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「食をめぐるほんとうの話(阿部尚樹×上原万里子×中沢彰吾)」という本はとてもオススメ!

2016年11月25日 10時00分00秒 | 
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 「食をめぐるほんとうの話」という本は、「本当に食の安全を脅かすものは何か、本当に効能がある食品は何か、本当に食べてはいけないものは何か」といった疑問に真摯に答えた初めての書籍と自負されたもので、具体的には以下について書かれています♪

・炭水化物抜きダイエットの顛末
・食中毒
・食品添加物の実態
・たんぱく質・炭水化物・脂質の三大栄養素とビタミン
・トクホ
・ポリフェノール、イソフラボン、リコペン、セサミン等
・農薬
・遺伝子組み替え(GM)
・放射線
・東京農業大学の学食

 特に、食品添加物が食中毒を防ぐために活躍してその毒性については科学的に毒性試験等が行われていること、健康のためには三大栄養素やビタミンを幅広く摂取する必要があること、イソフラボンやリコペン、セサミン等の科学的効果、農薬や遺伝子組み替え、放射線等の実態について興味深かったですね♪

また、東京農業大学の学食の1つ「すずしろ」は以前行って美味しかった東京の渋谷の「松木家」が経営しているとは驚きました♪

「食をめぐるほんとうの話」という本は、現状の食に関して真摯に真実を追求したもので、健康的な食を考える上で、とても参考になると思います♪

とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・ここ数年、ダイエットには炭水化物を食事から抜くのが一番という説が広まっています。炭水化物は万病の元だから食べないほうがいいという説まで聞かれます。はたして炭水化物悪玉論は本当に正しいのでしょうか?筆者(中沢)は2014年4~7月の4カ月間、断続的に炭水化物をほとんど摂らない生活を試みました。その顛末をご紹介します。ちなみにこのトライアルには切実な理由がありました。会社勤めをしていた40代のころの体重は58kg。その後、主夫として家で家事をしている時間が多くなると、約10年で70kgを超え、その分が腹部に集中したため会社員時代に買ったスーツがすべて着られなくなりました。体を元に戻して服に合わせることにしたのです。まず、食事の回数を1日1~2回に制限。朝は起き抜けに市販の野菜ジュースを1杯。昼はなにも食べずブラックコーヒーや水などで紛らせました。夜は気の済むまでたくさん食べましたが、肉や魚をメインにし、野菜はサラダか、野菜炒め、味噌汁の具などとしてできるだけ多く食す。炭水化物はせいぜいが小麦粉を原料とする餃子の皮程度。すると、2~3日たって体が徐々に慣れてきたせいか、昼間はさほど空腹を感じなくなりました。体重は見に見えて減っていき、毎日、体重計に乗るのが楽しくなり、その喜びがさらに我慢を後押ししました。ところが、2週間もたつと体に変調が表れます。一般に暴飲暴食して内蔵が弱ったよき、唇の両端がただれて痛むことがあります。その症状がひどく出て口を開けられなくなり、さらに口内炎もできて、ものが食べにくくなりました。これはとても意外でした。「1日に必要な野菜の栄養が摂れる」とうたっているジュースを毎日飲んでいましたし、夕食にトマトやキャベツ、人参、ダイコン、シシトウ、ホウレンソウなどを輪番で食べ、ワカメやコンブも食べていたので、必要な栄養は摂れていると思っていたからです。意外なことがもうひとつ。夕食でたっぷり食べても飢餓感がなくなることはありませんでした。肉や野菜は見るのもいやなのに、白いご飯やうどんが無性に食べたくて、それはのどの渇きにも似た切実な渇望で、テレビでおいしそうな丼ものの映像など見てしまうと、もう我慢できません。深夜営業している牛丼屋に走ったものの、外の風にあたると気分が変わり思い直して途中で引き返すという、無駄なことを何度か繰り返しました。そうこうするうちに体調はどんどん悪化。朝、ベッドを出る際は、必ず立ちくらみを起こし、時折何かの拍子に動悸を感じることも。大便の回数は2日に1回から、出ない時は1週間に1回になり、ひどい便秘に苦しむことに。体重は2カ月程度で目標を達成しましたが、体調はますます悪くなり、じっとしているのに疲労感、倦怠感、脱力感が増し、ついにはモノを摂るために腕を上げることすらおっくうになってしまいました。手先がしびれたり震えたりしてキーボードを打てず、仕事ができなくなったため、このダイエットは中止せざるを得なくなった-。炭水化物は悪玉のはずなのに、どうしてこんな惨状になってしまったのでしょうか。

・食品添加物はどのような基準に照らし合わせて使用が認められるのか?指定される条件として以下のような要件があります。
①安全性が実証または確認されていること
②使用することで消費者に利益が与えられること
 ・食品の製造・加工において必要不可欠であること
 ・食品の栄養価を維持させること
 ・微生物による腐敗や酸化による変質など科学的な変化を防ぐこと
 ・食品の見た目を美しくすることなどで嗜好性を高めること
 ・その他、消費者に利点を与えること
③すでに食品添加物として指定されているものと比較して同等以上の効果を示すか、あるいは、まったく異なる効果を与えること
④原則として科学的な分析法などにより、添加されている用量などを確認することができること

