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「勝つ投資 負けない投資」という本は、以下の二人の共著で、その経験を踏まえて個人投資家が株式投資で勝つための銘柄選別法や買い方・売り方・見分け方のポイント、ポートフォリオの組み方等について分かりやすく説明したものです。
<片山 晃>
シリウスパートナーズCEO。専門学校中退後の4年間をネットゲーム廃人として過ごした後、22歳で株式投資に出会い、投資活動を開始。2005年5月から7年半で、65万円の投資額を12億円まで増やした。2013年には運用会社レオス・キャピタルワークスに転じて機関投資家業務に従事。2014年、ベンチャー投資を行うシリウスパートナーズを設立して再独立。複数の上場企業に大株主として名を連ね、本格的な長期投資を実践している。現在の運用総額は25億円。
<小松原 周>
大手資産運用会社にてファンドマネージャー・アナリストを務める。徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行うファンダメンタリストであり、長いキャリアの中で一度も負けたことがないため「不敗の投資家」として知られる。これまでに日米通算で5000社以上の会社へ取材した経験を持つ。様々な業種業界に精通しており、経営戦略からコーポレートファイナンス、経済学、財務分析等の知識が豊富であることから、上場企業の経営者の間でも氏との面談は評価が高い。巨大ファンドを運用する現役のファンドマネージャーであり、株式市場への影響力が大きいため、氏名以外の個人情報は基本的に非公開としている。
特に以下についてはナルホドと思いましたね。
・機関投資家にも弱点がありそれは機動力のなさ。流動性に乏しい銘柄には投資できず、現金で持っておけるのは数%というルールがある。
・儲けるには自分に向いた投資を見つけ、諦めずに続けること
・変化を見つけ、疑問を持ち、想像力を働かせることが大切
・個人投資家はプロのアナリストがついていない小型株をターゲットにするのがポイント
・いつ上がるかを想定することがポイント
・日頃から常に新鮮な投資アイデアを求めること
・短期のトレードは勝率が低いので長期投資を推奨
・本物の投資家の究極の到達点はお金の価値ではなく人生の価値を知る者
「勝つ投資 負けない投資」という本は、勝つ投資・負けない投資について分かりやすく説明があり、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・一般に機関投資家は大きな資金を動かします。資金力があれば勝てると考えている人もよくいますがこれは誤りで、その巨大さが時には大きな足かせとなる場合もあるのです。また、彼らは大概顧客の資産を預かって運用する立場なので、投資には透明性と説明責任が常に伴います。資産運用ビジネスには信用が何よりも大切ですから、預かった大切な資産をギャンブルのような取引で運用できないように、投資判断をするファンドマネージャーや、取引を行うトレーダーには様々なルールが課せられているのです。そのひとつが、流動性に乏しい銘柄には投資しないというものです。このような銘柄では、買うにも売るにもとても時間がかかってしまうし、その間に不測の事態が起こった場合、売るに売れないまま巻き込まれてしまいます。これではリスクが高すぎるということで、「流動性が基準に満たない銘柄への投資は避けよう」ということになるわけです。もうひとつは、「フルインベストメント」という考え方です。ほとんどの投資信託やファンドでは運用資産のうち現金で持っておけるのは数%までとルールで定められています。これは何を意味するかというと、今はあまり儲からなさそうな相場だとか、下手をすればこれから株価が下げていきそうだと運用者が思っていても、株を売って次のチャンスに備えることができないということです。
・そうして行き着いたのが、割安株への長期投資です。思えば単純なことだったのですが、1年前にはあれほど高かった株が信じられないような安さになっていました。「もしかすると、この中に今買っておけば儲かる株があるかもしれない」。もともと企業業績には関心があり、会社四季報や日経新聞を読んでいた僕は、より一層この部分に力を入れることにしました。今でもやっているすべての適時開示情報に目を通すという習慣は、この頃から始まったような気がします。こうして、今やっている小型成長株への長期投資につながる、新たな投資手法への取り組みがスタートしたのです。
・そういう地道な作業は向いていない、かといって値動きを読んでトレードで勝つほどのセンスもなさそうだという人はどうすればいいのでしょうか。答えは明瞭で、投資で大きく儲けることは諦めた方がいいです。自分に合ったやり方が見つかっていないのに、儲けたいという願望ありきで投資を続けてしまうと、儲けるどころか損を重ねるばかりで大変危険です。冷酷かもしれませんが、投資に向いていない性格の人というのは現実に存在すると思います。ただ、そういう人はスポーツやアートの分野に向いているかもしれないし、起業やビジネスで才覚を発揮すかもしれません。たまたま投資に向いていなかったというだけで、他の分野に目を向ければいいことです。
・それでもどうにかして投資で勝ちたいという人には、次の3つの選択肢が考えれます。
1 あまり適性がないことを自覚して、無理のないリターンを上げる手法を磨く
2 信頼できるプロフェッショナルを見つけ、自分のかわりに運用してもらう
3 投資で勝つために自分自身を殺し、勝てる性格に少しでも近づける
1は、大勝ちはできないが手堅くて汎用性の高い手法を取り揃え、それを効果的に使い分けていくというものです。自分でやっていないのであまり適当なことはいえないのですが、企業の純資産価値に着目したバリュー投資や、配当利回りを基準とした銘柄選択、普段はキャッシュを厚く持っておいて相場が大きく下げた時にだけ出動するやり方など、方法はいろいろあると思います。2は端的にいえば投資信託を買うやり方です。これについては多くの専門書が出ているので、敢えてここで解説はしません。3は、一番きついやり方です。なぜ多くの人が投資で負けてしまうのかというと、頭では正しいと理解していることをその通りに実行することがとても難しいからです。値動きが弱くとても上る見込みがなさそうなのに、損を確定させたくないからと含み損のまま塩漬けにしてしまうのがその典型です。理屈としてわかっていることと、それを実践できることには大きな違いがあり、これを埋めるのは容易ではないのです。ところが、トレードに向いている人はそこにためらいがありません。下がると思えば売る。損切りした株でも、また上がると思えば躊躇なく売値より高いところで買う。普通の人が「心理的」にやりにくいようなことを「合理的」に処理していけるのが、トレード適性の高い人です。反対に、長期投資においては短期的には弱々しく見える値動きでも、自分が考える将来勝ちとの差にギャップがあると思えばむしろ買い増していく勇気も必要になります。これは、弱ければ売って、強ければ買えばいいという合理的な考え方ができるトレード派の人とは相容れない感覚でしょう。自分に向いていないと思っても目指すリターンを上げるためにはその手法が必要なのだとなれば、自分自身を変革していく努力が必要になります。長期間投資をやっていれば必ずどこかで壁にぶつかるので、専業投資家になるならこの覚悟は必要不可欠といえるかもしれません。
