「シニア鉄道旅のすすめ」の購入はコチラ
「シニア鉄道旅のすすめ」という本は、シニア世代となった筆者の目線で、「大人の休日倶楽部」「おとなび」といったシニア向けのフリーきっぷや、優雅に楽しめる観光列車、グルメ列車、都市近郊の身近な旅などを分かりやすく説明したものです♪
全国のJRで色んな割引きっぷがあり、また青春18きっぷの上手な使い方や、様々な大人向け観光列車、足湯や美術館、プラネタリウムがある列車、レストラン・カフェ列車、豪華列車など私が知らない列車がたくさん驚きましたね♪
特に私は東北地方にあまり行ったことがないので、1万5000円で4日間JR東日本線を新幹線含めて乗り放題パスである「大人の休日倶楽部パス」の「JR東日本全線乗り放題パス」は利用してぜひ行ってみたいと思いました♪
こんなお得なパスがあるとは知りませんでしたね♪
年齢は50歳以上で、時期は年に3回ほどと限られ、指定券は6回までしか取れないようですが、それでもかなりお得だと思います♪
それから、豪華列車や足湯新幹線、プラネタリウム列車、レストラン列車などもぜひ乗ってみたいですね♪
以下はこの本のポイント等です♪
「シニア鉄道旅のすすめ」という本は、日本の楽しい列車について知ることができ、とてもオススメです!
・シニアの特権とも言える最強の乗り放題きっぷがある。その名は「大人の休日倶楽部パス」。JR東日本が募集している50歳以上限定の会員組織で、その会員が利用できるフリーきっぷで、年に3回ほどパス利用期間があって、そのうちの数日間連続で1枚のパスが使える。具体的には、JR東日本全線乗り放題パス(4日間)、JR東日本プラスJR北海道全線乗り放題パス(5日間)がある。JR東日本全線乗り放題パス(4日間)の値段は1万5千円。普通列車、快速列車のみならず、特急列車、新幹線にも乗れる。特急と新幹線は、事前に予約すれば、6回まで指定券が取れる。これも追加料金は不要なのだ。もっとも普通車に限るのであって、グリーン車やグランクラスには乗れない。自由席であれば4日間、回数制限はない。快速列車を含めて普通列車限定の青春18きっぷに比べたら、破格のサービスである。実例を示すと、東京駅から仙台駅まで東北新幹線「はやぶさ」に乗ると運賃プラス特急の指定券合わせて1万1千円(閑散期料金)だから、単純に往復するだけで2万2千円となり、7千円のオトクになる。計算すれば3割引以上であり、もちろんほかに岩手や青森、秋田などを列車で周遊しても追加料金はかからない。
・北陸フリーきっぷ2万2千円は、北陸新幹線開業時より発売となった比較的新しいきっぷだ。北陸新幹線は上越妙高駅から金沢駅までは、JR西日本の路線なので、このきっぷを使えば気兼ねなく終点金沢まで乗っていくことができる。金沢から富山を経て黒部までの第三セクター鉄道(JRいしかわ鉄道と、あいの風とやま鉄道)にも乗れるし、JR西日本の在来線は福井を経て敦賀、さらには小浜線の小浜まで行けるとは大盤振る舞いである。このきっぷが、大人の休日倶楽部パスと違うところは、北陸エリア内まで行ったら、帰路までエリア内から抜けることができないことだ。いくら富山、金沢が近くなり日帰り可能になったといっても、大人の休日倶楽部パスのように4日間、日帰り往復するような使い方はできない。あくまで北陸に行ったら、宿泊して周遊するまともな旅をすることが必須である。このきっぷは、利用可能な期間が長いので、利用者も分散するようだ。
・JR東日本の大人の休日倶楽部に対抗して、JR西日本が始めたのが「おとなび」という男女50歳以上を対象とした会員組織だ。会費は無料なので気楽に入会できるけど、そのためか、大人の休日倶楽部ミドル会員のような乗車券、特急券5%割引といった制度はない。そのかわり「おとなびWEB早特」、「おとなびパス」といった目玉商品がある。おとなびWEB早特とは、山陽新幹線「のぞみ」「みずほ」や在来線特急「サンダーバード」「くろしお」「こうのとり」「はまかぜ」といった列車が3割引、「こだま」が6割引になるきっぷだ。ただし、対象となる区間が新大阪~岡山、広島、博多、大阪~金沢、大阪~城崎温泉というように、あらかじめ決められていて、会員の利用したい区間すべてに対応しているわけではない。また、乗車日の7日前までに購入しなくてはならないので、急に思い立っての旅には対応できない。
・おとなびパスは、JR西日本全線を新幹線、特急を含めて3日間乗り放題となるきっぷだ。新幹線、特急は自由席なら無制限、指定席は6回までなら、このきっぷの値段2万円のままで利用できる。JR西日本以外では、京阪神と鳥取方面を結ぶ「特急スーパーはくと」が経由する智頭急行線も追加料金なしで乗ることができる。おとなびパスの利用期間は2018年の場合、5月15日から7月12日と2ヶ月近くもある。大人の休日倶楽部パスのように半月ほどと短くないので、利用者が殺到することはなく分散されるのは好ましい。
・JR九州にも「ハロー!自由時間パス」というシニア向けのきっぷがある。これは「ハロー!自由時間クラブ」という会員用のパスで、入会条件は、女性50歳以上、男性60歳以上なら誰でもなれる。まさにシニア向けの会員組織で、入会費と年会費は無料だから気楽にとりあえず会員になっておいていいだろう。パスには、北部九州エリア版9千円と全九州エリア版1万7千円がある。北部九州エリアとは、熊本と大分を結ぶ豊肥本線より北の路線で、博多と熊本を九州新幹線「つばめ」の自由席で往復すると9220円だからこれだけでモトが取れてしまう。全九州エリア版も、博多と鹿児島中央を九州新幹線「さくら」の自由席で往復すると1万9860円。どちらも3日間乗れば乗るほどトクになる。インターネットで購入する「ハロー!自由時間ネットパス」ならば、北部九州8200円、全九州1万5500円とさらにトクになる。また、大人の休日倶楽部パスやおとなびパスと異なり、利用期間が決まっておらず、1年中好きな時に使えるのも便利である。