・本来、三大栄養素と主要なビタミンは、その化学的組成からヒトの体内での変化、各器官への作用など、全容がほぼ明らかになっています。ヒトが健康を維持するために必要な量も解明済みです。毎日一定量の摂取が必要ですが、科学の成果に基づいて策定された標準的な食生活をしていれば問題はありません。三大栄養素と主要なビタミン・ミネラルの作用の仕組みや必要摂取量を知り、心身のバランスを維持することこそが、健康の基礎なのです。炭水化物をまったく摂取しないダイエットは、病気の原因になり得ます。脂質も同様です。肉類だけ、海藻だけ、野菜だけといった極端な偏食も、体調不良を引き起こします。無理なダイエットでビタミンが不足し、未病、疾患に至る人がいる一方、逆にサプリメント(栄養補助食品)などによる特定のビタミンの過剰摂取で体調を崩す人もいます。

・ヒトの体を構成するタンパク質を作るのに必要なアミノ酸は約20種類。そのうち体内で合成することができないアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼び、食物から必要量を摂取しなければなりません。タンパク質を多く含む食品であっても、必須アミノ酸が少ないものは栄養価が十分とはいえません。一般に動物性タンパク質のほうが、植物性タンパク質よりも栄養価としてはすぐれています。人間が一日に摂取したほうが良いタンパク質の量は、ざっくりいって男性が60g、女性が50g程度とされていますが、では、タンパク質の摂取にはどんな食品が効率的なのでしょうか。アミノ酸スコアという比較データがあります。WHO/FAO/UNUが決めた理想的なアミノ酸パターンを100とした場合の数値で、牛乳や肉類、魚類はいずれも100、大豆も100ですが、エビやアサリは約80、精白米は約60、小麦粉は約40。ご飯などの主食だけではタンパク質の摂取量は不十分ということになります。また、ヒトが病気になると、多くの場合、体内のタンパク質の分解が増加するため、必要量が増えます。肝炎や肝硬変では通常の1.5倍、がんの場合も体全体のタンパク質の分解が増加するので、タンパク質の摂取量を増やしたほうがいいのです。一方、腎炎などの腎臓疾患に限っては、タンパク質の摂取が腎臓の負担を増加させるため、減らす必要があります。なお、糖質や脂質が不足した場合、タンパク質にはさまざまに形を変えて利用されるという性質があります。小型の糖であるグルコースに変わり脳や赤血球に、また、脂質の代わりにケトン体となってエネルギーを供給します。

・炭水化物は、構成する分子の数によって単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。このうちもっとも小さな単位が単糖類で、エネルギーは単糖類が代謝されることによって産出されます。同じ炭水化物でも、ヒトの体内で消化吸収されにくい食物繊維はエネルギーになりにくい物質です。また、「糖」質と呼ばれてはいますが、その多くは甘みを感じません。確かにサトウキビの茎などに含まれるショ糖(スクロース)は甘く、砂糖の主成分となりますが、糖質は甘くても甘くなくても重量あたりのエネルギー量はほとんど変わらず、100gあたりの炭水化物含有量は砂糖100%に対し、米は約80%です。ヒトにとってもっとも重要な糖質は、米や麦に含まれるデンプンで、デンプンは唾液や膵液に含まれるα-アミラーゼによりマルトースなどの少糖類に分解されます。少糖類は小腸でさらに分解されグルコースなどの単糖類になり、小腸の吸収細胞で吸収され肝臓に運ばれます。グルコースは体内の様々な組織に素早くエネルギーを供給できるように血液中に血糖として流れていきます。ヒトは食物中の糖質のうち98%を吸収し、大部分は多糖類であるグリコーゲンとして肝臓や骨格筋に貯蔵します。エネルギーが必要になると、グリコーゲンがグルコースに分解され、さに酸化・分解されてエネルギーを発生させるのです。ヒトの脳は重量にして全身の2%に過ぎませんが、エネルギーは全体の20%を消費します。ところが脳にはグリコーゲンとしてまったく貯蔵されていないため、血糖値が下がり過ぎるとヒトは意識を失ってしまいます。物騒な話ですが、首を絞められたヒトが、心臓や肺が機能していても意識を失ってしまうのは、脳にエネルギーが供給されなくなるためで、血流が回復すれば再び意識は戻ります。糖質の摂取量が足りない場合、体のタンパク質や脂肪組織が分解されてエネルギーとして利用されます。逆に糖質を摂り過ぎると、余分なものは脂質に変換され体脂肪となるのですが、その変化の過程は複雑です。デンプンが腸でグルコースとなり肝臓に運ばれピルビン酸に、ピルビン酸はアセチルCoA、さらに二酸化炭素と反応してマロニルCoAという物質になり、これらから脂肪酸が合成されます。こうしたメカニズムは、食糧不足でもすぐに餓死しないように獲得した遺伝体質とみられ、「倹約遺伝子」などと呼ばれますが、飽食の時代の今日では脂肪の過剰蓄積をもたらしています。

・食物繊維は栄養源にはなりにくいのですが、健康を維持する上で大切な効果があります。唾液と混ざると体積が十数倍になり、胃に到達して胃液と混ざっても膨潤。小さじ一杯の食物繊維が胃の中ではコップ一杯分にもなり、これによって満腹感が得られれば、肥満やメタボリックシンドローム(メタボ)を防げます。ただし、食物繊維には水溶性のものと水に溶けないものと2種類あり、両方がそろっていないとこの効果は小さいとされています。小腸に達した食物繊維は、グルコースをからめとってグルコースの吸収を阻害するため、血糖値の急上昇を避けられます。本来、その役目を担うのはインスリンで、肝臓や脂肪細胞にグルコースを取り込ませて血糖値を下げるのですが、その取り込み機構が壊れると血糖値を下げられず、インスリンの過剰分泌が起こり、糖尿病の発症につながります。つまり食物繊維をたくせん摂取すると、インスリンの過剰分泌を抑え糖尿病にかかりにくくなります。食物繊維にはコレステロールの排泄を促す機能もあり、動脈硬化や高血圧を予防します。また、大腸内では腸内細菌によって弱い発ガン性を持った物質が生成されますが、食物繊維はこれを早めに体外へ排泄する効果があります。とにかく食物繊維は膨らみながら各所で有害物質を取り込んで、さらに一緒に便として体から排出してしまう性質があります。