・自分にとって最適なやり方を見つけ出すだけでも数年の時間を要する場合があります。さらにそこから、その手法を磨き上げて芽を出すまでにまた長い時間がかかるので、途中で投げ出してしまいたくなることもあるかもしれません。それでも、少しでもこの世界に興味関心を抱いて入ってきたのなら、諦めずに投資は続けて下さい。なにせ、人生はとても長いのです。おそらく僕たちが生きている間ぐらいは、株式市場がこの世界から消えて無くなることはないと思います。その間に、いろいろなことが起きるでしょう。僕が株をやって来たこの10年の間だけでも、オンライントレードブームがあり、ライブドアショックがあり、サブプライム問題とリーマン・ショックがあり、東日本大震災が起きて、欧州債務危機に揺れたと思ったら、アベノミクスと金融緩和でもう見られないと思っていた日経平均2万円を目にすることになったのです。さらに10年時計の針を巻き戻せばITバブルがあり、その10年前にはバブル崩壊がありました。この間、たった30年ほどの出来事です。僕はまだ32歳ですから、これと同じかそれ以上の時間、これからも株式市場を見ていくことになると思います。それを考えれば、いつどこにどんな機会が待っているか、あるいは投資と向き合わざるを得なくなる必要性に迫られるかわかりません。そうであれば、出会いは早い方がいいし、一度始めたものは細々とでも続けて蓄積していった方がいいと思うのです。それに、投資で身につけた知識や考え方が仕事などで思わぬ形で役立つこともあるかもしれません。少なくとも、今日この時に株式投資に関心を持ち、何かの縁で本書を手に取りこの文章を読んで下さっている時点で、まだこの世界に出会っていない人よりも何歩も先んじている。そのことは自信を持っていると僕は思います。
・僕にとっての投資とは、現在と未来の価値の間にあるギャップを埋める行為です。それは、変化に気付く力であり、それがもたらす未来を考え抜く発想力や想像力でもあります。この投資力の源泉となるのが、「疑問を持つ」ことです。会社帰りに通る道沿いの店がいつも行列を作っていれば、「この店はどうして繁盛しているのだろう・・・?」そのように、普段何気なく見過ごしている事にもふとした疑問を持つことが、投資力の源になっていきます。「いつから繁盛しているのだろうか?オープンしたのはいつ?はじめから行列の店だった?ある時から人気が出たとしたら、その前後でなにがあったのだろう?味が良くなったから?サービスが受け入れられたから?宣伝が上手く行ったから?それとも、人々の嗜好が変わったのだろうか・・・?」そうして考えながら歩いているうちに、ふと反対側の道路を見やると、新しく出来た巨大な商業施設の姿が目に飛び込んできます。「なんだ、そういうことか」。これは投資としてはガッカリのパターンですが、それでも目の前の事象に対して想像力を働かせて1つの答えを見つけられたわけですから一歩前進です。これがもし、別の駅にある他の系列店でも行列ができているとわかったら、大きな投資のチャンスになります。たまたまその時は新しく出来た商業施設の集客力のお陰だったという結末だったとしても、このように世の中に起きているあらゆる変化に対して疑問を持ち続ければ、いつか大きな流れを掴む機会が必ずやってきます。今から3年前、電車の中ではスマートフォンでゲームをする人の姿が増え始めました。チラリと画面を覗き見ると、絵合わせのようなゲームをやっている。そういえば、向こうの人も同じゲーム。さっき電車を待っている間に見た人も同じゲーム・・・あれって一体何なんだろう?そんな風に気づくことが出来ていた人は、今頃億万長者になれたかもしれないのです。
・時価総額が小さい小型株となると、プロのアナリストもついていませんし業績の一挙一動を見ている投資家の数もそれだけ減ってきます。こういった企業は普段何をやっているのか外からはなかなか見えづらいため、決算短信の内容に意外性があることが多くなります。それはすなわち、投資の機会が多くなることでもあるわけです。それに、誰でも知っているような大企業の業績がいきなり2倍になることは売上規模的になかなか難しいですが、まだ売上が数十億、数百億レベルの企業であれば、数年で業績が2倍や3倍になることは十分に起こりえます。そうした業績変化率の高さにおいても、やはり中小型株には大きな魅力があるといえます。
・投資で利益を得られる3つのパターンについて説明しておこうと思います。
1 優等生が100点満点を取り続けるパターン
2 優等生が期待はずれの点数を取ってしまうパターン
3 落第生が期待以上の点数を取るパターン
大ざっぱにいうと、株で儲けるにはこの3つのうちのどれかに当てはまる銘柄に投資をするこおです。実際には「4 落第生が赤点を取り続けるパターン」もあるのですが、これは当てたところで利益にならないので意味がありまえん。1のパターンは銘柄でいえばカルビーやエムスリー、コスモス薬品などが該当します。2桁の成長を長期間に渡って出し続ける優等生タイプで、年単位で綺麗な上昇トレンドのチャートを描くのが特徴です。本書では一貫して変化が重要だと主張していますが、これらの銘柄は常に良い決算を出し続けるため、ある意味では変化が起きていないともいえます。なので、僕が苦手としているパターンでもあります。こうした銘柄は、学校でいうところのテスト、すなわち決算で常に投資家の期待に応える満点を出すことを要求されています。既に優等生であることは誰もが知っているので、期待が織り込まれた高いPERがついていることが多いです。従って、ちょっとでもミスがあると大きな失望を買い、株価が暴落する危険性があり、投資家ははその恐怖に怯えなければなりまえん。しかし、良い結果を出し続けているのにはきちんと理由があるものです。それはビジネスの「仕組み」であり、その優位性が脅かされない限り、彼らはきちんと投資家の期待に応え続けます。なので、「割高だ、将来を織り込みすぎている」と言われたところから、さらに株価が何倍にもなっていきます。このパターンの良いところは、途中からでも上昇に乗りやすいことです。反面、短期間に急騰することもないので、大きな果実を得るにはそれだけの長い期間投資し続ける必要があります。2のパターンは、1に当てはまる銘柄が悪い決算を出した時に起こります。ずっと学年トップだった優等生が2位に転落すると、「なにかあったのかな?」と思いますよね。2位という成績自体はとてもすごいのに、なぜか心配されてしまう。株価もそんな反応を示します。このパターンで利益を得るには空売りのアイデアが必要です。ただ、その期待外れの成績が一過性のものであれば、再び1の軌道に戻ることが可能です。たまたま風邪を引いて本調子じゃなかったということは起こるでしょうし、企業業績においてもそれに近いことは起こり得ます。その場合、一時的に下がった株価が戻る過程で利益を得ることもできるでしょう。3のパターンはラオックスのように、誰も期待していなかった銘柄が思いのほか良い数字を出した時に起こります。優等生がトップから2位に転落しただけでも心配されるのと正反対で、赤点から70点になっただけでもスーパーサプライズ。周囲からは大喜びしてもらえます。このとき、株価はしばしば過激な反応を示します。それまで誰も投資していなかった銘柄に急に注目が集まるので、多くの場合は行き過ぎるし、その上昇に要する期間も短めです。短期間に大きなリターンが得られる反面、激しい値動きに耐える必要があり、乗り方次第では思わぬ損が出る可能性も覚悟しなければなりません。しかし、そうなることを事前に予想して仕込んでおければこれほど儲かる投資のチャンスはありません。