・JR四国のおトクきっぷとして有名なのが、「バースデイきっぷ」。これならグリーン車にも乗れるグリーン車用1万3千円がある。普通車指定席も料金内で取れるので重宝する。安く済ませたいなら、普通車自由席用9500円もある。バースデイきっぷは、誕生月限定であるが、お連れ様用を同額で3枚まで発行できるので、誕生月の異なる夫婦や仲間であれば、1年に何回か使えるのがありがたい。
・青春18きっぷで東京から高崎まで行ったなら、その先も考えたい。週末なら「SLみなかみ」が走っていることがあるので、水上まで往復するのも一興だ。このSL列車は快速列車扱いなので、指定券520円を別途払えば18きっぷが使える。SL列車に乗って日帰り温泉旅行と洒落込んでみたい。
・首都圏を離れたところを走る観光列車として有名なものに、青森県と秋田県を日本海に沿って駆け抜けるJR五能線の快速列車「リゾートしらかみ」がある。かなりの長距離を走り、この列車だけを乗っても新青森駅と秋田駅間は、正規運賃で4430円もかかる。ということは、往復は新幹線を利用し、「リゾートしらかみ」に乗る日だけ青春18きっぷを使うのを有効であろう。指定料金の520円を追加するだけで、ゆったりとした旅が割安料金で楽しめるのだ。「ブナ」の愛称らしく、車内に木が植えてあるかと錯覚してしまうような柱に驚くし、運転台背後の展望スペース以外にも、物販カウンターの反対側にカウンター席があり、買ったばかりのドリンクを飲みながら、日本海などの車窓を楽しむことができる。長時間乗っても飽きないように、津軽三味線の演奏、語り部による民話の紹介、絶景スポット千畳敷駅での途中下車など、イベントも盛りだくさんである。特急列車並の設備なのに、18きっぷで乗ることができ、大変得をした気分で過ごせる。「リゾートしらかみ」の旅は、沿線に魅力的なスポットが多いから途中下車もオススメだ。特にウェスパ椿山駅で下車し、送迎バスで向かう不老ふ死温泉は、露天風呂から日本海に沈みゆく夕陽を眺めるのが筆舌に尽くしがたい。
・JR長野駅と十日町駅の間を土休日に「おいこっと」は一日一往復している。長野と豊野の間は、第三セクターしなの鉄道を経由し、豊野と十日町の間がJR飯山線である。「おいこっと」とはTOKYO(東京)を逆に書くとOYKOTとなり、これを「おいこっと」と読ませる。その意味するところは、東京とは真逆の田舎、心のふるさとをイメージしたとのことだ。沿線の飯山駅の手前にある替佐駅から少し入ったところには、唱歌「故郷」の作詞者高野辰之の出身地があり、歌詞に出てくる「うさぎ追いしかの山、こぶな釣りしかの川」という情景は、このあたりを詠んだものだと言われている。そのため「おいこっと」の車両には、うさぎ、山、フナ、川のアイコンが描かれ、故郷を走る列車をアピールしている。車両のイメージとしては故郷の祖母が住んでいる古民家といったところだ。そのコンセプトにふさわしく、アテンダントさんは農家のおばちゃんみたいな人だった。発車すると乗客に野沢菜を配って歩いていた。車内放送は、おじいちゃん風の木訥な語り、沿線出身の俳優常田富士男さんの声だという。川沿いの車窓が延々と続き、見とれていると、気分転換を促すように、アテンダントさんが藁頭巾を持ってくる。これをまとって「雪ん子」になりきっての記念写真を撮影してくれる。これはなかなか面白かった。
・信州には、JR小海線という高原列車で知られた絶景路線がある。長らく観光列車が走っていなかったが、2017年になってようやく観光列車が走り始めた。その名は「HIGH RAIL 1375」。北陸新幹線との乗換駅である佐久平駅に停車するあたりで、スイーツセットがテーブルに配られ、優雅なひとときが始まり、ケーキセットを食べ終わる頃に、車窓には千曲川が現れる。しばらくは左に右に千曲川が寄り添い、次第に列車は山の中へと入って行く。「HIGH RAIL 2号」の2号車には、ギャラリーがある。薄暗くなった小部屋で、半円状のドーム型天井には、星空が投影され、プラネタリウムのような雰囲気だ。円筒状の室内の両サイドには書棚があり、天文関係の書籍がずらりと並んでいる。夜間に、小淵沢駅から小諸駅まで走る「HIGH RAIL 星空」では、星空上映会あるので、そのときはイベント会場となる。山岳地帯から高原へと車窓が変わると野辺山駅である。JRの駅の中で標高が一番高いことで知られる。ホームには「JR線最高駅野辺山 標高1,345米67」と書かれた標柱が立っている。20分ほど停まるので、列車から降りて標柱の脇に立って記念撮影をする人が多い。アテンダントさんは、笑顔で率先してシャッターを切ってくれる。普通なら「ハイ、チーズ」というところを「ハイレール」と列車名を連呼するのが面白い。野辺山駅を出発し、住宅密集地を抜けると、畑のなかを夕陽に向かって一直線に延びている線路を進む。まもなく減速し、アテンダントさんが「右をご覧ください」と促す。ロッジ風のお店や神社の脇にJR鉄道最高地点の茶色い標柱が立っている。数字を読むと標高1475メートル。車両名の「HIGH RAIL 1375」は、この数字に由来するのだ。このあとは当然、下り坂になり、女性に人気のリゾート地の玄関である清里駅に停車。白樺の林を抜け、右手に夕闇迫る八ヶ岳が見えると終点小淵沢駅である。「天空に一番近い列車」のキャッチフレーズ通り、空、特に星空をイメージしたデザインやインテリアなど工夫のあとが見える観光列車「HIGH RAIL 1375」である。