・ヒトの腸内には100兆個あまりの細胞が住んでいます。これは、体の全細胞より多い数です。この莫大な量の腸内細菌があるために、病原菌は容易には繁殖できません。ただし、腸内細菌には善玉と悪玉があり、何らかの原因によって悪玉菌が多くなると発がん物質が生成されオナラの臭さが増しアレルギーを引き起こすとみられています。ビフィズス菌や乳酸菌は善玉菌で食物繊維をよく食べ、乳酸や酢酸などの酸を生成します。悪玉菌は酸性に弱く、ビフィズス菌や乳酸菌は酸性に強いので、食物繊維をたくさん摂取すると悪玉菌を減らせます。ヨーグルトなどのビフィズス菌や乳酸菌は、胃酸で死んでしまうから無意味だと主張する人もいますが、それらの菌が食物繊維の間にあれば、胃酸から保護されて生きたまま大腸に達します。到達する菌が一個だけだとしても、活発に細胞分裂して一日もたたずに1億個に増えて有効にはたらきます。

・日本で食物繊維の重要性が叫ばれるようになったのは、食生活の欧米化が背景にあります。肉を多く食べるようになり、穀物や野菜の摂取量が少なくなりました。食物繊維の多くは植物から摂るので摂取量が減ってしまい、これが糖尿病やがん発症の増加原因のひとつとみられています。食物繊維が適正に摂取できているかどうかは便でわかります。尋常ではない嫌な臭いがする場合は論外ですが、便が水に沈むかどうかをチェックし、完全に浮きも沈みもしない状態なら適正です。なお、ゴマはすりつぶして食べなければダメといわれる理由は、果皮が食物繊維でできているため、そのまま食べるとヒトの消化器官のどこでも分解されず体内を素通りしてしまうからです。ゴマをそのままふりかけるより、すりゴマを提供している店のほうが健康効果を期待できます。

・脂質はメタボのイメージに直結し、摂り過ぎは禁物とされています。確かに、脂質は糖質やタンパク質に比べて、単位量あたり2倍以上のエネルギーを含んでいます。摂取した場合に熱として消費される割合は、糖質が6%、タンパク質が30%に対し、脂質は4%に過ぎません。そのため脂質の摂取が最も太りやすいことになります。また、水になじまない性質なので、消化に最も時間がかかります。肉類を大量に食べると胃にもたれる感じがするのは、そのためです。脂質、特にコレステロールは細胞膜や神経組織の構成成分であり、血液や脳、神経などの細胞形成に必要不可欠です。また、体内のホルモンのはたらきを正常に保つ役割を担っています。栄養学者は「健康を保つ上で脂質ほど重要なものはない」とさえ言い切ります。それは人間の体の全細胞をかたり作り、正常に機能させるために脂質が欠かせないからです。単純な脂質排斥論は、危険な極論に過ぎないことがわかります。

・脂質は体をかたち作る重要な成分ですが、必要な必須脂肪酸は体内で作ることはできず、食物から摂取するしかありません。この点でも極端な脂質制限は危険です。脂質には動物の脂、植物の油、魚の油の3種類があり一般液に4対5対1の割合で摂取するのが理想とされています。

・脂質で問題になるコレステロールは、細胞膜、胆汁酸、アレルギー治療などに使われる副腎皮質ホルモン、および精巣、卵巣での性ホルモンの材料となります。血液中のコレステロールが増え過ぎると動脈硬化のリスクが上がります。コレステロールを運んでいるLDLが活性酸素により酸化されると、異物除去の役割を持つマクロファージに異物と認識されて食べられてしまい、ともに血管の外側で泡状になり硬化します。それが内側に押し出されて動脈を圧迫するのが動脈硬化で、心疾患など重大な病気の原因になります。ひとくちにコレステロールといっても役割によって善玉と悪玉とがあり、動脈硬化を引き起こすのは悪玉のほうです。コレステロールはある種のタンパク質(LDL)とのセットで、肝臓で作られ、末端の組織へ運ばれます。一方、HDLとのセットは、末端の組織で余ったコレステロールを肝臓へ運びます。つまり、HDLが体の各部で余ったコレステロールを除去するから「善玉」なのに対し、LDLはコレステロールを血中を通って各組織にどんどん供給するのは生体にとって必要なことですが、血中であまってしまって参加するため「悪玉」なのです。一般に動物性脂肪は血中コレステロール濃度を高め、植物性脂肪は血中コレステロール濃度を下げる働きがあります。