・僕が新規に投資をする時には、その株が「いつ上がるか」ということを必ず想定してから入ります。もちろん、「この株価で買っておけばいつか上がるだろう」という考え方も否定はしませんが、「勝つ投資」を目指す上ではご法度です。狙い通りの業績が出てきても、それが先ほどの3つのパターンの起点にならなければ、それも目論見が外れたうちに入ります。自分の中では「素晴らしい決算だ!やはりこの企業は期待できる」と思えても、それが他の投資家には共感されない、独りよがりな妄想である可能性ももちろんあり、その場合は株価はついてきません。そうなった時は、なぜ評価されなかったのかをよく考えて、さらに次の決算まで待つか、あるいは諦めるかの判断をします。この時、株価が含み益か否かは関係ありません。上がるはずだと思えば持ち続ければいいし、やっぱり違ったかもしれないと思ったら売る。それ意外の選択肢はないのです。
・目論見が外れたらポジションをはずすといいましたが、それが実行しにくい理由のひとつに「銘柄への拘り」があると思います。時間を使って調べあげ、買う時には絶対に上がると思った投資アイデアですから、それを捨てるのはもったいないと思う気持ちは誰しもあるはずです。その時に重要となるのが、代替案をどれだけ持っているかということです。ある銘柄がダメになったとしても、それと同じくらい優れた他の銘柄のことが頭の中にある人は、容易に乗り換えを検討できるはずです。ところが、練りに練った唯一のアイデアが外れてしまった場合、次がないので、どうにかして今あるアイデアで押しきれないかと、その銘柄を持ち続ける理由を探してしまうのです。そこで持ち続けた銘柄は大概においてあまり良くない結果をもたらします。もし勝てたとしても、当初の目論見通りには行かなかった以上、時間的コストを余計に払うことになるのは間違いありません。上がらない株、含み損の株を長く持ち続けることを「塩漬けにする」といいますが、日頃から常に新鮮な投資アイデアを求めるようにしておけば、塩漬け銘柄を作るリスクは格段に抑えられるはずです。たとえ含み益の銘柄を持っていたとしてもそのことに満足せず、もっと良い株、効率的に儲かる株があるかもしれないといつも考えながら取り組む姿勢が、失敗した時の二の矢、三の矢として機能することになるのです。
・本当にこの銘柄でいいのか?今考えているストーリーに穴はなかったか?という疑いは常に持ち、それをチェックし続ける態度は崩すべきではありません。良い企業だと信じているからこそ、徹底的に疑って調べ上げ、「やっぱり何も問題はなかった。さすが自分が良いと信じた企業だ」という結論を得る。これが、投資先を本当に信頼するために必要な姿勢なのだと思います。そこまでやっていれば、多少の下落があっても落ち着いて構えていられるようになります。ただ、どんなにきちんと調べきったつもりでも、その調べ方に誤りがあったり、そこから導いた結論が間違っている恐れは当然に考慮すべきです。株価が予想以上に下落したときは、他の投資家が何らかのリスクを感じて投げている可能性が高いので、その背景をとにかく調べます。結局、投資家にできることはそれしかありません。そこで納得の行く理由が見つかればいいのですが、もし見つからなかった場合、自分にはつかみきれていない悪材料によって株価が下落している可能性があります
・大きく勝つには個別銘柄の選択術も大事ですが、チャンスに対して大胆にリスクを取っていくことも同じぐらいに大切です。2倍、3倍となることが高い確率で見込まれる銘柄に対して、全体の10%の資金量しか投入しなければ、上手く行ったとしても資産は1割から2割しか増えません。単なる運否天賦、コインの裏表のようなギャンブルではなく、緻密な調査と分析に裏打ちされた割のいい勝負であれば、相応のリスク量を取るべきだと僕は考えます。なぜなら、そのような投資の機会は決していつでも巡ってくるものではないからです。今でこそアベノミクスで相場が盛り上がっていますが、3年で株価指数が2倍以上になるような大相場は、過去30年でも80年代後半のバブル相場と今回の2度しか例がありません。こういう時期に相場を張れている人は、それだけでも大変な幸運だと考えるべきです。バブルの頂点に投資を始めたような人は、その後20年以上に渡る長期下落相場を経験することになりました。特に90年代前半の強烈な下げ局面では、株で儲けるチャンスは本当にほとんどなかったのではないかと想像します。たまたま今が良い時期なだけであって、次にいつそのような冬の時代が訪れるとも限りません。市場はいつでも開いているというのは事実ですが、市場で儲ける機会は常にあるというのは真ではないでしょう。であれば、限りある機会の中でもこれはと思うところに対しては、多少大きな損失が出ることを覚悟してでもリスクを取った方が、トータルではリスクコントロールが効いているのではないかとも思うのです。若くして億を稼いだ投資家の話を聞くと、まだ資産がそこまで大きくなかった頃には、一気に時間を縮めるようなジャンプ・アップとなる勝負に成功しているケースが結構あるような気がします。もちろん、90年代前半のような相場でそれを目指したら間違いなく退場することになるでしょうから、時期の見極めは大切ですが、行く時には行くという考え方もある程度は必要なのではないでしょうか。そんなわけで、僕は安易な銘柄分散はお勧めしません。これは、ハイリスク・ハイリターンを許容できる個人投資家だからこそ取りうる戦略でもあります。
・私もその昔、誰もが見捨てた上場企業の社長と面談をし、大量のリスクマネーを投じたことがあります。調査を重ねた後に、その会社がダメになってしまった理由はサービスの競争力が低下したのではなく、以前の経営者の怠慢によるものであると考え、新しい経営陣による事業再建計画は成功すると信じることにしました。我々の組織が市場でその会社の株式を大量に買い、大株主として名前が登場すると、市場参加者たちは大きな驚きを持って受け止めました。それは我々が確固たる自信を持って、その会社の価値が割安に放置されていると考えていることを意味していたからです。これがキッカケとなって、それまで聞く耳を持っていなかったほかの投資家たちも、改めてその会社を再評価するようになりました。後日、その社長から電話があり受話器を受け取ると、彼は涙ながらにこう言いました。「ありがとうございます。私たちは必ず生まれ変わります。生まれ変わることを約束します」社長からすれば、自分を信じてリスクを取ってくれた投資家がいることが、よほど嬉しかったのでしょう。それから3年後、会社は絵に描いたようなV字回復と遂げ、当初の再建計画を大幅に前倒しして復活に成功しました。我々はそえを見届けると、市場で株をゆっくりと売却をしていきイグジットしました。その時の株価は、我々が投資した金額の実に5倍になっていたのです。みなさんも、自分以外の誰かの思いに対して、お金を投じてみてはいかがでしょうか?その時初めて、本物の投資家の第一歩を歩み始めたといえるでしょう。
