今月の27日(土)に、海のふるさと村主催ジオツアーが行われることになり、先日その打ち合わせに行ってきました。
ふるさと村の敷地内には、このような標識の散策路があって…

一歩森に踏み込むと、このような景色が広がっています。

以前も報告したことがある、溶岩の森。
カルデラの中に広がるハチジョウイヌツゲとヒサカキが優先する森よりも、樹高が高い木が多いです。
この森を歩きながら、ふるさと村のスタッフの人に1986年の噴火当時の様子を教えてもらいました。
空から大きな溶岩が飛んで来てオープンしてまだ半年だった建物の屋根を焦がし、修理が必要になったこと。職員の人のゴルフバックが燃えてしまったこと。噴石が飛んでくる方角に向かって帰るしかなく(他に道がなかったため)大変な思いをしたこと、などなど…。
最初は「火口から4km近く離れた場所に、屋根を壊すほどの噴石?」と不思議に思いましたが、すぐに「ああ、そうか、割れ目噴火からの噴石か~。」と思いつきました。割れ目噴火から噴き出した溶岩は中央火口からのものよりかなり高く吹き上がったようだし、その分遠くまで飛んだのではないかと…。
このことについて、伊豆大島火山地質図の作者、川辺禎久氏に質問してみました。
いただいた回答を私一人で知っているのはもったいないので、以下にメールを全文コピーします。
「1986年噴火でふるさと村周辺に積もったのは、割れ目噴火のスコリアですが、厚さは10cm程度、直径は数cmのものが大半で、ごく一部に10cm程度のやや密度の大きな噴石がありました。おそらく煙を出すくらい熱かったのはそれではないかとおもいます。
高さ10kmの噴煙柱からは、10cm程度の噴石が数km先におちてくることはままあって、火災を起こすことがあります。たとえば、浅間山の天明噴火では軽井沢で軽石が落ちてきて火災が起きています。
伊豆大島の1986年噴火では、A火口から三原山のふもとくらいまで四畳半を越えるくらいの大きさの溶岩の座布団が降っています。B火口でも火口近く数百mくらいまで数mくらいの火山弾が飛んでいます。(Aは中央火口、Bはカルデラ内の割れ目火口です。)
ただ4km先に直径1m近い噴石を飛ばすのは、ブルカノ式噴火やマグマ水蒸気爆発などのかなり爆発的な噴火でないと難しいです。波浮港の噴火では、直径30cmが700mくらい、5cmなら1km超えるくらい飛んでます。」
なるほど…。
噴火、すごい…。
ところで、ふるさと村周辺の森の地面には、黒い穴だらけの溶岩の粒(スコリア)が積もっています。

今がまさに旬のスダジイの実と同じぐらいのツブツブ具合で地面を覆っていますが、このスコリアは森を焼かなかったのでしょうか?
で、このことも川辺氏に質問してみました。
いただいた回答、コピーします。
「規模にもよりますが、噴煙柱が高く上がる噴火では、径数cm程度の小さなスコリアは、火口から数~10km以上の高さに吹き上げられて、風に流されて落ちてくるので、落ちてくる頃にはほとんど熱くありません。森を焼くよりは、石が降ってきて葉や枝が折れる、地表が覆われて地表近くに棲む生物が被害を受けることのほうが大きいかと。
案外細かい火山灰の方が、森林へのダメージが大きい印象を持ってます。」
なるほど~。毎回思うのですが、こうやってある場所の景色から感じた疑問に対して回答をいただくたびに、火山が身近になって行くような気がします。
噴火のダメージの中、無事生き抜いた巨木が茂る森。
その森には、散歩コースが作られていて、溶岩の石垣が積まれていました。

そして森には、10cm以上ありそうな大きなキノコが生えていました。
ちょっと幽霊っぽい(?)ものや…

こんなプリプリのもの。

黒いスコリアを押しのけて、にょきにょき生える真っ白なキノコを見ていたら、火山の島で生きる生物達のたくましさを感じました。
27日には、噴火当時にふるさと村で働いていた人たちの体験談と川辺氏に教えていただいたことをあわせて、普段あまり行かない、島の東側のジオ物語を楽しみたいと思います。
たぶんツアー前にもう1回下見に行くので、また報告したいと思います。
(ツアー参加希望の方は、海のふるさと村にお問い合わせください。)
http://oshimakoen.jp/uminohurusatomura/index.html
(カナ)
ふるさと村の敷地内には、このような標識の散策路があって…