・脂質のうち、体に悪いことが確認されているのがトランス脂肪酸です。マーガリンなどを作る際、液状の脂肪酸を固形化するために水素を添加します。その過程で発生するのがトランス脂肪酸で、自然界にも存在しますが、その量はごくわずかです。ヒトの体内で悪玉コレステロールを増加させて病気のリスクを高め、虚血性心疾患(あるいは心臓病)の原因といわれています。さらに、細胞を覆う生体膜になるほかの脂質の動きを邪魔して、全身の細胞の機能を阻害するとされています。スウェーデンやスイスでは、食品中のトランス脂肪酸の含有量が規制されていて、米国では2015年6月、FDAが、トランス脂肪酸の食品添加の全面禁止を発表、「食品から排除すべき有害物質」と明確に規定しました。日本ではトランス脂肪酸の規制はなく、食品パッケージにトランス脂肪酸の表示義務すらありません。食文化の違いから、摂取量は欧米人の半分以下だから大丈夫と政府は主張しています。しかし、日頃からフライドポテトやスナック、菓子パン、コーヒーフレッシュ、マヨネーズなどをよく食べる人は欧米人並みに摂取している可能性があります。注意が必要かもしれません。

・ビタミンは人体をかたち作るものではありませんが、健康を維持するために必要不可欠な成分です。三大栄養素が体内で効果的に機能しエネルギーを生み出すためには、そこに働きかける酵素が必要となりますが、ビタミンはその酵素の活動を助ける役割を担っています。必要な量はごく少ないので、三大栄養素が多量栄養素と呼ばれるのに対し、ビタミンは微量栄養素と呼ばれます。

・ビタミンが必要量より足りなければ確実に病気になりますが、注意しなければならないのは、欠乏したからといって急に症状が出るわけではないことです。まず体の臓器や筋肉など組織レベルのビタミンが不足し、次いで血液や細胞レベルのビタミンが不足します。最初は何の症状もなく、潜在性欠乏症と呼ばれる状態。それが進行すると倦怠感やめまい、頭痛などの不定愁訴(疾病までには至らない不調)が出現しますが、医師に診てもらっても原因がわからないケースがほとんどで、このあたりは臨床的欠乏症といわれる段階。その先は症状がひどくなり、放置していると最終的には死に至ります。

・ビタミンには、脂溶性(A、D、E、K)と水溶性(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、C)とがあります。脂溶性ビタミンは、肝臓などにある程度蓄えられますが、摂り過ぎると水に溶けにくいため、尿に混じっての排泄はされず、胆汁と一緒に腸内に排出されます。すると再び腸が吸収してしまうため、体内にたまりやすく過剰症が起こりやすいとされています。一方、水溶性ビタミンは、血液中の濃度が高くなっても腎臓から尿と一緒に排泄されます。そのため、これを単純に解釈して「多量に摂取しても害はない」とされてきましたが、近年ではやはり過剰に摂取すると体に悪影響があることがわかってきました。

・和食で大豆を多く食している日本人は、もともとイソフラボンが欠乏している可能性は低いとみられています。食品安全委員会の基準では一日あたりの必要摂取量は75mg。300gの豆腐一丁に含まれる量は80mgもありますから、体が特に変調をきたしていなければ、基本的に豆腐一丁で十分です。日本でも1990~99年に40~59歳の女性約2万人に食生活について追跡調査したところ、イソフラボンの摂取量が多いほど、乳ガンの発症率が低く、特に閉経後でエストロゲンが不足する女性の場合に顕著であるという結果になりました。循環器疾患、更年期障害、骨粗鬆症に対しても同様に効果があるとされています。

・実はイソフラボンの多様な機能の多くは、イソフラボン本体ではなく、その代謝によって生じる物質が担っています。そのひとつが1932年に妊娠した馬の尿から検出されたイソフラボン代謝産物の一種エクオールです。エクオールを体内で産生する体質の人は疾病にかかりにくく、エクオールは疾病にかかりやすいかどうかのバイオマーカーになるとされています。骨粗鬆症の場合。症状が出たマウスの皮下にエクオールの投与を4週間行ったところ、骨量の減少の抑制が確認されました。子宮重量などに変化はなく、これは生殖器官に副作用がなかったことを示しています。また、骨量の減少が顕著にみられる閉経後の女性が、大豆イソフラボンを通常の食事で摂取する量より多めに1年間毎日食べたところ、エクオールを体内に持っている場合は骨量の減少率が著しく低くなりました。エクオール産生は、腸内環境=腸内にどんな種類の細菌がいるかによって決まります。牛や羊、ヤギ、鶏、ラット。マウスなど、多くの動物が産生能力を持っていますが、ヒトの場合、日本人では半数、欧米人の場合は20~30%しか持っていません。エクオールを産生可能な人に限ると、乳がん、前立腺がんの罹患率低減、更年期障害の軽減、骨量減少の抑制作用が強いことが統計的にも確認されています。今では、排卵誘発剤や乳がん治療薬として使われているほか、骨粗鬆症や心臓血管の疾患に対して副作用のないサプリメントとしての効能が期待されています。

・エクオール産生に関わる腸内環境の改善には、フラクトオリゴ糖が役立つとされています。主にタマネギやゴボウなどの野菜に含まれる糖で、グラムあたりのカロリーは、砂糖の約半分の2kカロリー。多くの善玉菌にとってバランスの良い栄養源となっていることから、これをイソフラボンとともにラットに投与したところ、24時間後のエクオール濃度がフラクトオリゴ糖を投与しなかったラットに比べ倍になりました。