・実際にめぼしいアイデアと候補となりそうな銘柄が浮かんだら、投資に踏み切る前にもう少し調査をしましょう。会社のホームページで決算説明会の資料を見たり、社長の人となりも確認しましょう。財務データも分析した方がより良いのですが、身構える必要はありません。「会社四季報」などを見ると、簡単に業績の要点は確認できますし、どの会社も「決算短信」という同じフォーマットで財務諸表を公開しています。財務諸表をごく短時間でチェックするとすれば、以下のポイントでしょう。
○「損益計算書」にある売上高、営業利益に丸をつけ、それらの伸び率や営業利益率が改善しているかどうかなどを確認する。
○「貸借対照表」では資産の部の棚卸在庫、売掛金に丸をつけ、これらが売上高の伸びよりも低く抑えられているか確認する
○負債の部の短期・長期借入金、資本の部の額にも丸をつけ、ネットD/Eレシオ「(短期・長期借入金-資産の部の現預金)/資本の部」を確認する
ネットD/Eレシオが大きいほど、財務体質が脆弱であると考えられるので、資本の部の額よりも何倍も大きな(借入金-現預金)を持っている会社は、不景気に弱く、増資などのリスクが高いと考えられます。この数点をパッと確認するだけでも、やるとやらないでは大きな違いがあります。これらの客観的なデータから、その会社へ投資することがどれほどのリスクを持っているのかをイメージしておくと、それがたとえ成功しても失敗しても、経験値として勝てる投資家になるための階段を一段登ったことになります。これらのアプローチはリターンを高め、取る必要のないリスクを発見するための効率の良い手法のひとつとして、勝てる投資家になるための最低限のスキルです。投資では、全勝することはできません。ただし通算6勝4敗であれば、あなたはおそらくお金持ちになれるでしょう。
・伸びる会社のサインは次の5つです。
□収益性が向上している
□経営者がROEの向上を意識している
□収益性の高いところへ投資している
□多くの人を幸せにしている
□ガバナンスがしっかりしている
・次は伸びない会社のサインを5つご紹介します。
□本業と全く関係のない事業を持っている
□中期経営計画に数値目標が明記されていない
□自社ビルを建設する
□本社の受付嬢がやたらと美人
□社長が業界紙以外のメディアに出始める
・私はみなさんに短期のトレードを決して推奨はしません。投資の世界は、時間軸を短く取るほど投機の世界に近くなり、頻繁に売買をするほど勝率も下がっていってしまいます。金融取引で投機の代表格といえばFX(外為取引)ですが、世にあるFX口座の9割は元本割れしている可能性が高いと思います。通貨が短気で上がる下がるかを当てる確率は、サイコロの丁半を当てるのと同じように50%であると思いがちですが、為替手数料を支払うことを考えると、勝率は50%より低くなります。いろいろなテクニカル指標を駆使して、高い勝率を誇る人がいるかもしれませんが、サバイバーバイアスといって、それはたまたま運が良く生き残った人が語っているだけであり、その裏で9割の人が負けていると考えるのが妥当でしょう。一方で、勝ち残っている人も勝利が長く続くことはありません。9連勝を誇る人がいたとしても、次の1敗が大敗となり、すべての勝利が台無しになるようなことが起きます。冷静に考えれば分かり切ったような投機の世界を、身銭を切って体験する必要はありません。
・私がみなさんに推奨するのは長期投資です。「適正な投資ホライゾン(投資期間)は何か?」という問いは、私にとっては「そのようなものはない」が回答です。私が推奨するのは、あくまでも継続的に成長を続ける会社への投資ですから、そのような会社へ投資をしている限りは、売る時のことなど考える必要はありません。あなたが託したお金を効率良く使い、より多くの利益を還元してくれる会社の株主であるならば、極端な話、一生売る必要はないのです
・Mは、子供の頃、病気に苦しむ母親の治療費を稼ぐために、近隣の住人たちに「何でも屋」を申し出てお金を稼いでいました。貧しい村であったため隣人も決して裕福ではありませんでしたが、多くの人は善意で彼に仕事を与え、時には食べ物や薬を恵んでくれました。Mはその後、猛勉強をして米国のアイビーリーグでMBAを取得し、ウォール街の投資家として優れた成績を収めるようになりました。しかし、若くして大金持ちとなった彼は、ある日突然引退し、全財産をマレーシアで自身が設立した基金へ拠出してしまいました。彼が設立した基金は、小さな子供のいる貧しい家庭に対して、医療費や学費を支援するものであり、条件として、その子供が将来お金持ちになった場合、再び同基金にお金を拠出してもらう設計となっています。また、基金の特別条項には、子供の頃のMに施しを与えてくれた村人の名前が記載されており、彼らが病気になった際には、すべての医療費を支払うことも明記されています。彼は村人たちの一杯の飯の恩を忘れずに大人になり、それに報いることを人生の目的のひとつとしたのです。人生は誰にとっても一度きりであり、二度目はありません。ほとんどの大人は人生の7回裏あたりから、そのことに気づきます。Mにとっての人生における最良の時間と空間は、貧しくとも家族や隣人の愛に包まれた何気ない日常でした。どんなに富と名声を得ても、遙か先にあると思われた山の頂きに立ってみても、それ以上のお宝は、この世界にはないことをMは悟ったのです。彼は絶頂のうちにウオール街を去り、今は故郷でファンドマネージャーとして基金から給料をもらい、一方で医大生として勉強に励む毎日を送っています。
・ある日のこと、カフェでMと話をしていた時、私が自分の失敗から得た投資家としての暗黙知のようなものを話し始めると、Mはカバンから使い古した分厚いノートを取りだしてメモを取り始めました。Mは実力や実績は組織の中でトップクラスの投資家でしたが、どんな人からも謙虚に学び、自分の頭で納得がいくまで考え抜く姿勢を持っていました。びっしりと文字の詰まった亡き母からのプレゼントだというノートを見て、「まるでバイブルだね」と私が言うと、Mは愛おしそうに表紙を手でなでながら「いいえ、それ以上です」と答えたのを、今でも鮮明に覚えています。
・「なぜ、お金持ちになりたいのか?」という問いの答えは、最終的には「素晴らしい人生を歩みたいから」に行き着くと思います。ただし、「お金」と「素晴らしい人生」は必ずしも同じレールの上にあるとは限りません。お金を持っていても、不幸な人が世界にはたくさんいます。なぜか?多くの人はその先にある価値を知らないからです。Mは投資で得た莫大なお金を、大切な人を幸せにすることに再投資をし、新たな富を得ているのです。基金によって救われた人々の笑顔を見る度に、Mは己の人生の価値を向上させているのです。本物の投資家の究極の到達点は、お金の価値だけではなく、人生の価値を知る者であると私は信じています。
良かった本まとめ(2015年下半期)
<今日の独り言>
