A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

モーサム・トーンベンダー@新代田 FEVER 2012.5.25 (fri)

2012年05月27日 01時28分10秒 | ロッケンロール万歳!


二日前にザ・クロマニヨンズのロケンローに酔い痴れたばかりなのに再びロケンロー天国で昇天。
「STUPID & IDIOT TOUR」初日、しかも-SPECIAL RECORDING GIG-とある。つまりライヴ録音される訳だ。当然チケットはソールド・アウト。FEVERは渋谷Club Quattroと同じくらいの広さだがステージが高く音もいいお気に入りのハコだ。楽屋が異常に広く、出演者にとっても寛げる空間である。普段恵比寿リキッド・ルームや渋谷AXを満員にするアーティストでもツアー初日にFEVERを選ぶことが多い。そういう意味ではアムステルダムのPARADISOというクラブに近い。1990年代アムスを訪れる度にPARADISOにライヴを観に行ったものだが、デヴィッド・ボウイ、シェリル・クロウ、ローリング・ストーンズ等世界的スーパースターがここを皮切りにヨーロッパ・ツアーをスタートするという伝説のライヴハウスである。PARADISOも知名度の割にはこじんまりとしたクラブでストーンズが演奏するとはとても信じられない。メトロポリタン・シティ、アムステルダムの自由な空気がこのクラブの開放的で家族的な雰囲気と相まって多くのアーティストに好まれているのである。

開演時間ギリギリに会場へ到着。既に観客は入場しており受付ホールにはスタッフしかいない。物販コーナーの前で鬼のお面を被った坊主頭の体格のいい男性がポーズを付けて写真に収まっている。スタッフがふざけてるのかな、と特に気にせず満員の会場に入る。開演直前の期待感に溢れた熱気でむせ返りそうだ。開演を告げるファンファーレが流れる。その時後ろからさっき受付ホールにいた鬼坊主が観客を掻き分けてステージへ向かっていった。スポットライトが彼の姿を追う。何と鬼坊主はモーサムのベーシスト武井靖典氏だった。予想外のサプライズに観客が沸く。ロケンロー・ショーの始まりだ。

モーサムはフリクション、初期のブルーハーツ、ブランキー・ジェット・シティ、ミッシェル・ガン・エレファント等"硬派ロケンロー・バンド"の流れに位置づけられる。2000年頃フリクションのレックさんと親交のある知り合いの雑誌編集者から「レックおススメの若手バンドがいる」と紹介されたのがモーサムだった。彼女が聴かせてくれたのがデビュー・アルバム「DRIVE」収録の「未来は今」。空間を切り刻むようなシャープなギター・サウンドと印象的なヴォーカル・ラインに「若いのにオーソドックスなスタイルの気骨のあるバンドだな」と思った。当時の若手はオルタナやメロコア、ネオアコ系のバンドが多く、シンプルなロックを追求するバンドには分が悪い時代だった。彼らのライヴを初めて観たのは2000年代半ば日比谷野音だった。共演が誰だったか殆ど記憶にないのだが、何かのチャリティ・イベントでマゾンナが出演し3分で演奏終了したことは鮮明に覚えている。モーサムはVo.Gの百々和宏氏のイケメンな格好良さと赤いムスタングをひたすら掻きむしるハイ・テンションなステージングが強く印象に残った。それ以来「革命的なヴィジョンを世界に提示するツアー」「TOUR “死に物狂いでリズムを刻め”」「MO'SOME TONEBENDER 2008 世直し中毒ツアー」といった大袈裟なタイトルのツアーに毎回通うようになり、ゆらゆら帝国、浅井健一、The Birthday等との対バン・イベントも観た。昨年2月の渋谷Club Quattroベスト盤リリース記念無料ライヴではドラムの藤田勇氏がギターに移りサポート・ドラマーを加えた4人組になっていて驚いた。

同じロケンローといってもザ・クロマニヨンズのシンプルで分かりやすいサウンドとは異なり、ハウス/テクノビートを取り入れたり、武井氏のライトセーバー・パフォーマンスを始めとするショーアップ演出があったり、モーサムの多様性を持ったステージには一筋縄ではいかない"捻れ"がある。しかしその核にはデビュー以来変わらぬゴリゴリした一直線の硬派ロック魂が流れており、それを彩る様々な眩い光と相まって得もいえぬエクスタシーへ聴く者を誘うのである。

普段あまりMCをやらない百々氏の口からニュー・アルバム「Strange Utopia Crazy Kitchen」をリリースすることが発表された。「今日から毎日100円ずつ貯めておけば丁度3000円貯まった頃に出るよ」(正確には7/18リリース)。1年7ヶ月ぶりのオリジナル・アルバムの発表に会場のテンションがますます高まる。そのままの盛り上がりで突っ走り1時間40分に亘るステージは終了。アンコール後客電がつきSEが流れても興奮冷めやらぬ観客の手拍子は5分以上続いた。



Set List
1. trigger happy (in the morning)
2. DAWN ROCK
3. youth
4. YOUNG LUST
5. L.O.V.E.
6. TIGER
7. 冷たいコード
8. SUMMERスカ?
9. rainy
10. アンハッピーニューエイジ
11. JACK THE TRIPPER
12. ハッピーニューイヤー(新曲)
13. shining(新曲)
14. ロッキンルーラ
15. ばちかぶれ!
16. LOST IN THE CITY
17. OUT DOOR
18. We are Lucky Friends
19. BIG-S(フリクションのカヴァー)
20. 凡人のロックンロール
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21. GREEN & GOLD

オフィシャル・サイトで9月スタートの「Strange Utopia Crazy Kitchen Tour」の日程が発表になっている。

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