい自分で歩くジジイ”になれれば十分です。にゃんちゃって…