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「勝つ投資 負けない投資」という本は、以下の二人の共著で、その経験を踏まえて個人投資家が株式投資で勝つための銘柄選別法や買い方・売り方・見分け方のポイント、ポートフォリオの組み方等について分かりやすく説明したものです。
<片山 晃>
シリウスパートナーズCEO。専門学校中退後の4年間をネットゲーム廃人として過ごした後、22歳で株式投資に出会い、投資活動を開始。2005年5月から7年半で、65万円の投資額を12億円まで増やした。2013年には運用会社レオス・キャピタルワークスに転じて機関投資家業務に従事。2014年、ベンチャー投資を行うシリウスパートナーズを設立して再独立。複数の上場企業に大株主として名を連ね、本格的な長期投資を実践している。現在の運用総額は25億円。
<小松原 周>
大手資産運用会社にてファンドマネージャー・アナリストを務める。徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行うファンダメンタリストであり、長いキャリアの中で一度も負けたことがないため「不敗の投資家」として知られる。これまでに日米通算で5000社以上の会社へ取材した経験を持つ。様々な業種業界に精通しており、経営戦略からコーポレートファイナンス、経済学、財務分析等の知識が豊富であることから、上場企業の経営者の間でも氏との面談は評価が高い。巨大ファンドを運用する現役のファンドマネージャーであり、株式市場への影響力が大きいため、氏名以外の個人情報は基本的に非公開としている。
特に以下についてはナルホドと思いましたね。
・機関投資家にも弱点がありそれは機動力のなさ。流動性に乏しい銘柄には投資できず、現金で持っておけるのは数%というルールがある。
・儲けるには自分に向いた投資を見つけ、諦めずに続けること
・変化を見つけ、疑問を持ち、想像力を働かせることが大切
・個人投資家はプロのアナリストがついていない小型株をターゲットにするのがポイント
・いつ上がるかを想定することがポイント
・日頃から常に新鮮な投資アイデアを求めること
・短期のトレードは勝率が低いので長期投資を推奨
・本物の投資家の究極の到達点はお金の価値ではなく人生の価値を知る者
「勝つ投資 負けない投資」という本は、勝つ投資・負けない投資について分かりやすく説明があり、とてもオススメです!
以下はこの本のポイント等です。
・一般に機関投資家は大きな資金を動かします。資金力があれば勝てると考えている人もよくいますがこれは誤りで、その巨大さが時には大きな足かせとなる場合もあるのです。また、彼らは大概顧客の資産を預かって運用する立場なので、投資には透明性と説明責任が常に伴います。資産運用ビジネスには信用が何よりも大切ですから、預かった大切な資産をギャンブルのような取引で運用できないように、投資判断をするファンドマネージャーや、取引を行うトレーダーには様々なルールが課せられているのです。そのひとつが、流動性に乏しい銘柄には投資しないというものです。このような銘柄では、買うにも売るにもとても時間がかかってしまうし、その間に不測の事態が起こった場合、売るに売れないまま巻き込まれてしまいます。これではリスクが高すぎるということで、「流動性が基準に満たない銘柄への投資は避けよう」ということになるわけです。もうひとつは、「フルインベストメント」という考え方です。ほとんどの投資信託やファンドでは運用資産のうち現金で持っておけるのは数%までとルールで定められています。これは何を意味するかというと、今はあまり儲からなさそうな相場だとか、下手をすればこれから株価が下げていきそうだと運用者が思っていても、株を売って次のチャンスに備えることができないということです。
・そうして行き着いたのが、割安株への長期投資です。思えば単純なことだったのですが、1年前にはあれほど高かった株が信じられないような安さになっていました。「もしかすると、この中に今買っておけば儲かる株があるかもしれない」。もともと企業業績には関心があり、会社四季報や日経新聞を読んでいた僕は、より一層この部分に力を入れることにしました。今でもやっているすべての適時開示情報に目を通すという習慣は、この頃から始まったような気がします。こうして、今やっている小型成長株への長期投資につながる、新たな投資手法への取り組みがスタートしたのです。
・そういう地道な作業は向いていない、かといって値動きを読んでトレードで勝つほどのセンスもなさそうだという人はどうすればいいのでしょうか。答えは明瞭で、投資で大きく儲けることは諦めた方がいいです。自分に合ったやり方が見つかっていないのに、儲けたいという願望ありきで投資を続けてしまうと、儲けるどころか損を重ねるばかりで大変危険です。冷酷かもしれませんが、投資に向いていない性格の人というのは現実に存在すると思います。ただ、そういう人はスポーツやアートの分野に向いているかもしれないし、起業やビジネスで才覚を発揮すかもしれません。たまたま投資に向いていなかったというだけで、他の分野に目を向ければいいことです。
・それでもどうにかして投資で勝ちたいという人には、次の3つの選択肢が考えれます。
1 あまり適性がないことを自覚して、無理のないリターンを上げる手法を磨く
2 信頼できるプロフェッショナルを見つけ、自分のかわりに運用してもらう
3 投資で勝つために自分自身を殺し、勝てる性格に少しでも近づける
1は、大勝ちはできないが手堅くて汎用性の高い手法を取り揃え、それを効果的に使い分けていくというものです。自分でやっていないのであまり適当なことはいえないのですが、企業の純資産価値に着目したバリュー投資や、配当利回りを基準とした銘柄選択、普段はキャッシュを厚く持っておいて相場が大きく下げた時にだけ出動するやり方など、方法はいろいろあると思います。2は端的にいえば投資信託を買うやり方です。これについては多くの専門書が出ているので、敢えてここで解説はしません。3は、一番きついやり方です。なぜ多くの人が投資で負けてしまうのかというと、頭では正しいと理解していることをその通りに実行することがとても難しいからです。値動きが弱くとても上る見込みがなさそうなのに、損を確定させたくないからと含み損のまま塩漬けにしてしまうのがその典型です。理屈としてわかっていることと、それを実践できることには大きな違いがあり、これを埋めるのは容易ではないのです。ところが、トレードに向いている人はそこにためらいがありません。下がると思えば売る。損切りした株でも、また上がると思えば躊躇なく売値より高いところで買う。普通の人が「心理的」にやりにくいようなことを「合理的」に処理していけるのが、トレード適性の高い人です。反対に、長期投資においては短期的には弱々しく見える値動きでも、自分が考える将来勝ちとの差にギャップがあると思えばむしろ買い増していく勇気も必要になります。これは、弱ければ売って、強ければ買えばいいという合理的な考え方ができるトレード派の人とは相容れない感覚でしょう。自分に向いていないと思っても目指すリターンを上げるためにはその手法が必要なのだとなれば、自分自身を変革していく努力が必要になります。長期間投資をやっていれば必ずどこかで壁にぶつかるので、専業投資家になるならこの覚悟は必要不可欠といえるかもしれません。