一歩森に踏み込むと、このような景色が広がっています。

以前も報告したことがある、溶岩の森。
カルデラの中に広がるハチジョウイヌツゲとヒサカキが優先する森よりも、樹高が高い木が多いです。
この森を歩きながら、ふるさと村のスタッフの人に1986年の噴火当時の様子を教えてもらいました。
空から大きな溶岩が飛んで来てオープンしてまだ半年だった建物の屋根を焦がし、修理が必要になったこと。職員の人のゴルフバックが燃えてしまったこと。噴石が飛んでくる方角に向かって帰るしかなく(他に道がなかったため)大変な思いをしたこと、などなど…。
最初は「火口から4km近く離れた場所に、屋根を壊すほどの噴石?」と不思議に思いましたが、すぐに「ああ、そうか、割れ目噴火からの噴石か~。」と思いつきました。割れ目噴火から噴き出した溶岩は中央火口からのものよりかなり高く吹き上がったようだし、その分遠くまで飛んだのではないかと…。
このことについて、伊豆大島火山地質図の作者、川辺禎久氏に質問してみました。
いただいた回答を私一人で知っているのはもったいないので、以下にメールを全文コピーします。
「1986年噴火でふるさと村周辺に積もったのは、割れ目噴火のスコリアですが、厚さは10cm程度、直径は数cmのものが大半で、ごく一部に10cm程度のやや密度の大きな噴石がありました。おそらく煙を出すくらい熱かったのはそれではないかとおもいます。
高さ10kmの噴煙柱からは、10cm程度の噴石が数km先におちてくることはままあって、火災を起こすことがあります。たとえば、浅間山の天明噴火では軽井沢で軽石が落ちてきて火災が起きています。
伊豆大島の1986年噴火では、A火口から三原山のふもとくらいまで四畳半を越えるくらいの大きさの溶岩の座布団が降っています。B火口でも火口近く数百mくらいまで数mくらいの火山弾が飛んでいます。(Aは中央火口、Bはカルデラ内の割れ目火口です。)
ただ4km先に直径1m近い噴石を飛ばすのは、ブルカノ式噴火やマグマ水蒸気爆発などのかなり爆発的な噴火でないと難しいです。波浮港の噴火では、直径30cmが700mくらい、5cmなら1km超えるくらい飛んでます。」
なるほど…。
噴火、すごい…。
ところで、ふるさと村周辺の森の地面には、黒い穴だらけの溶岩の粒(スコリア)が積もっています。

今がまさに旬のスダジイの実と同じぐらいのツブツブ具合で地面を覆っていますが、このスコリアは森を焼かなかったのでしょうか?
で、このことも川辺氏に質問してみました。
いただいた回答、コピーします。
「規模にもよりますが、噴煙柱が高く上がる噴火では、径数cm程度の小さなスコリアは、火口から数~10km以上の高さに吹き上げられて、風に流されて落ちてくるので、落ちてくる頃にはほとんど熱くありません。森を焼くよりは、石が降ってきて葉や枝が折れる、地表が覆われて地表近くに棲む生物が被害を受けることのほうが大きいかと。
案外細かい火山灰の方が、森林へのダメージが大きい印象を持ってます。」
なるほど~。毎回思うのですが、こうやってある場所の景色から感じた疑問に対して回答をいただくたびに、火山が身近になって行くような気がします。
噴火のダメージの中、無事生き抜いた巨木が茂る森。
その森には、散歩コースが作られていて、溶岩の石垣が積まれていました。

そして森には、10cm以上ありそうな大きなキノコが生えていました。
ちょっと幽霊っぽい(?)ものや…

こんなプリプリのもの。

黒いスコリアを押しのけて、にょきにょき生える真っ白なキノコを見ていたら、火山の島で生きる生物達のたくましさを感じました。
27日には、噴火当時にふるさと村で働いていた人たちの体験談と川辺氏に教えていただいたことをあわせて、普段あまり行かない、島の東側のジオ物語を楽しみたいと思います。
たぶんツアー前にもう1回下見に行くので、また報告したいと思います。
(ツアー参加希望の方は、海のふるさと村にお問い合わせください。)
http://oshimakoen.jp/uminohurusatomura/index.html
(カナ)