・「A列車で行こう」は、熊本駅から行き止まりのローカル線である三角線の終着駅三角駅までを往復する観光列車だ。土休日を中心に1日3往復し、乗車時間は40分程度にすぎない。それなのに快速ではなく特急を名乗る。当然、特急券が必要で、全席指定席なので熊本駅から三角駅まで乗ると片道で1140円、それに乗車券740円を加え1880円もかかる。かなり強気の料金設定であり、JR九州が自信を持って運行しているあらわれともいえるだろう。「A列車で行こう」のAとは、終点三角駅からフェリーを乗り継いで行ける天草(Amakusa)のAであり、大人(Adult)のAをも表すと言われている。車内には、ステンドグラスがはめ込まれ、マリア像の置物もある。これらは16世紀に天草に伝わった南蛮文化をテーマにしてデザインされたものだ。そして1号車に設けられたA-TRAIN BAR。1930年代あたりの古風で洒落た雰囲気は大人のムードで一杯だ。BGMにはジャズが似合う。流れる曲は、列車の名称にもなっている「A列車で行こう」。片手に持つグラスの中身はハイボール。バーカウンターでは、地元のデコポンをアレンジしたハイボールが人気メニューとなっている。ただ乗車時間が短いこともあり、列車が熊本駅を発車する前からバーカウンターでは行列ができる。何とかハイボールを手に入れ、呑みながらくつろいでいると、列車は宇土駅を過ぎ、鹿児島本線から単線の三角線に進入していた。やがて、右手には有明海が見えてくる。特に御輿来海岸は干潮時に美しい砂紋が干潟に現れることで知られている。タイミングがよくないと見ることができないけれど、ちょっと不思議な海岸は印象に残る。海の向こうにそびえるのは雲仙普賢岳。境界風の三角の駅舎をバックにして道路を渡ると、目の前が三角港。列車に接続するシークルーズという船に乗り換えると、1時間ほどで天草の本渡港に着く。この船も列車同様、水戸岡鋭治氏がデザインし、船内では「A列車で行こう」のメロディーが流れる。
・小田原と伊豆急下田を結ぶ「伊豆クレイル」は、大人の女性に人気のある観光列車だ。食事をセットにしたツアーがメインで、鉄道ファン向きではない。それでも、4両編成のうちの1両だけは、駅の窓口で指定券が買える。列車は伊豆稲取駅に停車。この先は東伊豆の海岸線に沿って走る絶景区間である。ほどなく、列車は徐行をはじめ、絶景ポイントで停止した。眼下には小石がぎっしり敷き詰められたように並ぶ波打ち際があり、波がしぶきをあげて寄せては返している。走っていたら確認できないような情景に心躍る。何枚もシャッターを押して楽しんだ。4号車に戻ろうとしたら、しばらくするとラウンジでボサノバの演奏会があるとのアナウンスがあった。かなり人が集まったところで、女性ミュージシャンがギター片手に登場。イスに腰かけてマイクの調整をすると、挨拶をして演奏が始まった。変化に富んで車内イベントも多く、あっという間の旅だった。
・和倉温泉へは、金沢駅からJR七尾線の特急で1時間ほどであるが、そこからさらに線路は延びている。ただしJRではなく、和倉温泉駅の一つ手前の七尾駅から穴水駅mで、のと鉄道という第三セクター鉄道である。この鉄道にも「のと里山里海号」という北陸新幹線金沢開業を機に観光列車が走り始めた。ほかの観光列車と同様、指定席や飲食の予約が必要ではあるが、それは土休日の話であって、平日にも走り、しかも予約不要というのがありがたい。まれに、観光ツアーの貸し切りになってしまうことがある。平日の列車は、2往復半で、カジュアルコースと命名されている。乗るときに運賃のほか、乗車整理券300円を払う。まずは田園地帯を走り、家具で有名な田鶴浜駅、笠師保駅と停まっていく。次の能登中島駅では10分ほど停車するという。小休止の後、発車。しばらく山の中を走ると、突然、右下に入り江が見えてきた。昔ながらの漁港風景が残る深浦地区だ。絵になる車窓なので、列車は一旦停車。さらに進むと、七尾北湾が間近に見えるようになり、牡蠣の養殖場が広がる。アテンダントさんの説明がなかったらぼんやり見過ごしていたであろう。
・山形新幹線は、当初の終点である山形駅から新庄駅まで延伸されたものの、利用客は多くない。このままでは、宝の持ち腐れになってしまうとの危機感を抱いたからであろうか、2014年夏より、奇想天外な観光列車が走り始めた。新幹線車両を改造した初の観光列車であり、名称は「とれいゆつばさ」という。「とれいゆ」とは聞き慣れない言葉だが、列車のトレインとフランス語で太陽を太陽を意味するソレイユを組み合わせた造語だという。太陽が出てくるのは、その恵みによる豊かな食材を提供する意味合いがあるようだ。パンフレットには書かれてはいないけれど、足湯「ゆ」を掛けていることは暗黙の了解だろう。この列車の最大の特色は、車内に「足湯」があることだ。題して「足湯新幹線」。16号車が足湯のあるユニークな車両となっている。
・足湯のある「とれいゆつばさ」に続いて登場した新幹線車両の観光列車、第2段は、上越新幹線を走る「現美新幹線」である。11号車は元グリーン車で座席配置はそのままでギャラリーがあるのは12号車、14号車から16号車までの4両だ。いずれも、東京に向かって右側にのみ座席がある。左側はギャラリーになっていて作品を展示しているため窓はない。座席もゆったりとしたソファータイプや窓を背に配置したもの、通常のクロスシートのようになったものなどさまざまである。ギャラリーは、写真や抽象絵画をパネル展示してあったり、立体的なオブジェをガラス張りのギャラリーの中に配置している車両がある。13号車はカフェとなっていたので、ここで休憩することにした。