・自分にとって最適なやり方を見つけ出すだけでも数年の時間を要する場合があります。さらにそこから、その手法を磨き上げて芽を出すまでにまた長い時間がかかるので、途中で投げ出してしまいたくなることもあるかもしれません。それでも、少しでもこの世界に興味関心を抱いて入ってきたのなら、諦めずに投資は続けて下さい。なにせ、人生はとても長いのです。おそらく僕たちが生きている間ぐらいは、株式市場がこの世界から消えて無くなることはないと思います。その間に、いろいろなことが起きるでしょう。僕が株をやって来たこの10年の間だけでも、オンライントレードブームがあり、ライブドアショックがあり、サブプライム問題とリーマン・ショックがあり、東日本大震災が起きて、欧州債務危機に揺れたと思ったら、アベノミクスと金融緩和でもう見られないと思っていた日経平均2万円を目にすることになったのです。さらに10年時計の針を巻き戻せばITバブルがあり、その10年前にはバブル崩壊がありました。この間、たった30年ほどの出来事です。僕はまだ32歳ですから、これと同じかそれ以上の時間、これからも株式市場を見ていくことになると思います。それを考えれば、いつどこにどんな機会が待っているか、あるいは投資と向き合わざるを得なくなる必要性に迫られるかわかりません。そうであれば、出会いは早い方がいいし、一度始めたものは細々とでも続けて蓄積していった方がいいと思うのです。それに、投資で身につけた知識や考え方が仕事などで思わぬ形で役立つこともあるかもしれません。少なくとも、今日この時に株式投資に関心を持ち、何かの縁で本書を手に取りこの文章を読んで下さっている時点で、まだこの世界に出会っていない人よりも何歩も先んじている。そのことは自信を持っていると僕は思います。
・僕にとっての投資とは、現在と未来の価値の間にあるギャップを埋める行為です。それは、変化に気付く力であり、それがもたらす未来を考え抜く発想力や想像力でもあります。この投資力の源泉となるのが、「疑問を持つ」ことです。会社帰りに通る道沿いの店がいつも行列を作っていれば、「この店はどうして繁盛しているのだろう・・・?」そのように、普段何気なく見過ごしている事にもふとした疑問を持つことが、投資力の源になっていきます。「いつから繁盛しているのだろうか?オープンしたのはいつ?はじめから行列の店だった?ある時から人気が出たとしたら、その前後でなにがあったのだろう?味が良くなったから?サービスが受け入れられたから?宣伝が上手く行ったから?それとも、人々の嗜好が変わったのだろうか・・・?」そうして考えながら歩いているうちに、ふと反対側の道路を見やると、新しく出来た巨大な商業施設の姿が目に飛び込んできます。「なんだ、そういうことか」。これは投資としてはガッカリのパターンですが、それでも目の前の事象に対して想像力を働かせて1つの答えを見つけられたわけですから一歩前進です。これがもし、別の駅にある他の系列店でも行列ができているとわかったら、大きな投資のチャンスになります。たまたまその時は新しく出来た商業施設の集客力のお陰だったという結末だったとしても、このように世の中に起きているあらゆる変化に対して疑問を持ち続ければ、いつか大きな流れを掴む機会が必ずやってきます。今から3年前、電車の中ではスマートフォンでゲームをする人の姿が増え始めました。チラリと画面を覗き見ると、絵合わせのようなゲームをやっている。そういえば、向こうの人も同じゲーム。さっき電車を待っている間に見た人も同じゲーム・・・あれって一体何なんだろう?そんな風に気づくことが出来ていた人は、今頃億万長者になれたかもしれないのです。
・時価総額が小さい小型株となると、プロのアナリストもついていませんし業績の一挙一動を見ている投資家の数もそれだけ減ってきます。こういった企業は普段何をやっているのか外からはなかなか見えづらいため、決算短信の内容に意外性があることが多くなります。それはすなわち、投資の機会が多くなることでもあるわけです。それに、誰でも知っているような大企業の業績がいきなり2倍になることは売上規模的になかなか難しいですが、まだ売上が数十億、数百億レベルの企業であれば、数年で業績が2倍や3倍になることは十分に起こりえます。そうした業績変化率の高さにおいても、やはり中小型株には大きな魅力があるといえます。
・投資で利益を得られる3つのパターンについて説明しておこうと思います。
1 優等生が100点満点を取り続けるパターン
2 優等生が期待はずれの点数を取ってしまうパターン
3 落第生が期待以上の点数を取るパターン
大ざっぱにいうと、株で儲けるにはこの3つのうちのどれかに当てはまる銘柄に投資をするこおです。実際には「4 落第生が赤点を取り続けるパターン」もあるのですが、これは当てたところで利益にならないので意味がありまえん。1のパターンは銘柄でいえばカルビーやエムスリー、コスモス薬品などが該当します。2桁の成長を長期間に渡って出し続ける優等生タイプで、年単位で綺麗な上昇トレンドのチャートを描くのが特徴です。本書では一貫して変化が重要だと主張していますが、これらの銘柄は常に良い決算を出し続けるため、ある意味では変化が起きていないともいえます。なので、僕が苦手としているパターンでもあります。こうした銘柄は、学校でいうところのテスト、すなわち決算で常に投資家の期待に応える満点を出すことを要求されています。既に優等生であることは誰もが知っているので、期待が織り込まれた高いPERがついていることが多いです。従って、ちょっとでもミスがあると大きな失望を買い、株価が暴落する危険性があり、投資家ははその恐怖に怯えなければなりまえん。しかし、良い結果を出し続けているのにはきちんと理由があるものです。それはビジネスの「仕組み」であり、その優位性が脅かされない限り、彼らはきちんと投資家の期待に応え続けます。なので、「割高だ、将来を織り込みすぎている」と言われたところから、さらに株価が何倍にもなっていきます。このパターンの良いところは、途中からでも上昇に乗りやすいことです。反面、短期間に急騰することもないので、大きな果実を得るにはそれだけの長い期間投資し続ける必要があります。2のパターンは、1に当てはまる銘柄が悪い決算を出した時に起こります。ずっと学年トップだった優等生が2位に転落すると、「なにかあったのかな?」と思いますよね。2位という成績自体はとてもすごいのに、なぜか心配されてしまう。株価もそんな反応を示します。このパターンで利益を得るには空売りのアイデアが必要です。ただ、その期待外れの成績が一過性のものであれば、再び1の軌道に戻ることが可能です。たまたま風邪を引いて本調子じゃなかったということは起こるでしょうし、企業業績においてもそれに近いことは起こり得ます。その場合、一時的に下がった株価が戻る過程で利益を得ることもできるでしょう。3のパターンはラオックスのように、誰も期待していなかった銘柄が思いのほか良い数字を出した時に起こります。優等生がトップから2位に転落しただけでも心配されるのと正反対で、赤点から70点になっただけでもスーパーサプライズ。周囲からは大喜びしてもらえます。このとき、株価はしばしば過激な反応を示します。それまで誰も投資していなかった銘柄に急に注目が集まるので、多くの場合は行き過ぎるし、その上昇に要する期間も短めです。短期間に大きなリターンが得られる反面、激しい値動きに耐える必要があり、乗り方次第では思わぬ損が出る可能性も覚悟しなければなりません。しかし、そうなることを事前に予想して仕込んでおければこれほど儲かる投資のチャンスはありません。
