A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

非常階段+HIKO/ジム・オルーク/ASTRO/CARRE etc.@六本木 Super Deluxe 2012.4.29 (sun)

2012年05月01日 00時29分51秒 | 素晴らしき変態音楽


dEnOISE 5~Feedback Tokyo / LUFF does TOKYO : Day 2
SDLXでの二日間に亘るノイズ・イベント「ド・ノイズ」の二日目。このイベントは2010年から開催されているシリーズで、日本勢と外国勢のノイズ・アーティストが多数出演し、毎回ユニークなコラボもある注目のイベントである。一日目はPAIN JERK、KLEPTOMANIAC featuring 伊東篤宏、狂うクルー + ヘア・スタイリスティックスにスイスのノイジシャンが参加したが、二日目は非常階段+HIKO(Guaze)をメインにやはりスイスのアーティストが出演。のべ5時間近い純ノイズのイベントが二日連続で開催されるのは珍しい。

2000年出張で訪れたノルウェーのレコード市でWhitehouseのLPを購入して以来ノイズにかなりハマり、数多くのイベントに行き有名無名のアーティストのCD、CD-Rを大量に購入した。特にメルツバウは50枚組「Merzbox」を入手したのをきっかけに散々買いまくり、先日部屋の掃除をしたらメルツバウのCDばかり100枚くらい出てきて自分でも驚いた。またShit Noiseというドイツのレーベルから限定3~10枚のCD-Rを買い漁りもした。しかしこの2・3年純ノイズへの興味は薄れ、ライヴもHair Stylisticsと非常階段、メルツバウくらいしか行かなくなってしまった。

今回久々にノイズ・イベントに行こうと思ったのも非常階段目当だった。SDLXも最近余り好みのライヴがなく1月の灰野+オルーク+アンバーチ以来3ヶ月ぶり。会場には椅子がなくだだっ広いスペースの奥にステージが、周りに機材を乗せたテーブルが設置してある。SDLXでオールスタンディングのイベントというのは初めてだった。

外国人客が異様に多い。出演者に外国人が多いのでその関係かも知れない。SDLXは5年前までは外国人のお客さんがかなり多かった。それが2007年の英会話スクールNOVAの倒産でガラッと減ってしまった。かつて電子雑音の故・田野幸治さんから伺った話では日本で活動する外国人ノイジシャンおよびその取り巻き(ファン)は何故かNOVAの講師が多いとのことだった。さらに昨年の震災で多くの外国人が日本を脱出し六本木から外国人の姿が消えるという非常事態に陥った。しかしこの日の動員を見るとノイズ&馬鹿騒ぎ好きの"不良"外国人が再び戻ってきた感がある。外国人だけではなく、若い日本人客、特に女性客の姿も多く、ノイズのイベントでSDLXが満員になるとは思いもよらなかった。今こそノイズがキているのかも。

この日の出演者はジム・オルーク + ノルベルト・ムスラング (from Switzerland)、d'Incise (from Switzerland)、フランシスコ・メイリニオ (from Switzerland)、Kiko C. Esseiva (from Switzerland)、Astro & デイヴ・フィリップス (from Switzerland)、CARRE +Strotter Inst.、非常階段 (JOJO Hiroshige + Junko +T.Mikawa) + HIKO (from GAUZE)、MARUOSA vs Syndrome WPWの8アーティストにDJ Marc Robert。貼ってあったスケジュール表によると各組25分間の演奏の予定。

数組の例外を除くと演奏中の照明最小限に落とされる。演奏者の姿がぼうっと浮かび上がり、観客は息を凝らしてそれを見つめている。順にフランシスコ・メイリニオd'Incise。どちらもラップトップによるドローン・ノイズで壁際に座り込んで聴いていたのでかなり眠くなってしまった。





3番目がAstro & デイヴ・フィリップス。ステージでの演奏。Astro=長谷川洋氏とは以前スタジオ・レコーディングにお邪魔したこともありFB友達である。この二人の共演は数年前Flying Teapotで観たことがあるような気がする。二人のセッションだと音が重層的で迫力がある。



4番目のKiko C. Esseivaはレコード・プレイヤーとオープンリール・テープを使用したアナログ感溢れる演奏で思いの外面白かった。



5番目CARRE +Strotter Inst.。CARRE(ケアル)は先日Hair Stylisticsと共演を観た若手インダストリアル・ノイズの注目株。始まるまで会場後ろの物販コーナーを見ていたら、入り口近くにCARREがセッティングしていたので目の前で観ることができた。Strotter Inst.はレコード・プレイヤーを使った演奏。壁面に幾何学模様の映像が投影されSDLXらしいメディア・ミックス空間を演出。



6番目が目当の非常階段HIKO。この日はコサカイフミオ氏は不参加だったのでステージダイヴの危険は無かったが、用心のためにステージ上手のPA前から観戦。ちゃんとステージがあるので前回のSDLXのように演奏者と観客が入リ混じるカオス状態にはならなかったが、途中からJOJO広重氏が盛んに客を煽りギターを振りかざして客席に乱入する暴力パフォーマンスに突入。HIKO氏のハードコア・ドラムが大迫力で鳴り響く中、広重氏と美川氏が激しいアクションで暴れまくる。これこそまさに非常階段。彼らはやはりロック・バンドだな、と実感したステージだった。



7番目にジム・オルーク + ノルベルト・ムスラング。ジムはここのところベースやギターを弾くのを何回も観ているが、ノイズをやるのを観るのは久しぶり。ノルベルトが光に同調して音が鳴るノイズ・ジェネレーターを使っていたので再び照明は真っ暗だが、タンジェリン・ドリームやクラスターなどジャーマン・トランスを思わせる演奏は良かった。



この時点で10:30PM。客が半分くらいになっていた。最後はMARUOSA vs Syndrome WPW。MARUOSAを観るのは初めてだったが、1999年から世界的に活動するブレイクコア・アーティストでPCにプリセットされた激ハードコア・ノイズに乗せて過激なパフォーマンスを見せる。昔のマゾンナを見るようで小気味よかった。対するSyndrome WPWは最初機材トラブルで音が出なくて演奏出来なかったが、直ってからはキーボードを首から下げてジャンクなテクノポップを演奏。パーフォーミング・アーティスト二人の対決は悪くなかったが、客が殆ど身内っぽい妙な盛り上がりをしていて何となくアウェイ感を感じた。





これだけたっぷりノイズに身を浸してお腹いっぱい。久々にさすがSDLXという意味のあるイベントだった。

ノイズだけ
聴いていたんじゃ
身が持たぬ

それでもメルツバウの新作10CD BOXに心惹かれるしょーもない私です。
コメント
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