・釜石線沿線は宮沢賢治ゆかりの地であり、「SL銀河」という愛称は、賢治の「銀河鉄道の夜」に由来する。したがって車内は賢治の生きた大正時代の雰囲気を感じさせるようなレトロなつくりとなっていた。各座席の窓の上部には三日月形のステンドグラスがはめ込まれ、木の枝のようなパーテーションでボックス席が仕切られている。座席のほかには、天体関係や宮沢賢治関係のギャラリー、それに特筆すべきはプラネタリウムであろう。これは車両の一角に小部屋を設け、その天井に夜空を映し出して、「銀河鉄道の夜」をイメージしたミニストーリーを数分間紹介するものである。ナレーションが流れている時に、BGMのように汽笛が鳴り響く。これは列車を牽引しているC58形のもので本物だ。タイミングにもよるけれど、実にうまくできている。プラネタリウムは各地にあるものの、列車内のものは世界初とのことだ。
・福島県のJR磐越西線を走る「走るカフェ「フルーティアふくしま」」に乗車することができた。福島県はフルーツ王国とも言われ、モモ、ナシ、ブドウ、サクランボなどの産地として知られる。それら地元のフルーツを使ったケーキを車内で味わえるのが、このカフェ列車なのだ。
・スイーツ列車の次にご紹介するのは地酒を味わう列車である。家族連れというよりは大人だけで楽しむ列車といえるだろう。この列車も旅行商品の購入なら食事付きなのだが、それは3両編成中の1号車だけで、3号車は座席のみ、駅の窓口で指定券が買えるという。
・「越乃Shu*KURA」と十日町駅でつながり、二つの観光列車を乗り継ぐ旅が可能な相方となる列車が飯山線を走る「おいこっと」である。朝、長野駅を「おいこっと」で出発すれば、十日町でしばらく食事や散策をしたあと「越乃Shu*KURA」に乗り継げるし、上越妙高駅を朝「越乃Shu*KURA」で出発すれば、やはり十日町でしばらく休んだ後、「おいこっと」で飯山や長野へ向かうことができる。どちらのコースも北陸新幹線を組み合わせることによって、首都圏から気楽に訪れることができるのが嬉しい。
・長野県内を走る第三セクターしなの鉄道は、元はJR信越本線の一部区間である。この鉄道の目玉列車が「ろくもん」というレストラン主体の観光列車で、お昼前に軽井沢駅を出て長野駅に向かうのが洋食コース(ろくもん1号)、午後に長野駅から軽井沢駅に戻るのが懐石料理のコース(ろくもん2号)である。「ろくもん」は沿線ゆかりの真田家の紋所である六文銭にちなむ列車名だ。さらに夕方、軽井沢駅から上田駅を経て長野駅まで行く信州プレミアムワインプラン(ろくもん3号)が2017年4月より運行を開始した。この列車の使い方としてはまずは軽井沢で1日レジャーやショッピングを楽しんだ後に、このワイントレインで優雅なひとときを過ごす。その後、上田駅から上田電鉄の電車で別所温泉に向かう。あるいは、その先の戸倉駅まで乗って、戸倉上山田温泉でくつろぐ。いずれにせよ、軽井沢でのリゾート、ワイントレインでの旅、そして温泉で休むという旅のコースが提案できるだろう。
・2017年4月からJR四国の土讃線に「四国まんなか千年ものがたり」という観光列車が走り出した。その名の通り、四国のまんなかあたりに位置する大歩危、小歩危の渓谷や四国の背骨に当たる讃岐山脈を越える車窓を楽しみながら、沿線の素材を使った食事を味わうという盛りだくさんの内容である。多度津駅から琴平、阿波池田を経て大歩危駅までの区間を往復するのだが、上下列車で食事の内容は異なる。
・経営状態が決して良いとは言えないJR四国は、好評の観光列車「伊予灘ものがたり」に続く食をメインとした列車として「四国まんなか千年ものがたり」に期待をかけている。乗ってみて充実した内容に目を見張ったが、同じ思いの人は多かったようで、予想以上に反響があり、満席の日が多いという。
・北陸新幹線の金沢開業後の観光を盛り上げるために、2015年秋より金沢駅と和倉温泉駅間で運転されている観光列車が特急「花嫁のれん」だ。「花嫁のれん」とは、加賀藩の伝統文化で、娘の幸せを願って嫁ぎ先に渡される嫁入り道具のひとつである。花嫁は婚礼当日に嫁ぎ先にかかげられた「花嫁のれん」をくぐって嫁入りをするのである。これにあやかり、乗車する人の幸せを願って「花嫁のれん」と命名されたという。列車は婚礼の式を思わせる豪華絢爛たるインテリアだ。加賀ゆかりの加賀友禅や輪島塗、それに金箔をイメージした華やかな内装になっている。特急「花嫁のれん」のウリは車窓ではなく、車内での飲食にある。列車は週末を中心とした運転日には1日2往復し、それぞれにオプションで飲食セットを申し込むことができる。午前と午後に金沢駅を発車する1号、3号はスイーツセットで生菓子、焼き菓子とソフトドリンクが付く。お昼頃に和倉温泉駅を出る2号は和軽食セット、夕方に和倉温泉駅を発車する4号はほろよいセットが申し込める。
・東京駅発のグランクラス・チケットを所持している者には、ビューゴールドラウンジという特別の待合室を無料で利用できる特典がある。
・2013年3月、伊勢神宮の式年遷宮に合わせて豪華観光特急「しまかぜ」が華々しくデビューした。近鉄特急は、観光のみならずビジネス利用も多いのだが、「しまかぜ」は大阪、京都、名古屋から伊勢志摩への「観光」に特化している。そして豪華さをウリにするため、座席数も少なくし、しまかぜ特別車両料金を特急料金のほかに上乗せしプレミアム感を出している。とはいえ、しまかぜ特別車両料金は最大でも1130円(京都~賢島)であり、運賃、特急料金を合わせても合計で5560円にしかならない。