・僕が新規に投資をする時には、その株が「いつ上がるか」ということを必ず想定してから入ります。もちろん、「この株価で買っておけばいつか上がるだろう」という考え方も否定はしませんが、「勝つ投資」を目指す上ではご法度です。狙い通りの業績が出てきても、それが先ほどの3つのパターンの起点にならなければ、それも目論見が外れたうちに入ります。自分の中では「素晴らしい決算だ!やはりこの企業は期待できる」と思えても、それが他の投資家には共感されない、独りよがりな妄想である可能性ももちろんあり、その場合は株価はついてきません。そうなった時は、なぜ評価されなかったのかをよく考えて、さらに次の決算まで待つか、あるいは諦めるかの判断をします。この時、株価が含み益か否かは関係ありません。上がるはずだと思えば持ち続ければいいし、やっぱり違ったかもしれないと思ったら売る。それ意外の選択肢はないのです。
・目論見が外れたらポジションをはずすといいましたが、それが実行しにくい理由のひとつに「銘柄への拘り」があると思います。時間を使って調べあげ、買う時には絶対に上がると思った投資アイデアですから、それを捨てるのはもったいないと思う気持ちは誰しもあるはずです。その時に重要となるのが、代替案をどれだけ持っているかということです。ある銘柄がダメになったとしても、それと同じくらい優れた他の銘柄のことが頭の中にある人は、容易に乗り換えを検討できるはずです。ところが、練りに練った唯一のアイデアが外れてしまった場合、次がないので、どうにかして今あるアイデアで押しきれないかと、その銘柄を持ち続ける理由を探してしまうのです。そこで持ち続けた銘柄は大概においてあまり良くない結果をもたらします。もし勝てたとしても、当初の目論見通りには行かなかった以上、時間的コストを余計に払うことになるのは間違いありません。上がらない株、含み損の株を長く持ち続けることを「塩漬けにする」といいますが、日頃から常に新鮮な投資アイデアを求めるようにしておけば、塩漬け銘柄を作るリスクは格段に抑えられるはずです。たとえ含み益の銘柄を持っていたとしてもそのことに満足せず、もっと良い株、効率的に儲かる株があるかもしれないといつも考えながら取り組む姿勢が、失敗した時の二の矢、三の矢として機能することになるのです。
・本当にこの銘柄でいいのか?今考えているストーリーに穴はなかったか?という疑いは常に持ち、それをチェックし続ける態度は崩すべきではありません。良い企業だと信じているからこそ、徹底的に疑って調べ上げ、「やっぱり何も問題はなかった。さすが自分が良いと信じた企業だ」という結論を得る。これが、投資先を本当に信頼するために必要な姿勢なのだと思います。そこまでやっていれば、多少の下落があっても落ち着いて構えていられるようになります。ただ、どんなにきちんと調べきったつもりでも、その調べ方に誤りがあったり、そこから導いた結論が間違っている恐れは当然に考慮すべきです。株価が予想以上に下落したときは、他の投資家が何らかのリスクを感じて投げている可能性が高いので、その背景をとにかく調べます。結局、投資家にできることはそれしかありません。そこで納得の行く理由が見つかればいいのですが、もし見つからなかった場合、自分にはつかみきれていない悪材料によって株価が下落している可能性があります
・大きく勝つには個別銘柄の選択術も大事ですが、チャンスに対して大胆にリスクを取っていくことも同じぐらいに大切です。2倍、3倍となることが高い確率で見込まれる銘柄に対して、全体の10%の資金量しか投入しなければ、上手く行ったとしても資産は1割から2割しか増えません。単なる運否天賦、コインの裏表のようなギャンブルではなく、緻密な調査と分析に裏打ちされた割のいい勝負であれば、相応のリスク量を取るべきだと僕は考えます。なぜなら、そのような投資の機会は決していつでも巡ってくるものではないからです。今でこそアベノミクスで相場が盛り上がっていますが、3年で株価指数が2倍以上になるような大相場は、過去30年でも80年代後半のバブル相場と今回の2度しか例がありません。こういう時期に相場を張れている人は、それだけでも大変な幸運だと考えるべきです。バブルの頂点に投資を始めたような人は、その後20年以上に渡る長期下落相場を経験することになりました。特に90年代前半の強烈な下げ局面では、株で儲けるチャンスは本当にほとんどなかったのではないかと想像します。たまたま今が良い時期なだけであって、次にいつそのような冬の時代が訪れるとも限りません。市場はいつでも開いているというのは事実ですが、市場で儲ける機会は常にあるというのは真ではないでしょう。であれば、限りある機会の中でもこれはと思うところに対しては、多少大きな損失が出ることを覚悟してでもリスクを取った方が、トータルではリスクコントロールが効いているのではないかとも思うのです。若くして億を稼いだ投資家の話を聞くと、まだ資産がそこまで大きくなかった頃には、一気に時間を縮めるようなジャンプ・アップとなる勝負に成功しているケースが結構あるような気がします。もちろん、90年代前半のような相場でそれを目指したら間違いなく退場することになるでしょうから、時期の見極めは大切ですが、行く時には行くという考え方もある程度は必要なのではないでしょうか。そんなわけで、僕は安易な銘柄分散はお勧めしません。これは、ハイリスク・ハイリターンを許容できる個人投資家だからこそ取りうる戦略でもあります。
・私もその昔、誰もが見捨てた上場企業の社長と面談をし、大量のリスクマネーを投じたことがあります。調査を重ねた後に、その会社がダメになってしまった理由はサービスの競争力が低下したのではなく、以前の経営者の怠慢によるものであると考え、新しい経営陣による事業再建計画は成功すると信じることにしました。我々の組織が市場でその会社の株式を大量に買い、大株主として名前が登場すると、市場参加者たちは大きな驚きを持って受け止めました。それは我々が確固たる自信を持って、その会社の価値が割安に放置されていると考えていることを意味していたからです。これがキッカケとなって、それまで聞く耳を持っていなかったほかの投資家たちも、改めてその会社を再評価するようになりました。後日、その社長から電話があり受話器を受け取ると、彼は涙ながらにこう言いました。「ありがとうございます。私たちは必ず生まれ変わります。生まれ変わることを約束します」社長からすれば、自分を信じてリスクを取ってくれた投資家がいることが、よほど嬉しかったのでしょう。それから3年後、会社は絵に描いたようなV字回復と遂げ、当初の再建計画を大幅に前倒しして復活に成功しました。我々はそえを見届けると、市場で株をゆっくりと売却をしていきイグジットしました。その時の株価は、我々が投資した金額の実に5倍になっていたのです。みなさんも、自分以外の誰かの思いに対して、お金を投じてみてはいかがでしょうか?その時初めて、本物の投資家の第一歩を歩み始めたといえるでしょう。