・強い抗酸化活性が知られるアスタキサンチンとは、ロブスターから見つかった赤色色素で、マダイ、サケ、マスなど身が赤い海の魚や、エビ、カニなどの甲殻類の色素として存在しており、多岐にわたる生理作用を持つ色素の総称であるカロテノイドの仲間です。アスタキサンチンはタンパク質と結合すると青緑色になるため、エビのブラックタイガーは黒っぽい色をしています。ところが、茹でるとタンパク質が熱変性して結合が切れ、鮮やかな赤色が現れます。それがアスタキサンチンです。アスタキサンチンの抗酸化活性の強さは、ビタミンEの100~1000倍といわれています。また、培養細胞を用いた試験では「がん細胞の増殖抑制」「炎症反応抑制」、実験動物を用いた試験では「発がん抑制」「固形がん成長抑制」「胃粘膜障害抑制」「糖尿病抑制」、さらにヒトを対象とした臨床試験で「皮膚の色素沈着防止による美白効果」「視機能改善効果」なども報告されています。多くの機能性が期待されるアスタキサンチンですが、さらにもうひとつ、ユニークな活性として「疲労改善効果」があります。

・カトチノイドの一種であるリコペンは、リコピンとも呼ばれ、食品因子として最も注目されている食品成分です。他のカロテノイドと比べシンプルな化学構造のため、生体膜中で自由に有効にはたらき高い抗酸化活性能を付与しています。含まれている食品は、トマト、スイカ、カキ、パパイヤ、金時人参、ピンクグレープフルーツ、マンゴー、杏子などに限られ、100gあたりの含有量は多い順にトマト、金時人参、スイカです。たばこなどに含まれる強力な発がん物質をラットに投与する試験で、リコペンは大腸がんの発がんに抑制傾向を示したという報告があります。リコペンの発がん抑制の作用の仕組みは、やはりその強い抗酸化作用による活性酸素の消去とされています。リコペンは美白作用も知られています。

・βカロテンは代表的なカロテノイドで、人参の黄色色素として多くの方が耳にしたことのある食品成分だと思います。ニンジンのほかにもめろん、グアバ、ケール、ビワ、赤ピーマン、ピーマン、カボチャ、ほうれん草など、多くの野菜や果物に含まれています。β-カロテンには、リコペン同様の作用機構により、発がん抑制や動脈硬化の抑制といった効果が知られているほか、抗アレルギー作用も報告されています。

・アントシアニンはフラボノイドという代表的なポリフェノールの一種で、pHの変化や金属とのキレート錯体を作ることなどにより赤、紫、青色など、さまざまな色調を示す植物色素として知られています。ブルーベリー、ストロベリー、ラズベリーなどのベリー系フルーツやナス、紫イモ、黒大豆、赤シソ、ブドウ、サクランボなどにも含まれています。アントシアニンも強い抗酸化活性を持っています。そのため、期待される機能性としては、抗動脈硬化作用に基づく老化防止作用、循環器系疾患の予防効果、抗潰瘍効果、抗炎症作用、抗がん作用などがあげられます。とりわけ最も注目されているものに、眼精疲労回復作用があります。ただここで注意しなければいけないのは、アントシアニンを摂取したからといって視力が良くなるとか、どんな目の病気にも効果があるというわけではないということです。

・クルクミンはアキウコンの根茎に含まれる黄色色素ですが、ウコンから作られる香辛料のターメリックの色素(カレー粉の素)といった方が読者のみなさんにはなじみ深いかもしれません。ウコンは古来、漢方薬の止血剤や健胃剤として使われてきました。ウコンの効果はそのほかにも、抗菌活性や抗炎症活性などが広く知られていて、機能性食品として特に期待の高い成分を含んでいます。クルクミンについて、現時点で科学的にわかっている主な生理活性としては、試験管内試験でのラジカル消去活性や脂質過酸化抑制活性、強い抗酸化活性による皮膚での酸化ストレス抑制作用があります。また、培養細胞を用いた試験でのがん細胞増殖抑制作用並びにアポトーシス誘導作用、マクロファージなどに対する免疫修飾作用、さらに動物試験におけるさまざまな臓器での発がん予防効果なども報告されています。

・ポリメトキシフラボノイドは、柑橘類に含まれるカンキツフラボノイドと呼ばれる共通の構造を持つ化合物群のひとつで、ノビレチンという物質が最も高濃度で含有されています。夏みかん、バレンシアオレンジ、温州みかんなどにも含まれていますが、シークワーサー、ポンカンなおのマンダリン類に特に高濃度で含まれています。果肉にはほとんど含まれていないため、市販の果汁飲料からの摂取は期待できませんが、シークワーサー・ジュースのように皮も一緒に圧搾する製法の果汁からは比較的高濃度に摂取できます。ノビチレンの生理活性としては、化学発がんモデルでノビレチンを塗布したら腫瘍発生抑制作用が認められたほか、作用の仕組みを検討する試験においても酸化ストレスの緩和など発がん抑制につながる試験結果が得られました。ほかにも血糖値の上昇抑制、慢性リウマチの予防効果なども報告されています。最近特に注目が集まっているのはノビレチンの抗認知症効果です。

・カプサイシンは、唐辛子の辛味成分として知られる食品因子です。これは、バニリルアミンというシンプルな化合物が炭素数10個の脂肪酸とアミド結合という形でつながった化合物ですが、唐辛子には、カプサイシンと脂肪酸部分のみ構造が異なる類縁体と呼ばれる化合物も複数含まれており、これは、総称としてカプサイシン類と呼ばれています。このうち、含有量が最も多く辛味強度が最も強いのがカプサイシンで、唐辛子がヒトの粘膜を刺激するのは、このカプサイシンに昇華性があり常温でも気化するからです。生理作用としては、体熱産生、神経興奮、減塩、抗酸化、抗菌、発汗などが知られています。最近では、免疫関連の生理活性として抗炎症、肥満誘発性炎症応答抑制、がん細胞増殖抑制などが明らかとなりました。これらの生理作用は、カプサイシンが、脂肪細胞、マクロファージ、ヘルパーT細胞などの細胞において炎症性サイトカインの産生を制御するためと考えられています。サイトカインとは免疫担当細胞から分泌され、局所および全身の炎症反応を制御する物質で、炎症性サイトカインと抗炎症性サトカインのバランスが崩れると炎症が持続し、自己免疫疾患などの症状を引き起こすため、カプサイシンの制御が効くのです。ただし、カプサイシンを高濃度で強制的に投与した場合には、免疫抑制につながる一方神経障害を起こすことがあります。