・伊豆急行の終点伊豆急下田駅まで、JR横浜駅から伊豆半島の東海岸を直通する豪華列車が「THE ROYAL EXPRESS」である。プラチナコースの場合、7号車あるいは8号車の座席でゆったりとくつろぎ、食事の時間になると、5号車もしくは6号車のレストラン席に移動して食事を摂ることになる。クラシカルな落ち着いた雰囲気の車内は、シートのデザインなどいかにも水戸岡鋭治氏らしい柄模様のものだ。テーブルやイスなどに木を多用し、テーブルサイドのライトもシックなものである。レストラン席も似たようなデザインとはいえ、座席車とは異なった造りになっている。ピアノが置かれ、ピアニストに加えてバイオリニストも参加して、生演奏を聴きながら豪華なコース料理を味わうことになる。3号車のマルチカーは、イベントスペースである。パーティや結婚式、展覧会や会議などにも使えるという。どのようなイベントが行われるのかは乗車してのお楽しみだ。そのほか、内部の壁に金箔を貼ったトイレもある。ちょっと凝り過ぎだが、豪華列車ならではの演出であろう。「THE ROYAL EXPRESS」の旅は、決して長距離ではないので、値段も食事付き片道乗車プランなら、ひとり2万5千円からである。
・京都の鞍馬へ向かうルートには、何年か前から「きらら」と呼ばれる観光電車が走っている。一方、八瀬比叡山口駅に向かうルートには、これといって有名な車両はなかったのだが、2018年3月21日より、強烈なインパクトを与える新しい電車が登場した。その名は「ひえい」。グリーンの落ち着いた車体の前面に取ってつけたような「金色の楕円形の輪」を設置、見た人誰もが「ひぇ~」と驚く風貌である。側面の窓もすべて楕円形。叡山電車の公式サイトを見ると、鞍馬や比叡山の「荘厳で神聖な空気感や深淵な歴史、木漏れ日や静寂な空間から感じる大地の気やパワーなど、「神秘的な雰囲気」や「時空を超えたダイナミズム」といったイメージを、「楕円」というモチーフで大胆に表現」したと書いてある。
良かった本まとめ(2018年上半期)
<今日の独り言>
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「シニア鉄道旅のすすめ」という本は、シニア世代となった筆者の目線で、「大人の休日倶楽部」「おとなび」といったシニア向けのフリーきっぷや、優雅に楽しめる観光列車、グルメ列車、都市近郊の身近な旅などを分かりやすく説明したものです♪
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以下はこの本のポイント等です♪
「シニア鉄道旅のすすめ」という本は、日本の楽しい列車について知ることができ、とてもオススメです!
・シニアの特権とも言える最強の乗り放題きっぷがある。その名は「大人の休日倶楽部パス」。JR東日本が募集している50歳以上限定の会員組織で、その会員が利用できるフリーきっぷで、年に3回ほどパス利用期間があって、そのうちの数日間連続で1枚のパスが使える。具体的には、JR東日本全線乗り放題パス(4日間)、JR東日本プラスJR北海道全線乗り放題パス(5日間)がある。JR東日本全線乗り放題パス(4日間)の値段は1万5千円。普通列車、快速列車のみならず、特急列車、新幹線にも乗れる。特急と新幹線は、事前に予約すれば、6回まで指定券が取れる。これも追加料金は不要なのだ。もっとも普通車に限るのであって、グリーン車やグランクラスには乗れない。自由席であれば4日間、回数制限はない。快速列車を含めて普通列車限定の青春18きっぷに比べたら、破格のサービスである。実例を示すと、東京駅から仙台駅まで東北新幹線「はやぶさ」に乗ると運賃プラス特急の指定券合わせて1万1千円(閑散期料金)だから、単純に往復するだけで2万2千円となり、7千円のオトクになる。計算すれば3割引以上であり、もちろんほかに岩手や青森、秋田などを列車で周遊しても追加料金はかからない。
・北陸フリーきっぷ2万2千円は、北陸新幹線開業時より発売となった比較的新しいきっぷだ。北陸新幹線は上越妙高駅から金沢駅までは、JR西日本の路線なので、このきっぷを使えば気兼ねなく終点金沢まで乗っていくことができる。金沢から富山を経て黒部までの第三セクター鉄道(JRいしかわ鉄道と、あいの風とやま鉄道)にも乗れるし、JR西日本の在来線は福井を経て敦賀、さらには小浜線の小浜まで行けるとは大盤振る舞いである。このきっぷが、大人の休日倶楽部パスと違うところは、北陸エリア内まで行ったら、帰路までエリア内から抜けることができないことだ。いくら富山、金沢が近くなり日帰り可能になったといっても、大人の休日倶楽部パスのように4日間、日帰り往復するような使い方はできない。あくまで北陸に行ったら、宿泊して周遊するまともな旅をすることが必須である。このきっぷは、利用可能な期間が長いので、利用者も分散するようだ。
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・青春18きっぷで東京から高崎まで行ったなら、その先も考えたい。週末なら「SLみなかみ」が走っていることがあるので、水上まで往復するのも一興だ。このSL列車は快速列車扱いなので、指定券520円を別途払えば18きっぷが使える。SL列車に乗って日帰り温泉旅行と洒落込んでみたい。
・首都圏を離れたところを走る観光列車として有名なものに、青森県と秋田県を日本海に沿って駆け抜けるJR五能線の快速列車「リゾートしらかみ」がある。かなりの長距離を走り、この列車だけを乗っても新青森駅と秋田駅間は、正規運賃で4430円もかかる。ということは、往復は新幹線を利用し、「リゾートしらかみ」に乗る日だけ青春18きっぷを使うのを有効であろう。指定料金の520円を追加するだけで、ゆったりとした旅が割安料金で楽しめるのだ。「ブナ」の愛称らしく、車内に木が植えてあるかと錯覚してしまうような柱に驚くし、運転台背後の展望スペース以外にも、物販カウンターの反対側にカウンター席があり、買ったばかりのドリンクを飲みながら、日本海などの車窓を楽しむことができる。長時間乗っても飽きないように、津軽三味線の演奏、語り部による民話の紹介、絶景スポット千畳敷駅での途中下車など、イベントも盛りだくさんである。特急列車並の設備なのに、18きっぷで乗ることができ、大変得をした気分で過ごせる。「リゾートしらかみ」の旅は、沿線に魅力的なスポットが多いから途中下車もオススメだ。特にウェスパ椿山駅で下車し、送迎バスで向かう不老ふ死温泉は、露天風呂から日本海に沈みゆく夕陽を眺めるのが筆舌に尽くしがたい。