・実際にめぼしいアイデアと候補となりそうな銘柄が浮かんだら、投資に踏み切る前にもう少し調査をしましょう。会社のホームページで決算説明会の資料を見たり、社長の人となりも確認しましょう。財務データも分析した方がより良いのですが、身構える必要はありません。「会社四季報」などを見ると、簡単に業績の要点は確認できますし、どの会社も「決算短信」という同じフォーマットで財務諸表を公開しています。財務諸表をごく短時間でチェックするとすれば、以下のポイントでしょう。
○「損益計算書」にある売上高、営業利益に丸をつけ、それらの伸び率や営業利益率が改善しているかどうかなどを確認する。
○「貸借対照表」では資産の部の棚卸在庫、売掛金に丸をつけ、これらが売上高の伸びよりも低く抑えられているか確認する
○負債の部の短期・長期借入金、資本の部の額にも丸をつけ、ネットD/Eレシオ「(短期・長期借入金-資産の部の現預金)/資本の部」を確認する
ネットD/Eレシオが大きいほど、財務体質が脆弱であると考えられるので、資本の部の額よりも何倍も大きな(借入金-現預金)を持っている会社は、不景気に弱く、増資などのリスクが高いと考えられます。この数点をパッと確認するだけでも、やるとやらないでは大きな違いがあります。これらの客観的なデータから、その会社へ投資することがどれほどのリスクを持っているのかをイメージしておくと、それがたとえ成功しても失敗しても、経験値として勝てる投資家になるための階段を一段登ったことになります。これらのアプローチはリターンを高め、取る必要のないリスクを発見するための効率の良い手法のひとつとして、勝てる投資家になるための最低限のスキルです。投資では、全勝することはできません。ただし通算6勝4敗であれば、あなたはおそらくお金持ちになれるでしょう。
・伸びる会社のサインは次の5つです。
□収益性が向上している
□経営者がROEの向上を意識している
□収益性の高いところへ投資している
□多くの人を幸せにしている
□ガバナンスがしっかりしている
・次は伸びない会社のサインを5つご紹介します。
□本業と全く関係のない事業を持っている
□中期経営計画に数値目標が明記されていない
□自社ビルを建設する
□本社の受付嬢がやたらと美人
□社長が業界紙以外のメディアに出始める
・私はみなさんに短期のトレードを決して推奨はしません。投資の世界は、時間軸を短く取るほど投機の世界に近くなり、頻繁に売買をするほど勝率も下がっていってしまいます。金融取引で投機の代表格といえばFX(外為取引)ですが、世にあるFX口座の9割は元本割れしている可能性が高いと思います。通貨が短気で上がる下がるかを当てる確率は、サイコロの丁半を当てるのと同じように50%であると思いがちですが、為替手数料を支払うことを考えると、勝率は50%より低くなります。いろいろなテクニカル指標を駆使して、高い勝率を誇る人がいるかもしれませんが、サバイバーバイアスといって、それはたまたま運が良く生き残った人が語っているだけであり、その裏で9割の人が負けていると考えるのが妥当でしょう。一方で、勝ち残っている人も勝利が長く続くことはありません。9連勝を誇る人がいたとしても、次の1敗が大敗となり、すべての勝利が台無しになるようなことが起きます。冷静に考えれば分かり切ったような投機の世界を、身銭を切って体験する必要はありません。
・私がみなさんに推奨するのは長期投資です。「適正な投資ホライゾン(投資期間)は何か?」という問いは、私にとっては「そのようなものはない」が回答です。私が推奨するのは、あくまでも継続的に成長を続ける会社への投資ですから、そのような会社へ投資をしている限りは、売る時のことなど考える必要はありません。あなたが託したお金を効率良く使い、より多くの利益を還元してくれる会社の株主であるならば、極端な話、一生売る必要はないのです
・Mは、子供の頃、病気に苦しむ母親の治療費を稼ぐために、近隣の住人たちに「何でも屋」を申し出てお金を稼いでいました。貧しい村であったため隣人も決して裕福ではありませんでしたが、多くの人は善意で彼に仕事を与え、時には食べ物や薬を恵んでくれました。Mはその後、猛勉強をして米国のアイビーリーグでMBAを取得し、ウォール街の投資家として優れた成績を収めるようになりました。しかし、若くして大金持ちとなった彼は、ある日突然引退し、全財産をマレーシアで自身が設立した基金へ拠出してしまいました。彼が設立した基金は、小さな子供のいる貧しい家庭に対して、医療費や学費を支援するものであり、条件として、その子供が将来お金持ちになった場合、再び同基金にお金を拠出してもらう設計となっています。また、基金の特別条項には、子供の頃のMに施しを与えてくれた村人の名前が記載されており、彼らが病気になった際には、すべての医療費を支払うことも明記されています。彼は村人たちの一杯の飯の恩を忘れずに大人になり、それに報いることを人生の目的のひとつとしたのです。人生は誰にとっても一度きりであり、二度目はありません。ほとんどの大人は人生の7回裏あたりから、そのことに気づきます。Mにとっての人生における最良の時間と空間は、貧しくとも家族や隣人の愛に包まれた何気ない日常でした。どんなに富と名声を得ても、遙か先にあると思われた山の頂きに立ってみても、それ以上のお宝は、この世界にはないことをMは悟ったのです。彼は絶頂のうちにウオール街を去り、今は故郷でファンドマネージャーとして基金から給料をもらい、一方で医大生として勉強に励む毎日を送っています。
・ある日のこと、カフェでMと話をしていた時、私が自分の失敗から得た投資家としての暗黙知のようなものを話し始めると、Mはカバンから使い古した分厚いノートを取りだしてメモを取り始めました。Mは実力や実績は組織の中でトップクラスの投資家でしたが、どんな人からも謙虚に学び、自分の頭で納得がいくまで考え抜く姿勢を持っていました。びっしりと文字の詰まった亡き母からのプレゼントだというノートを見て、「まるでバイブルだね」と私が言うと、Mは愛おしそうに表紙を手でなでながら「いいえ、それ以上です」と答えたのを、今でも鮮明に覚えています。
・「なぜ、お金持ちになりたいのか?」という問いの答えは、最終的には「素晴らしい人生を歩みたいから」に行き着くと思います。ただし、「お金」と「素晴らしい人生」は必ずしも同じレールの上にあるとは限りません。お金を持っていても、不幸な人が世界にはたくさんいます。なぜか?多くの人はその先にある価値を知らないからです。Mは投資で得た莫大なお金を、大切な人を幸せにすることに再投資をし、新たな富を得ているのです。基金によって救われた人々の笑顔を見る度に、Mは己の人生の価値を向上させているのです。本物の投資家の究極の到達点は、お金の価値だけではなく、人生の価値を知る者であると私は信じています。
良かった本まとめ(2015年下半期)
<今日の独り言>
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