・ゴマは高品質な食用油脂の供給源になりますが、酸化されやすい不飽和脂肪酸を多く含むにも関わらず、高い品質が長く保持されることから、セサミンなどの成分は抗酸化活性を持つとみられていました。最近になってゴマリグナンは予想通り強い抗酸化活性を持っていることがわかり、老化防止やがん予防などの効果が期待されています。また、ゴマリグナンが生体内で代謝産生するものの中に、エンテロラクトンなどの植物エストロゲン効果を持つ化合物を見いだされ、骨粗鬆症などの更年期障害の改善や乳がん抑制作用も期待されています。さらにコレステロール吸収阻害効果、抗高血圧作用なども報告されています。もうひとつ、ゴマリグナンが最も注目されている生体機能の一つに、肝機能改善効果があります。ほとんどのポリフェノールは腸から吸収された後、肝臓に到達する前に抗酸化活性を一部消費してしまいます。それは、抗酸化活性を示す成分が消化・吸収の途中で活性酸素を消去するために使われるといったことで酸化されるからです。それに対して、セサミンはそのままでは試験管内でほとんど抗酸化作用を示しませんが、その特殊な化学構造で酸化されることなく肝臓まで運ばれ、肝臓で代謝を受け取るや、初めてきわめて強い抗酸化活性体となります。生体内の活性酸素の約80%は肝臓で産生されますから、肝臓で効果的に活性酸素を除去できるセサミンは、きわめて有効な抗酸化食品因子なのです。またアルコール代謝促進という意味でも肝機能の改善に役立ちます。

・農薬は百害あって一利なしなのでしょうか。農業の原点から考え直してみましょう。農薬や化学肥料を使わない農業に「自然農法」という言葉を使うことがあります。ですが、この言葉の使い方がそもそもおかしいのです。人間がある土地を「畑」にする、つまりもともと自然に生えていた草木をすべて撤去し、単一の作物だけを植えたら、それはもはや自然の状態ではありません。1種類の植物しかない畑には、その植物を好んで食べる動物が殺到し大繁殖します。自然のままの雑木林なら多様な植物と動物が競合していますから、1種類の害虫が大繁殖できる条件はありません。畑で育てる作物自体、野生のものとは異なります。野生のサクランボは実がたくさんついて華やかですが、鳥も小鳥も虫もほとんど食べません。すっぱいだけで甘みに乏しいからです。本来、自然の植物は自分を動物から守るために、酸っぱみ、えぐみ、苦み、毒素まで持っています。病害虫に強いと家庭菜園で唐辛子が人気なのは、害虫が辛味を嫌うから。甘く美味しく改良された農作物は害虫や鳥に対してきわめて脆弱です。また、きれいに整地された畑には、何種類もの雑草が短期間にどんどん伸びます。人間の目には畑が雑草に侵略されたように見えますが、事実はその逆で、人間に土地を侵略された自然が、ありのままの状態に戻ろうとしているのです。農薬をまったく使わなかったら、畑はどんな有様になるのでしょうか。1960年代の関東地方。夏に枝豆が育つと蛾の幼虫が大繁殖し、さやの中に仕込まれた卵が幼虫になって豆を食い荒らしました。枝豆をゆでると、半分以上のさやに長さ5mmほどの白い幼虫がいまsた。このころ農家では暑い夜は窓を全開にし、羽根虫が入ってこないよう電灯を消して食事をしていましたから、虫も豆も区別せずに食べていました。冗談抜きで、そのころの農村のタンパク源は枝豆より幼虫でした。丹精込めて育てたイチゴ畑では、実が赤くなってきたと思ったら昆虫やナメクジが大発生し一夜にして全滅です。美味しそうに色づいた実が、くりぬかれようにモソモソ食べられていましたが、対抗しようにも手段がありませんでした。

・1971年、農薬取締法が改正され、人体および環境への毒性試験が義務付けられるようになると、毒性が低く体内への残留も少ない第二世代農薬に替わりました。さらに最近の第三世代では、天敵や微生物を使った毒性のない生物農薬の開発が進められています。ハチなどの昆虫やダニ類が農薬として登録され、ホームセンターで市販されているほか、古来伝わる、石灰、米ぬか、尿素、塩、ミネラル、納豆菌などの菌類、蒸気消毒、昆虫が嫌う光など、多様な研究が行われています。

・厚生労働省では家庭の日常的な献立にあわせて市場から食品を買い集めて実施する「食品中の残量農薬等の一日接種量調査」を毎年実施しています。その基準となるのが添加物と同様、ADIで、「一生涯にわたって毎日食べ続けても体に害のない体重1kgあたりの農薬量」。計算法は、マウスなど数種類の実験動物に一定期間毎日、農薬を餌に混ぜて食べさせ、さらにその子孫2世代以上にも与え、生育状況や生殖機能をチェックしています。この調査では、過去20年間、問題は報告されていません。2014年の調査では、際立って多かったものでもADIの5%で、大多数はADIの0.5%以下でした。

