A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

Asobi Seksu/Boris@渋谷 O-West 2012.5.18 (fri)

2012年05月20日 00時56分58秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ニューヨーク在住の日本人女性YUKI CHIKUDATE嬢率いるシューゲイザー・バンド、Asobi Seksu(アソビ・セクス)はCDは2000年代半ばMy Spaceで知って以来気になってオフィシャル・サイトやYouTubeで動向を探りチェックを入れてきた。2000年代になってジーザス&メリーチェインやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインをはじめとする1990年代初頭のオリジナル・シューゲイザーの再評価が進み、彼らの影響を受けたフィードバック・ノイズ・ギター+甘いポップ・メロディーというスタイルのバンドが世界中から次々と登場してきて、現代の若者にロックのひとつのジャンルとして好意的に受け入れられている。

シューゲイザーという名称は1990年初頭に英国の音楽紙「Sounds」のムースというバンドのライヴ評で初めて使われた言葉らしい。ヴォーカリストが足元に置いた歌詞カードを見つめながら俯いて演奏していた姿をシューゲイザー(=靴を見つめる人)と揶揄したものだった。それがエフェクターやペダルを見つめて轟音フィードバック演奏に専念する一連のバンドを示す言葉に転用された。

私の記憶では当時の日本でマイブラやジザメリ、ライド、スロウダイヴなどがシューゲイザーと呼ばれていた覚えはない。ブームが一段落した頃になって音楽誌や評論家が「あれはシューゲイザーというムーヴメントだった」と書き始めたように思う。「シューゲ」と略されて広く使われ出したのは2000年代になってからではなかろうか。現在のシューゲイザー人気は1990年代当時を知らない若い世代により形成されていることは間違いない。

2007年以来2度目になるAsobi Seksuの日本ツアー最終日、会場を埋めたファンは20代前後の草食系男子とサブカル系女子中心でメガネ率が高いのが面白い。アメリカのインディー・シーンで人気だから外国人客の姿も多い。対バンが昨年一緒にUSツアーを敢行したBorisなのでひときわ興味深い。

Borisを観るのは3度目。5年前に下北沢Shelterで観たときはステージ前にスーパーウーハーを設置し空間が歪むような低音を響かせた。今年結成20年になるベテラン・バンドである。ヘヴィでドゥームだがメタルではない。灰野さんやメルツバウ、アメリカのヘヴィ・ロック・バンドSUNN O)))と共演/共作を発表してきたアングラ・シーンの古株である。昨年のI'll Be Your Mirrorでは灰野さんの裏(?)時間の出演で観れなかった。昨年AVEXからリリースした新作「New Album」ではイメージを一新するアッパーなメジャー感溢れるサウンドを展開し話題になった。しかいそれで特に売れたという話は聞かないが....。そんな彼らの久々のライヴには元White Heaven~Starsのギタリスト栗原ミチオ氏がメンバーとして参加。一曲目が往年のイメージ通りの超ヘヴィなサウンドだったので安心したが、途中で新曲を演奏。四つ打ビートのJ-POP風サウンドはやはりミスマッチな気がしたが、栗原氏のスライドバーとアームを多用したサイケデリックなプレイが炸裂する曲もあり1時間のステージはとても楽しめた。現在Asobi Seksuとのスプリット・シングルを制作中とのこと。



Asobi SeksuはYUKI嬢とギターのJAMES HANNAを中心とする4人組。写真やPVで観るYUKI嬢はフェミニンで清楚なイメージだったが、ステージに現れた彼女は小柄で可愛らしいがレザーのジャケットに身を包み、髪を振り乱してヘッドバンギングするステージングはまさにロック少女。彼女をバックアップする大柄の地味なアメリカ男3人が奏でる骨太なサウンドはシューゲ云々というよりアメリカン・インディー・ロックの伝統を継承している。英語/日本語混じりのYUKI嬢のヴォーカルは「ドリームポップワールド」を標榜する彼ららしい美メロに溢れたヘヴンリーなもの。最終日のこの日はYUKI嬢とJAMESの両方のお母さんが観に来ていたそうで彼らにとってもスペシャルな夜だった。観客は曲をよく把握しておりYUKI嬢の振りに合わせて手拍子しながら楽しんでいる。日本のロックにありがちな激しいモッシュやシンガロングがないのでロートルで曲も知らない私でも充分楽しめるライヴだった。アンコールではアコースティック・セットに続きBorisのドラマーATSUO氏とYUKI嬢のドラム・バトルを交えた轟音演奏で終了。70分の演奏。



マイブラのリマスター再発や来日決定でシューゲイザーへの注目が高まっている中、まさに"今"の音を鳴らす至福に満ちたAsobi Seksuのステージは深く記憶に残るものだった。昨日も書いたが現在進行形のロックをフォローしていくことが大切なことを実感した。

遊びでは
終わらせないわ
本気なの

海外をベースに活躍する日本人ミュージシャンとしてYUKI嬢はBo Ningen(対バン・ライヴが実現したら面白いかも)、上原ひろみちゃんと並ぶイチロー/ダルビッシュ的存在である。今後も応援していきたい。

[参考]
●90年代シューゲイザー・ムーヴメントについて詳しく解説したサイト→Shoegazer Archives
●39分10曲のシューゲイザー名曲メドレー。何故か画像がオタク系アニメw



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