・JR長野駅と十日町駅の間を土休日に「おいこっと」は一日一往復している。長野と豊野の間は、第三セクターしなの鉄道を経由し、豊野と十日町の間がJR飯山線である。「おいこっと」とはTOKYO(東京)を逆に書くとOYKOTとなり、これを「おいこっと」と読ませる。その意味するところは、東京とは真逆の田舎、心のふるさとをイメージしたとのことだ。沿線の飯山駅の手前にある替佐駅から少し入ったところには、唱歌「故郷」の作詞者高野辰之の出身地があり、歌詞に出てくる「うさぎ追いしかの山、こぶな釣りしかの川」という情景は、このあたりを詠んだものだと言われている。そのため「おいこっと」の車両には、うさぎ、山、フナ、川のアイコンが描かれ、故郷を走る列車をアピールしている。車両のイメージとしては故郷の祖母が住んでいる古民家といったところだ。そのコンセプトにふさわしく、アテンダントさんは農家のおばちゃんみたいな人だった。発車すると乗客に野沢菜を配って歩いていた。車内放送は、おじいちゃん風の木訥な語り、沿線出身の俳優常田富士男さんの声だという。川沿いの車窓が延々と続き、見とれていると、気分転換を促すように、アテンダントさんが藁頭巾を持ってくる。これをまとって「雪ん子」になりきっての記念写真を撮影してくれる。これはなかなか面白かった。
・信州には、JR小海線という高原列車で知られた絶景路線がある。長らく観光列車が走っていなかったが、2017年になってようやく観光列車が走り始めた。その名は「HIGH RAIL 1375」。北陸新幹線との乗換駅である佐久平駅に停車するあたりで、スイーツセットがテーブルに配られ、優雅なひとときが始まり、ケーキセットを食べ終わる頃に、車窓には千曲川が現れる。しばらくは左に右に千曲川が寄り添い、次第に列車は山の中へと入って行く。「HIGH RAIL 2号」の2号車には、ギャラリーがある。薄暗くなった小部屋で、半円状のドーム型天井には、星空が投影され、プラネタリウムのような雰囲気だ。円筒状の室内の両サイドには書棚があり、天文関係の書籍がずらりと並んでいる。夜間に、小淵沢駅から小諸駅まで走る「HIGH RAIL 星空」では、星空上映会あるので、そのときはイベント会場となる。山岳地帯から高原へと車窓が変わると野辺山駅である。JRの駅の中で標高が一番高いことで知られる。ホームには「JR線最高駅野辺山 標高1,345米67」と書かれた標柱が立っている。20分ほど停まるので、列車から降りて標柱の脇に立って記念撮影をする人が多い。アテンダントさんは、笑顔で率先してシャッターを切ってくれる。普通なら「ハイ、チーズ」というところを「ハイレール」と列車名を連呼するのが面白い。野辺山駅を出発し、住宅密集地を抜けると、畑のなかを夕陽に向かって一直線に延びている線路を進む。まもなく減速し、アテンダントさんが「右をご覧ください」と促す。ロッジ風のお店や神社の脇にJR鉄道最高地点の茶色い標柱が立っている。数字を読むと標高1475メートル。車両名の「HIGH RAIL 1375」は、この数字に由来するのだ。このあとは当然、下り坂になり、女性に人気のリゾート地の玄関である清里駅に停車。白樺の林を抜け、右手に夕闇迫る八ヶ岳が見えると終点小淵沢駅である。「天空に一番近い列車」のキャッチフレーズ通り、空、特に星空をイメージしたデザインやインテリアなど工夫のあとが見える観光列車「HIGH RAIL 1375」である。
・「A列車で行こう」は、熊本駅から行き止まりのローカル線である三角線の終着駅三角駅までを往復する観光列車だ。土休日を中心に1日3往復し、乗車時間は40分程度にすぎない。それなのに快速ではなく特急を名乗る。当然、特急券が必要で、全席指定席なので熊本駅から三角駅まで乗ると片道で1140円、それに乗車券740円を加え1880円もかかる。かなり強気の料金設定であり、JR九州が自信を持って運行しているあらわれともいえるだろう。「A列車で行こう」のAとは、終点三角駅からフェリーを乗り継いで行ける天草(Amakusa)のAであり、大人(Adult)のAをも表すと言われている。車内には、ステンドグラスがはめ込まれ、マリア像の置物もある。これらは16世紀に天草に伝わった南蛮文化をテーマにしてデザインされたものだ。そして1号車に設けられたA-TRAIN BAR。1930年代あたりの古風で洒落た雰囲気は大人のムードで一杯だ。BGMにはジャズが似合う。流れる曲は、列車の名称にもなっている「A列車で行こう」。片手に持つグラスの中身はハイボール。バーカウンターでは、地元のデコポンをアレンジしたハイボールが人気メニューとなっている。ただ乗車時間が短いこともあり、列車が熊本駅を発車する前からバーカウンターでは行列ができる。何とかハイボールを手に入れ、呑みながらくつろいでいると、列車は宇土駅を過ぎ、鹿児島本線から単線の三角線に進入していた。やがて、右手には有明海が見えてくる。特に御輿来海岸は干潮時に美しい砂紋が干潟に現れることで知られている。タイミングがよくないと見ることができないけれど、ちょっと不思議な海岸は印象に残る。海の向こうにそびえるのは雲仙普賢岳。境界風の三角の駅舎をバックにして道路を渡ると、目の前が三角港。列車に接続するシークルーズという船に乗り換えると、1時間ほどで天草の本渡港に着く。この船も列車同様、水戸岡鋭治氏がデザインし、船内では「A列車で行こう」のメロディーが流れる。