・厚労省は2006年5月から残留農薬について、それまでのネガティブリスト方式からポジティブリスト方式に変えています。ネガティブリストは原則、規制がなく、規制するものだけを表示するため、リストに載っていない農薬はいくら残留していても規制対象になりませんでした。しかし、ポジティブリストはいったんすべてを禁止し、残留してもよい農薬だけをリストアップします。残留基準は国内や欧米のそれまでの基準を参考にし、基準が見あたらないものには0.01ppmという一律基準を設けました。これは農薬の付着した手で野菜にちょっと触れただけで基準を超えてしまうごく微量の数字です。一方、日本では使用が禁止されていますが、米国などの諸外国から輸入される植物には、生育段階で使用された農薬とは別にポストハーベスト、つまり収穫された後、かびなどによる品質劣化を防ぐために使用される農薬もあり、これについても基本的にADIが設定されています。水洗いでは半分ほどしか落ちませんが、柑橘類などは皮をむくと残留ゼロになります。従ってレモンの皮を擦って料理にかける場合は注意が必要ですが、グレープフルーツの中身を食べる場合は心配する必要はありません。

・2011年の農林水産省補助事業報告書によれば、農薬をまったく使用していない有機栽培農産物の生産量は主に小規模農家で全農産物の0.35%でした。無農薬の環境保全型農業を全体の3割程度の農家が目指していますが、難しいのが実状です。99.65%の国産作物に農薬が使われていますが、健康被害は報告されていません。

・日本は単位面積あたりの農薬使用量は米国の約6倍で、作物の本数あたりの使用量も米国の2倍-、米国が日本より農薬使用量が少ない理由のひとつが、GM(遺伝子組み換え)作物の割合が高いこと。GM作物の中にはそれ自体が害虫や病気に耐性を持っているものがあり、農薬をあまり必要としないからです。一方、日本では多くの農家がGM種との交雑を嫌って、試験用以外には生産されていないため、米国に比べて農薬使用量が多いのです。GM作物は米国などから日本に大量輸入されていますが、新聞などで安全性を危惧する報道も多く、日本人の6割以上が不安視しているそうです。

・この分野で最もメジャーな企業は米国の化学メーカー「モンサント」
です。モンサント社は変圧器の絶縁冷却油として使われたPCBを大量生産し、北米大陸の生態系に悪影響を及ぼしたと非難されました。ベトナム戦争では猛毒のダイオキシンを含んだ枯れ葉剤を製造し、胎児異常など深刻な被害をもたらしました。モンサント社が農業分野に進出したのは、意外と遅く1990年代です。日本では80年代から種苗開発がブームになっていましたから、モンサント社の開発力は他を圧倒していたのでしょう。分子生物学を応用し遺伝子を改造した種子で知的所有権を得ました。農家はモンサント社の種を買うと、それで成長した作物そのものからは種をとることができないため、モンサント社が生産する種子は毎年必ず売れるという仕組みです。最も有名なのが強力な除草剤である「ラウンドアッップ」(一網打尽という意味)と、それに耐性を持つように遺伝子組み換えをした大豆の種子「ラウンドアップ・レディ」のセットです。モンサント社のスローガンは「食物・健康・希望」。遺伝子組み換えによって今後15年間で大豆、綿、トウモロコシなどの収量を倍に増やす一方、水や肥料の使用量は3分の1にし、世界の爆発的な人口増加に対応できる唯一の企業と自称しています。

・GMとはどんな技術なのかー簡単にいえば、Aという生物のDNAの遺伝子を、別のBという生物のDNAに組み込むことによって、BにAの機能を持たせることです。たとえば、寒い土地で育つ植物のDNA遺伝子を、本来、寒さに適さないイネや小麦のDNAに移植すると、寒い土地でも育つイネや小麦になります。現在までに特に成功したGMの性質は除草剤耐性。強い除草剤をまいても枯れない植物のDNAを大豆やトウモロコシに移植、除草剤をまくと雑草だけが枯れるようにしたというものです。さらに現在、研究が進められているのが、かんばつ耐性GM。地球温暖化によって気候変動が極端になり、大雨が降る地域がある一方、ひどいかんばつに見舞われる地域も増えています。かんばつは農作物の生育に致命的な影響を与えますから、雨が降らなくても平気なかんばつ耐性GMが完成すれば世界中で需要が見込めるというわけです。

・現在、GM農作物の安全性評価は、日本や欧米諸国でそれぞれ独自の行われていて、主な評価項目は以下の通りです。
 ・生殖・繁殖特性に影響はないか
 ・毒物を生成しないか、導入された遺伝子のタンパク質に毒性はないか
 ・導入された遺伝子は安定しているか
 ・周辺の他の生物の成育に影響を及ぼさないか
 ・新たな遺伝子がアレルギーを誘発しないか
 ・基になった植物と比べて栄養素に変化はあるか
こうしたチェックを経た上で、GMで作られた種子は各国政府に認められ、量産されていますが、安全性判断の基準は未だ各国ばらばらのまま。安全性の評価が、国によってまるで異なるからです。欧州では「GMを排除すべし」という声が相変わらず多いのですが、米国ではたとえば2014年11月4日、オレゴン州で行われた住民投票で、食品の原料がGM作物かどうかの表示を廃止することが決まっています。食品安全上、もはや意味がなと考えている人が過半数を占め、同様の動きは全米に広がりつつあります。

・今、日本では驚くほど大量のGM作物が輸入、消費され、ナタネや大豆は消費量の9割です。サプリメントや添加物、香料、酵素の原料の製造にもGM技術が多く使われています。法律で分別生産流通管理が適切に行われていれば意図せざる混入があっても「遺伝子組み換えでない」と表示できるので、事実上、日本人の全員が摂取しているでしょう。

・はたしてGM作物の遺伝子は私たちの体内に本当に残らないのか?大豆やナタネから作られた食用油の場合、そもそも遺伝子どころか、タンパク質も製造過程で取り除かれますから、食用油の場合「遺伝子組み換え」も表示義務はありません。醤油の場合もタンパク質が製品に含まれないことに加え、仮に残っていたとしても調理で熱処理されれば変性し胃でも消化されますから、人間の遺伝子に影響を与えることは少ないとされています。以下は農水省の安全性評価で適合と確認されたGM農作物です。
 ・害虫抵抗性-トウモロコシ、ダイズ、ワタ、ジャガイモ
 ・病気に強い-イネ
 ・除草剤耐性-トウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイ
 ・ウイルス抵抗性-ジャガイモ、パパイヤ
 ・色の変化-カーネーション、バラ
これらが日本で生産されれば、それぞれ生産性が高まるといったメリットがあるのでしょうが、農家の反発が強いとして実際には生産されていません。ちなみに現在のGM対策は農水省と厚労省との分業体制です。

・日本で生産されるほとんどのジャガイモには放射線が照射されています。ジャガイモの芽はソラニンやチャコニンという毒物を含み、食べれば腹痛や下痢などの健康被害が生じるため、放射線照射で発芽を抑えているのです。海外では放射線の殺菌作用が注目され用途が増えています。加熱は食品内部の殺菌に時間がかかりますが、放射線なら一瞬で処理できるからです。放射線処理は乾燥・加熱・冷凍といった食品処理と同様なものと考えられ、50以上の国々でニンニク、小麦、果実、冷凍魚、冷凍エビなどに幅広く行われています(日本でジャガイモ以外に放射線照射が行われていないのは、歴史的な国民感情への配慮があるからとされている)。

・厚生労働省では原発事故の半年後から、福島や東京を中心に北海道から長崎まで全国15の地域で、食品中の放射性セシウムから受ける年間放射線量を計算しました。スーパーなどで実際に売られている商品を購入し一版家庭と同じように調理するというもので、対象となった食品は200種類。その結果、2013年9・10月では最も高かった福島県浜通りで年間放射線量は0.0027ミリシーベルト、平均値は0.0015ミリシーベルト程度で、現在の基準の1ミシーベルトの1%にも達しませんでした。主食である米について、農林水産省では2015年も、米に含まれる放射性セシウムが100ベクレル(基準値)を超過した地域では作付制限を行い、50ベクレルを超える場合は事前出荷制限区域とし、「全量全袋検査」が義務付けられました。なお福島県では、国が一部抽出検査で良しとしている地域の米でも全袋検査を実施しています。福島県の2014年産米について、計測した1075万袋に関してはいずれも基準値以下でした(2012年は71袋、13年は28袋が基準値を超えていた)。また麦、野菜、果実類は50ベクレル以下でした。福島沖で取れる水産物は、試験操業によって安全が確認されたものだけが市場に出荷されています。

・たとえば街中のラーメン屋さんの厨房をのぞいてみてください。豚骨などのこってりラーメンには、大さじか小さじかの違いはあるでしょうが、添加物を加えているところがほとんどでしょう。動物の骨でだしをとろうとすると、同じものは二度とできません。動物に個体差がある以上、まったく同じ骨は存在しませんから。毎日、提供するスープの味の均一さを保つためにあ、どうしても添加物が必要なんですね。テレビのグルメ番組などで、ラーメン店の大将ができあがったスープの味を自分の舌で試してみるや、顔をしかめて寸銅鍋の中のスープをすべて捨ててしまうシーンをご覧になったことがあるでしょう。ずいぶんもったいないことをするなと思われるでしょうが、添加物をまったく使わなければ、ああなるのが当然なんです。ラーメンに限らず、どんな料理でも同じだと思います。業務用として毎回、同じ味のものを大量に提供するのはとても難しいんです。

・ひところ純米酒がもてはやされ、日本酒に米と米麹以外のものを入れるのは悪だ、邪道だと決めつけられました。でも、そんな単純な問題ではないんですよ。高価な銘酒なのに醸造用アルコールが添加されているお酒はたくさんあります。純米酒がもてはやされているのに、なぜあえてそんなことをするのでしょうか?味を均一に調え、品質の変化を抑えるためです。大きな酒蔵は通年で大量出荷しなければなりません。いつも同じ品質です。何も加えなければ、瓶詰した後に発酵が進んで味が微妙に変わってしまいます。高級なうまい酒だからこそ、味と品質を保つために少量の醸造用アルコールを加えるのです。お酒は蔵元のある地元で飲むのが最高といわれますね。遠くへ運ぶのに時間がかかったり、酒瓶のまわりの温度や日光などの環境が変わったりすると品質が変わってしまいます。以前、別の店に勤めていたとき、飛騨高山の蔵元で飲ませていただいたお酒がとても美味しかったので、一箱仕入れたことがありました。でも、クール便で東京に運んだだけで味が壊れてしまいました。日本酒はそれくらい繊細です。味覚調味料も同様に味を調えて均一にするために使います。使いすぎはあり得ません。ちょっと入れてもたくさん使っても効果はあまり変わらないとわかっていますから。たくさん入れすぎるとしたら、そもそも料理人としておかしい。

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