・小田原と伊豆急下田を結ぶ「伊豆クレイル」は、大人の女性に人気のある観光列車だ。食事をセットにしたツアーがメインで、鉄道ファン向きではない。それでも、4両編成のうちの1両だけは、駅の窓口で指定券が買える。列車は伊豆稲取駅に停車。この先は東伊豆の海岸線に沿って走る絶景区間である。ほどなく、列車は徐行をはじめ、絶景ポイントで停止した。眼下には小石がぎっしり敷き詰められたように並ぶ波打ち際があり、波がしぶきをあげて寄せては返している。走っていたら確認できないような情景に心躍る。何枚もシャッターを押して楽しんだ。4号車に戻ろうとしたら、しばらくするとラウンジでボサノバの演奏会があるとのアナウンスがあった。かなり人が集まったところで、女性ミュージシャンがギター片手に登場。イスに腰かけてマイクの調整をすると、挨拶をして演奏が始まった。変化に富んで車内イベントも多く、あっという間の旅だった。
・和倉温泉へは、金沢駅からJR七尾線の特急で1時間ほどであるが、そこからさらに線路は延びている。ただしJRではなく、和倉温泉駅の一つ手前の七尾駅から穴水駅mで、のと鉄道という第三セクター鉄道である。この鉄道にも「のと里山里海号」という北陸新幹線金沢開業を機に観光列車が走り始めた。ほかの観光列車と同様、指定席や飲食の予約が必要ではあるが、それは土休日の話であって、平日にも走り、しかも予約不要というのがありがたい。まれに、観光ツアーの貸し切りになってしまうことがある。平日の列車は、2往復半で、カジュアルコースと命名されている。乗るときに運賃のほか、乗車整理券300円を払う。まずは田園地帯を走り、家具で有名な田鶴浜駅、笠師保駅と停まっていく。次の能登中島駅では10分ほど停車するという。小休止の後、発車。しばらく山の中を走ると、突然、右下に入り江が見えてきた。昔ながらの漁港風景が残る深浦地区だ。絵になる車窓なので、列車は一旦停車。さらに進むと、七尾北湾が間近に見えるようになり、牡蠣の養殖場が広がる。アテンダントさんの説明がなかったらぼんやり見過ごしていたであろう。
・山形新幹線は、当初の終点である山形駅から新庄駅まで延伸されたものの、利用客は多くない。このままでは、宝の持ち腐れになってしまうとの危機感を抱いたからであろうか、2014年夏より、奇想天外な観光列車が走り始めた。新幹線車両を改造した初の観光列車であり、名称は「とれいゆつばさ」という。「とれいゆ」とは聞き慣れない言葉だが、列車のトレインとフランス語で太陽を太陽を意味するソレイユを組み合わせた造語だという。太陽が出てくるのは、その恵みによる豊かな食材を提供する意味合いがあるようだ。パンフレットには書かれてはいないけれど、足湯「ゆ」を掛けていることは暗黙の了解だろう。この列車の最大の特色は、車内に「足湯」があることだ。題して「足湯新幹線」。16号車が足湯のあるユニークな車両となっている。
・足湯のある「とれいゆつばさ」に続いて登場した新幹線車両の観光列車、第2段は、上越新幹線を走る「現美新幹線」である。11号車は元グリーン車で座席配置はそのままでギャラリーがあるのは12号車、14号車から16号車までの4両だ。いずれも、東京に向かって右側にのみ座席がある。左側はギャラリーになっていて作品を展示しているため窓はない。座席もゆったりとしたソファータイプや窓を背に配置したもの、通常のクロスシートのようになったものなどさまざまである。ギャラリーは、写真や抽象絵画をパネル展示してあったり、立体的なオブジェをガラス張りのギャラリーの中に配置している車両がある。13号車はカフェとなっていたので、ここで休憩することにした。
・釜石線沿線は宮沢賢治ゆかりの地であり、「SL銀河」という愛称は、賢治の「銀河鉄道の夜」に由来する。したがって車内は賢治の生きた大正時代の雰囲気を感じさせるようなレトロなつくりとなっていた。各座席の窓の上部には三日月形のステンドグラスがはめ込まれ、木の枝のようなパーテーションでボックス席が仕切られている。座席のほかには、天体関係や宮沢賢治関係のギャラリー、それに特筆すべきはプラネタリウムであろう。これは車両の一角に小部屋を設け、その天井に夜空を映し出して、「銀河鉄道の夜」をイメージしたミニストーリーを数分間紹介するものである。ナレーションが流れている時に、BGMのように汽笛が鳴り響く。これは列車を牽引しているC58形のもので本物だ。タイミングにもよるけれど、実にうまくできている。プラネタリウムは各地にあるものの、列車内のものは世界初とのことだ。
・福島県のJR磐越西線を走る「走るカフェ「フルーティアふくしま」」に乗車することができた。福島県はフルーツ王国とも言われ、モモ、ナシ、ブドウ、サクランボなどの産地として知られる。それら地元のフルーツを使ったケーキを車内で味わえるのが、このカフェ列車なのだ。
・スイーツ列車の次にご紹介するのは地酒を味わう列車である。家族連れというよりは大人だけで楽しむ列車といえるだろう。この列車も旅行商品の購入なら食事付きなのだが、それは3両編成中の1号車だけで、3号車は座席のみ、駅の窓口で指定券が買えるという。
・「越乃Shu*KURA」と十日町駅でつながり、二つの観光列車を乗り継ぐ旅が可能な相方となる列車が飯山線を走る「おいこっと」である。朝、長野駅を「おいこっと」で出発すれば、十日町でしばらく食事や散策をしたあと「越乃Shu*KURA」に乗り継げるし、上越妙高駅を朝「越乃Shu*KURA」で出発すれば、やはり十日町でしばらく休んだ後、「おいこっと」で飯山や長野へ向かうことができる。どちらのコースも北陸新幹線を組み合わせることによって、首都圏から気楽に訪れることができるのが嬉しい。
・長野県内を走る第三セクターしなの鉄道は、元はJR信越本線の一部区間である。この鉄道の目玉列車が「ろくもん」というレストラン主体の観光列車で、お昼前に軽井沢駅を出て長野駅に向かうのが洋食コース(ろくもん1号)、午後に長野駅から軽井沢駅に戻るのが懐石料理のコース(ろくもん2号)である。「ろくもん」は沿線ゆかりの真田家の紋所である六文銭にちなむ列車名だ。さらに夕方、軽井沢駅から上田駅を経て長野駅まで行く信州プレミアムワインプラン(ろくもん3号)が2017年4月より運行を開始した。この列車の使い方としてはまずは軽井沢で1日レジャーやショッピングを楽しんだ後に、このワイントレインで優雅なひとときを過ごす。その後、上田駅から上田電鉄の電車で別所温泉に向かう。あるいは、その先の戸倉駅まで乗って、戸倉上山田温泉でくつろぐ。いずれにせよ、軽井沢でのリゾート、ワイントレインでの旅、そして温泉で休むという旅のコースが提案できるだろう。
・2017年4月からJR四国の土讃線に「四国まんなか千年ものがたり」という観光列車が走り出した。その名の通り、四国のまんなかあたりに位置する大歩危、小歩危の渓谷や四国の背骨に当たる讃岐山脈を越える車窓を楽しみながら、沿線の素材を使った食事を味わうという盛りだくさんの内容である。多度津駅から琴平、阿波池田を経て大歩危駅までの区間を往復するのだが、上下列車で食事の内容は異なる。
・経営状態が決して良いとは言えないJR四国は、好評の観光列車「伊予灘ものがたり」に続く食をメインとした列車として「四国まんなか千年ものがたり」に期待をかけている。乗ってみて充実した内容に目を見張ったが、同じ思いの人は多かったようで、予想以上に反響があり、満席の日が多いという。
・北陸新幹線の金沢開業後の観光を盛り上げるために、2015年秋より金沢駅と和倉温泉駅間で運転されている観光列車が特急「花嫁のれん」だ。「花嫁のれん」とは、加賀藩の伝統文化で、娘の幸せを願って嫁ぎ先に渡される嫁入り道具のひとつである。花嫁は婚礼当日に嫁ぎ先にかかげられた「花嫁のれん」をくぐって嫁入りをするのである。これにあやかり、乗車する人の幸せを願って「花嫁のれん」と命名されたという。列車は婚礼の式を思わせる豪華絢爛たるインテリアだ。加賀ゆかりの加賀友禅や輪島塗、それに金箔をイメージした華やかな内装になっている。特急「花嫁のれん」のウリは車窓ではなく、車内での飲食にある。列車は週末を中心とした運転日には1日2往復し、それぞれにオプションで飲食セットを申し込むことができる。午前と午後に金沢駅を発車する1号、3号はスイーツセットで生菓子、焼き菓子とソフトドリンクが付く。お昼頃に和倉温泉駅を出る2号は和軽食セット、夕方に和倉温泉駅を発車する4号はほろよいセットが申し込める。
・東京駅発のグランクラス・チケットを所持している者には、ビューゴールドラウンジという特別の待合室を無料で利用できる特典がある。
・2013年3月、伊勢神宮の式年遷宮に合わせて豪華観光特急「しまかぜ」が華々しくデビューした。近鉄特急は、観光のみならずビジネス利用も多いのだが、「しまかぜ」は大阪、京都、名古屋から伊勢志摩への「観光」に特化している。そして豪華さをウリにするため、座席数も少なくし、しまかぜ特別車両料金を特急料金のほかに上乗せしプレミアム感を出している。とはいえ、しまかぜ特別車両料金は最大でも1130円(京都~賢島)であり、運賃、特急料金を合わせても合計で5560円にしかならない。
・伊豆急行の終点伊豆急下田駅まで、JR横浜駅から伊豆半島の東海岸を直通する豪華列車が「THE ROYAL EXPRESS」である。プラチナコースの場合、7号車あるいは8号車の座席でゆったりとくつろぎ、食事の時間になると、5号車もしくは6号車のレストラン席に移動して食事を摂ることになる。クラシカルな落ち着いた雰囲気の車内は、シートのデザインなどいかにも水戸岡鋭治氏らしい柄模様のものだ。テーブルやイスなどに木を多用し、テーブルサイドのライトもシックなものである。レストラン席も似たようなデザインとはいえ、座席車とは異なった造りになっている。ピアノが置かれ、ピアニストに加えてバイオリニストも参加して、生演奏を聴きながら豪華なコース料理を味わうことになる。3号車のマルチカーは、イベントスペースである。パーティや結婚式、展覧会や会議などにも使えるという。どのようなイベントが行われるのかは乗車してのお楽しみだ。そのほか、内部の壁に金箔を貼ったトイレもある。ちょっと凝り過ぎだが、豪華列車ならではの演出であろう。「THE ROYAL EXPRESS」の旅は、決して長距離ではないので、値段も食事付き片道乗車プランなら、ひとり2万5千円からである。
・京都の鞍馬へ向かうルートには、何年か前から「きらら」と呼ばれる観光電車が走っている。一方、八瀬比叡山口駅に向かうルートには、これといって有名な車両はなかったのだが、2018年3月21日より、強烈なインパクトを与える新しい電車が登場した。その名は「ひえい」。グリーンの落ち着いた車体の前面に取ってつけたような「金色の楕円形の輪」を設置、見た人誰もが「ひぇ~」と驚く風貌である。側面の窓もすべて楕円形。叡山電車の公式サイトを見ると、鞍馬や比叡山の「荘厳で神聖な空気感や深淵な歴史、木漏れ日や静寂な空間から感じる大地の気やパワーなど、「神秘的な雰囲気」や「時空を超えたダイナミズム」といったイメージを、「楕円」というモチーフで大胆に表現」したと書いてある。
良かった本まとめ(2018年上半期)
<今日の独り言>
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